それでは2007年度の第一四半期の決算概要についてご説明申し上げます。
配布いたしました資料及びパワーポイントにそって説明させていただきます。

 

A-1. 2007 年度第1四半期決算概要

決算概要ですが、一言で言いますと、前年に比べ大幅に増収・増益を果たすことができました。まず四半期ベースでいきますと、過去の四半期ベースの実績と比較して売上高では、連結・単体とも史上最高であります。

 

それから営業利益ベースでは、2004年度の第3Quarter に続いて第2番目の営業利益を達成することができました。経常利益ベースでは、連結では史上最高益、単体でも2番目の成績でありました。当期利益ベースでは、連結・単体とも史上最高益をあげることができました。

 

こういうことで、当初の見込も越え改善、増収・増益を果たすことができましたのは、次のページでもご説明申し上げますが、コンテナ船の欧州の運賃が思った以上に回復できたということ、それからバルクのマーケットがやはり高止まりをしていたという要因があると思います。売上高では連結で3092億、経常利益で361億、当期利益では258億の結果であります。

 

今年度から決算短信にも参考資料として添付していますとおり、従来コンテナ船事業の事業損益だけを参考資料としてご報告していましたが、今年からコンテナ船に加えてその他海運事業の事業損益も加えました。この中には、不定期船・自動車船・エネルギー資源等々が入ったその他海運事業の部分も、コンテナ船事業と同様に、切り離して参考資料として添付しています。これが、このA−1の資料の右の方に書かれてある事業部門別の売上高・経常損益でございます。

 

為替は120円で、言わば円安のレベルで推移しております。燃料油価格は随分高い、と思っていたのですが昨年の第1四半期と比較すると、それでも6ドルほど安くなっているようで、これは実感としては逆かな、と思っていますが、数字上はそうなっております。

 

A-2. 業績のポイント

前年度に比べると売上高で569億プラス、増益のところで260億のプラス、となっております。

 

その要因としては、ここにあります様に先ほども説明しましたが、コンテナ船の運賃が予想以上に修復できたということ、それからバルク市況の高騰、これが続いたということであり、それに加え、前年度の竣工船47隻がフル稼働等々、全部門において営業規模が拡大しました。市況変動と営業規模合わせて、250億程度の増益要因がありました。

 

A-3. 部門別業績動向−コンテナ船−

このコンテナ船事業の動向が、川崎汽船の収益動向に大きな影響を与えるわけです。詳しくは後ほど、色々ご質問があると思いますのでそこでお答えすることにしまして、やはり前年度に比べると売上高で300億強、それから損益ベースで100億以上の増益となりました。もともと前回の決算発表の時に、今年、年間通じて200億程度前年より改善できるのではないか、というような話をしたと思いますけれども、色々な要因がありますが、それにかなり見合ったような増益が果たせているのではないかと考えております。

 

お陰様で8000個型船4隻が投入されてフル稼働している、ということ。それからまたスエズ経由のアジア・北米東岸の航路も開設し、当初は消席率を心配しましたが、週を追うごとにお陰様で貨物をとることができまして、規模の拡大に大きく貢献していると考えています。もう一つは、南北航路も拡充しているということもありまして、営業規模を拡大できた、ということ。それからおしなべて堅調な荷動き、特に欧州向けがところによっては20%を越えるような積高・荷動きの増がありました。これは非常に大きいと思っております。懸念しております北米向けにつきましても、荷動きの伸びは緩やかになって来ているようでありますバンカーの高騰、それから北米向けの荷況の懸念等から、多くの船社が船のリシャッフルを行っているようで、実際の船腹の投入量はむしろ前年より下まわっているような数字が出ています。そういう意味で、所謂需給関係は強く推移しています。その様な意味で90%強の消席率を保ち、今のところ、アメリカ経済のスローダウンの影響は、少なくとも、需給関係という点ではあまり出てきていない、というように考えております。

 

積高も前年に比べて14%弱の伸びを示しておりまして、今年はあまり荷動き等についてそれほど大きい心配をしなくても良い、と考えております。肝心の運賃率ですが、ここにあるように前年と比べた状況を示しており、一言で言いますと、例えば欧州向けについては、一昨年の秋口に運賃が急落しましたが、ほぼその下がる前のレベルまで戻している、或いは2nd Quarterになれば、若干それを上まわるような期待もしております。

 

A-3. 部門別業績動向−ドライバルク−

ドライバルクにつきましては、お陰様で規模も拡大し、何よりも昨年4月・5月とバルクの市況が落ちたわけですが、今年度に限っていえばそういうこともなく高止まりしています。こういうことで、市況の高騰を享受させていただいた、というように考えております。増益要因の中にありますように、大型船市況、それから中型船・小型船についても非常に堅調にマーケットを示しております。

