御忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
それでは只今から川崎汽船2007年度上期決算について説明させていただきます。
お手元の資料にそってご説明させていただきます。

 

A-1. 決算概要

まず決算の概要ですが、売上高で6,466億、経常利益で637億。これは全て連結ベースで、当期利益で440億。前年の同期に比べますと売上高で25%増、経常利益で159%増、ということは2.6倍、当期利益で114%、2倍強という実績になりました。

 

上期の平均為替レートは119円64銭、前年同期に比べますと4円38銭の円安。懸案の燃料油価格、バンカーは上期の平均はトンあたり353ドルで、16ドルのバンカー高となりました。しかし足元は400ドルを越えるような状況になりましてバンカーの行方が非常に懸案となっております。下の方に書いてあります様に、為替の変動、前期に比べますと4円38銭の円安。収益に与える影響はプラスで26億、バンカーの変動は16ドル高ということでマイナスの21億の影響がありました。

 

肝心の配当につきましては、上期は予定した第1四半期が終った後で公表しました予測値よりも上回りましたので、お約束している配当性向、通期で20%と考えておりますが、上期につきましては公表11円、或いは前年の実績9円でしたが、上期について予定より1円増配し、12円とさせていただくことに本日の取締役会で決定いたしました。

 

A-2. 業績のポイント

業績のポイントとしては、前年同期、或いは公表に比べ増収・増益となりました。前年同期と比べ増収・増益の要因というのは、まず営業規模が拡大しました。前年度竣工船47隻が、今年度上期においてはフル稼働しました。上期においても、新造船12隻が竣工し、これらが営業規模拡大となって、収益に貢献しました。

 

それから後で申し上げることになると思いますが、やはり、当社の一番大きなビジネスセクターであるコンテナ船の運賃を、特に欧州において大きく回復させることができました。このコンテナ船の欧州向けの運賃の修復というのが大きな要因となっております。それから皆さんご存知の通り、バルクの市況が史上最高値のレベルにあり、このバルク市況の高騰も収益に大きく貢献しております。また僅かではありますが、円安の効果もありました。この表にあります様に対前年同期に比べて収益的に391億の増益となりましたが、一番大きな要因は市況変動、それから営業規模の拡大ということであります。

 

A-3. 部門別業績動向 −コンテナ船−

コンテナ船については、前年同期に比べ、売上高が約570億増収になりました。また損益についても、 第1四半期発表が終った段階で、会計基準の変更をすることをご説明したわけですが、これを除いても113億円の増益、という結果になりました。

 

140億の会計基準の変更を入れると、250億の改善ということになります。 コンテナ船の増収・増益の要因は、営業規模拡大、8,000個型船が投入され東西航路増強が進展しました。南北航路の拡充もしました。結果として総積高が、160万TEUを超えて、前年に比較すると約12%弱の増加になっております。運賃率もここにありますように、欧州の運賃の回復ということです。前年同期に比べると欧州向けでは29%の増になっております。大西洋を除き、往航につきましては、おしなべて運賃の修復ができました。

 

前回の時にもご説明しましたが、2005年の秋口から、欧州向けの運賃が下落したわけですが、直前の2005年の1st Quarterの平均運賃と比較しましても2007年1st Quarter、2nd Quarter、上期通じてほぼ下がった運賃をカバーして、若干プラスになっている、というような状況まで回復しております。それから、先ほど少々申し上げましたが、一番最後に書いてある複合輸送進行基準への変更はトータルで140億円となっております。

 

A-3. 部門別業績動向 −ドライバルク−

ドライバルクにつきましても増収・増益を達成することができました。同じように営業規模が拡大、上期の新造船竣工8隻でありました。稼動延べトンも、前年同期に比べると12.5%増となっております。増益の要因はまさに歴史的なマーケットのアップ、ということでありまして、いまだかつて誰も見たことが無いような高値にあります。一時6月に若干下げた局面があったわけですが、9月以降さらに上がっておりまして、足元の状況も、極めて高い水準にあります。これは大型船ですが、中型船・小型船についても同じような状況を示しております。

 

これは言い古されたことではありますが、この要因としまして、やはり中国の高度経済成長があります。それを支えている中で特に我々のドライバルクと関係があるのは、中国の粗鋼生産量が大きくのびているということで、2006年は年産で4億2千万トン、その前が確か3億7千万トンではなかったかと思います。今年、このままで行くと、一時5億トンまで行くのではないかと言われていたのですが、少なく見積もっても4億8千万トンくらいまで行くだろう、というような状況であります。

 

毎年50隻程度のケープサイズのバルカーが新造船として入ってくるわけですが、鉄鉱石の輸入もそれを上回るような規模で伸びておりまして、そういう意味で需給は相当タイトであります。また特に豪州等で滞船の影響もあり、これも含めて需給関係に影響している、ということでございます。

 

A-3. 部門別業績動向 −自動車船−

自動車船でございますけれども、この部門においても増収・増益を果たせました。昨年の竣工船が8隻でございます。積台数も約1割弱伸びておりまして、需要は非常に強く推移しております。

 

A-3. 部門別業績動向 −エネルギー資源輸送−

エネルギー資源輸送につきましては、この部門においては増収を果たせましたけれども、残念ながら若干ではありますが減益となっております。要因としては、やはり油槽船の市況が当初見込みよりも軟化した、ということで、残念ではありますが減益となっております。

 

ただし、規模の方はお蔭様でLNGのプロジェクト、今までの、将来のものは若干足踏み状態のもあるわけですが、今現在32隻のLNG船、当社関与船が稼動しておりまして、これが順調に稼動しました。

 

それからタンカー部門においても、新たにVLCCが1隻、6月エクソン・モービル向けのVLCCが入り、また、LPG船2隻、これはアンモニア船2隻ですが稼動しました。

 

こういうことで、規模は拡大しましたが、残念ながらマーケットそのものが軟化しましたので、減益となっております。

 

A-3. 部門別業績動向 −その他事業部門−

その他事業部門においては、特に当社関係会社である川崎近海汽船が運営している内航フェリー、これにつきましても比較的旺盛な需要があり、増収・増益を果たしております。

また、物流事業におきましても昨年の7月に発足しましたケイラインロジスティクスの海陸一貫輸送体制が徐々に整いつつあり、増収・増益となっております。

以上が上期の決算の概要でありますが、下期及び通期の業績予想についてご説明させていただきます。

B-1. 下期・通期業績予想

まず為替の前提ですが、ここのところ若干円高の方に向き、それからまた燃料油価格も、かなり急激に上がったりしまして非常に予測がたてにくいのですが、為替につきましては第3四半期は115円前後で行くだろうと思っております。第4四半期については、やはり色々な意味でドル安の要因というのが何となく目の前に来ており、110円程度で見るのが良いのではということで、平均しますと112円50銭という見方をしております。

 

それからバンカーにつきましては、第3四半期、今既にやっております補油、バンカリングしたベースで、ある程度予測がつき大体390ドル前後だと思うのですが、第4四半期、このままでいきますと、とりあえずこの前提を450ドルで見まして下期通算で420ドルと見ています。しかし原油の値段の動向によっては、この辺りは若干変動があるかも知れません。

 

従いまして、通期売上が1兆3千億円、前年度に比べると20%の増を予測しております。それから、経常利益につきましてはほぼ上・下同じぐらいということで1,280億、これも前年同期に比べると2倍の規模になる見込みであります。当期純利益につきましては840億、これも60%強前年度に比べて増の予定でございます。

 

配当ですが20%ということで、今まだ発行した転換社債で転換しきれていない部分がかなりありますので、転換が進むということを前提にして配当性向20%、通期で25円の配当をしたいとこういう風に考えております。

 

通期でこの業績があがりますと、売上高、経常利益、当期純利益とも史上最高を更新する予定であります。

 

すみません。上期のところで申しあげるのを忘れたのですが、連結ベースで行きますと、売上、営業利益、経常利益、それから当期純利益とも史上最高益を半期ベースで更新しております。単体につきましては売上高と純利益が史上最高でありまして、営業利益、経常利益はこの前の史上最高益を更新しました 2004年度の上期に次ぐ第2番目の業績となりました。

 

通期の業績予想の中には、今年の4月から参入しました重量物運搬船の事業があるわけですが、このSALという会社の業績を連結に入れる予定にしております。この、今申し上げた数字の中には、それが入っておりまして、連結ベースで行きますと売上高が153億、それから経常利益ベースで13億、それから暖簾代の償却等がございますので、当期純利益ベースではマイナス8億の数字を織り込み済みでございます。

 

B-2. 事業別売上高経常利益予想

今回から、今まで事業部門別の内訳につきましてはコンテナ船しか開示していなかったのですが、コンテナ船と、海運業の内、コンテナ船以外の海運業をその他海運として含めています。この中にはコンテナ船以外の不定期、自動車,エネルギーの部門が入っているわけですが、海運業につきましてはこの2つに分けて、売上高、それから経常損益を区分して開示するようにしております。

 

このベースで行きますと、コンテナ船につきましては通期で140億。前年はマイナス78億でありましたから、改善額は218億。この中には既に会計基準の変更部分が織り込まれていますので、従来通り比較するとこれに140億がプラスされて、360億の改善となる予定であります。

 

コンテナ船以外の分野では、売上が6,000億弱、経常損益については1,075億。前年に比べますと415億の改善を予測しております。

 

先ほども申し上げましたが、確かにバルクのマーケットが高レベルで推移し、この貢献というのは非常に大きいわけですが、やはり当社の事業のコアはコンテナ船のところでして、ご存知の様にコンテナ事業というのは非常にボラタイルで、前期マイナス78、その前はプラス300、その前の年はプラス400というような状況が続いておりました。

 

需給関係、或いはその他の要因で全体のマーケットが、運賃レベルが下がり、当社のコンテナ船事業もその影響を受けるというのは止むを得ないわけですが、今回2005年の秋口から下がった、この混乱をやっと乗り切った、確かに乗り切ったという実感があるわけです。その過程において、やはり今まで何年もかけて、各現法の組織を強化し、営業力を強化し、なおかつ事業の運営の効率化を図ってきたその成果が出て来たと思っております。

 

外的要因によって運賃レベルが上がったり下がったりするのは止むを得ないのですが、その中においても、かなり対応できる力が実際ついて来てそれが現れて来たのが、この今回のコンテナ船事業の急回復かという風に私自身は思っております。これが結果として当社の大きな営業資産という風に理解しても良いと思っております。

 

B-3. 通期業績予想のポイント

通期ベースで行きますとここに書いてあります様に大きな増益となるわけですが、その大きな要因は市況変動、コンテナの運賃回復、バルクの高いレベルのマーケット、それから今までの営業規模の拡大、とこういうことであります。

 

前年に比べて640億強、それから第1四半期の公表に比べ250億の改善がみこまれる予定です。 為替の変動は年間ベースになりますが、1円の増減で12億プラスマイナス。燃料油価格の変動は、トンあたり10ドル変動で26億円の見込みであります。

 

B-4. 通期部門別業績予想

コンテナ船の見込みは、下期も荷況は好調を維持するだろうという風に見ております。上期に引き続き、需給関係は概ねタイトに推移するだろうと見ております。積高も前年比1割増で300万を超えて324万TEU、という見込みであります。

 

また後ほど、色々な見込みについて、考え方についてご質問あるかと思いますが、今のところ、我々は北米が一番大きなマーケットと思っていますが、やはり例のサブプライム・ローン等の影響が実需にどういう風に影響して来るのか、というのが心配なところです。見方としては少なくとも足元を見る限り、顕著な影響というのは今まだ出てきていないと思います。ただ影響が有るか無いかというと、やはり影響があるのだと思う方が正しいと思っておりまして、影響が出て来た時にどういう風に対応するかということは、また後ほどご質問あれば説明したいと思います。

 

B-4. 通期部門別業績予想

コンテナ船以外の状況ですが自動車につきましては引き続き需給関係は極めてタイトであります。荷動きは引き続き堅調に推移し、収益的にも安定的に推移するだろうと見ております。

 

ドライバルクの方もいつまで続くか、というのがありますが少なくとも下期はこのままの状況で推移するだろうと思います。これがいつまで続くかにつきましては、また後ほどご質問があればお答えいたします。

 

エネルギー資源は、若干伸び悩みということであります。規模は拡大しておりますが、収益的には横ばい乃至、上期の基調を保つという風に見ております。

 

C-1. 経営指標の推移

経営課題の取り組み状況でありますが、いくつかの課題を既に経営計画に織り込んでおりまして それを着実に実行し行っている段階であります。その中でも事業規模の拡大については、先ほど少々説明しましたドイツのSAL社への資本参加による重量物運搬船事業進出、これを4月に実行いたしました。

 

6月には若干遅ればせではありますがブラジルに現地法人を設立しまして、これから“K” Line Brasilとして “K” Line のrepresentationをおいて、“K” Lineとしての事業をこれから拡大して行く体制作りに励んでおります。コンテナ船についても、これも念願の課題であったアジア南米航路、南米東岸航路を6月に開設しました。インドに駐在員事務所を設置し、既に色々新たな商売が始まりかけている、特に不定期船、自動車船部門の営業サポート体制を固めつつあります。勿論既存の代理店を使ってライナー、コンテナのビジネスも拡張中であります。

 

それから7月には4,500個積のノン・パナマックスのコンテナ船10隻を発注し、9月にはアジア黒海直行サービスも開設しました。特に地中海の方面では活況を呈していまして、物の流れに対応して体制を強化中であります。

 

そして、これも大きな課題の一つであります船舶管理体制、これもインドヘの“K” Line Maritime Academyの開設、特にインドにおける機関士養成のための船員の教育機関との提携、日本において川崎汽船の研修所別館の新設竣工を行いました。またLNGの船員研修でSIGTTO(シグットー)と言いますが、スタンダード認証を取得し、安全運航体制をさらに強化して行く。引き続き進行中であります。

 

C-2. 経営課題への取り組み

2007年度、ご説明した計画が達成されると、2007年度末には自己資本が4,500億を超える段階に入ると思います。また有利子負債については上期は若干少なくなったわけですが、新造船の計画が計画通り進行中でありますので、今年度も含めしばらくは投資が先行することからFree Cash Flowはマイナスとなる予定であります。有利子負債の残高も若干増える傾向にあります。

 

但し、収益性の観点から言うと、ROEも18%を維持できる見込みでありますし、ROAも12%をkeepできます。また自己資本比率については42%まで行けるだろうと思っています。DERについては、0.72ということで財務内容的にはさらに体力が強化されつつあるという風に理解しております。

 

C-3. 船隊整備計画の進捗

船隊整備計画の推移ですが、今年度は先ほど申し述べましたが、25隻新造船竣工予定で、2008年、2009年にかけてそれぞれ41隻、48隻と計画通り進行中であります。

 

実際今の経営計画2008,Vision2008+については、2010年代の半ばを見通したかなりロングレンジの計画ですが、具体的な数値目標については2006、7、8の3年間しか今まで発表しておりませんでした。今年度一杯かけて2009年度以降の数字も固めたいと考えております。

 

来年の4月に本決算の発表をするわけですが、その場で9、10、11年度までの3年間を見通してみたいという風に考えております。これは、なかなか今のマーケットがいつまで続くのかというのが微妙な時期でありますが、船隊の整備計画も2011年まではほぼ、大体固まっているような状況であります。あとはマーケットをどう見るかということで実際出てくる数字も、変わって来るだろうと思っていますが、この時期に2011年まで見通すというのは結構しんどいところがあります。

 

どのような数字になるのかあと半年かけてゆっくり考えてみたいという風に思っております。

 

むしろ数字よりも、勿論数字が一番大事なのですが、かなり従来と違った高いレベルまで当社も来ました。一方で例えば運航船腹が増えて、安全運航に対する取り組み方も今まで以上に強化しなければならなりません。営業規模が今までよりもかなり急激に拡大して来ましたので、例えば海においては船員さんの問題もそうですし、陸においてもかなり人的資源の問題が、いろいろ出て来ています。

 

このような問題をできればまだ比較的収益が見込める段階で、その先を見越して相当力を入れて強化して行きたい。これが1つの大きなテーマになるのではないかという風に考えております。

 

以上です。

以 上