 

A-3. 部門別業績動向−自動車船−

自動車船につきましても、昨年竣工した8隻がフル稼働し増収・増益となっております。直近の、例えば先ほどアメリカの経済の云々の話もありましたが、6月のアメリカの自動車の販売が、何ヶ月かぶりかで1600万台を切るというような数字になっているようですが、我々の最大のお客様である日本のメーカーさんの販売状況は決して悪くなく、しばらくこういうことで推移するのではないか、と思っております。特に日本車の需要が堅調であるということです。

 

A-3. 部門別業績動向−エネルギー資源輸送−

エネルギー輸送ですけれども、この部門は規模が拡大したということで増えていますが、収益的には前年に比べると減益となっております。我々も収益的には、VLCCのマーケットは、全く影響は無いわけですが、特にアフラの市況が前年に比べると、若干低迷した、と思っております。それからクリーン船についても、市況は若干反落したということもあり、おしなべて売上高は横ばいでしたが、収益的には減益となっております。

 

A-3. 部門別業績動向− その他事業部門−

その他の事業部門については、内航フェリー、主として川崎近海汽船ですが、増収・増益と聞いております。

 

物流事業も、比較的堅調な動き、特に昨年の7月に合併しましたケイライン・ロジスティクが航空貨物事業と海上貨物、こちらのシナジーも徐々に出てきつつあり、お陰様で増収・増益を果たしております。

 

B-1. 2007 年度 上期・通期業績予想

このようなことで、第1四半期は、私どもが予想した以上に非常に良い成績を残すことができました。
非常に喜んでいるところです。

 

今年度の上期・通期どうなるかということですが、下期については、最初にお断りをしておかなければいけないのは、マーケットの状況、それから運賃前提等、今回それぞれの部門において見直しはしておりません。まだ、第1四半期が終わったばかりで下期を見通すのはもうしばらくちょっと時間をいただきたい、ということで最初にそれをお断りしておきたいと思います。

 

ただバンカーの前提が、先週末にはシンガポールで400ドルを越えるというような、ちょっとした大きな動きを示していまして、バンカーだけは期首の前提では問題であるということで、下期390ドルでバンカーを見直しました。その他のマーケットの前提などは見直しておりません。そういうことで通期の数字をつくっております。

 

上期につきましては、数字のご説明をする前にご報告しておかなければならないことがあります。実は、大きな会計基準の変更をすることにしました。本日の取締役会で決定し、既に開示をしております。現在、私どものコンテナ船は収益・会計の基準は所謂、「積切出帆基準」という会計基準を適用しております。大体世の中には3通りの会計基準がありまして1つは「航海完了基準」、2つ目は私どもが今までやってきた「積切出帆基準」、その中間的な基準として、我々が本日決めた会計基準は「複合輸送進行基準」、という、わかりやすく言うと日割り案分で収益を計上する、という見方です。

 

簡単に説明しますと、「航海完了基準」というのは、全ての航海が完了した段階で費用も収益も認識する、「積切出帆基準」というのは、その会計期間内に、例えば今回の場合で行きますと、6月の30日までに出帆した船の運賃は全てそこで計上し、費用は発生するごとに計上するという方式をとっています。どこまで厳密かどうかわかりませんが、会計士の観点から見ると「航海完了基準」というのが一番保守的と言いますか、セーフティーサイドに立っていることになるそうです。

 

「積切出帆基準」というのは、両極端ではありませんけれども、若干、費用は後で認識し、運賃は先に認識するということで、保守的かどうかという見方をすれば保守的ではない方の基準になります。所謂「複合輸送進行基準」というのは、中間的なもので「航海完了基準」よりは保守的ではないけれども、「積切出帆基準」よりは保守的、というような見方になります。

 

ちなみに日本の定航船社3社のうち、日本郵船さん、商船三井さんはこの「複合輸送進行基準」を適用しています。現在私どもだけが「積切出帆基準」を適用しておりまして、従来も、例えば運賃が上がるときには早く、当社の場合は反映されたりするという話はありました。

 

もう1つは世界で、国際会計基準の問題が今色々言われているわけですが、一般的に役務を提供する産業については日割り案分、所謂船会社の基準で行くと、「複合輸送進行基準」が一般的に適用されている会計基準である、と言われています。

 

特に今、国際会計基準云々が言われているときに、船会社のコンテナ船の運賃の会計基準が国際的に問題になるということは無いのですが、我々としても今後、例えば可能性として資本市場で資金調達したりする場合、例えばロンドンで社債を上場することになる場合を考えて、できるだけ一般的に行われている会計基準にする方が良いだろう、という風に考えております。

 

実はそうすると今回の場合、売上高・経常利益段階で、売上と経常が一緒ですから、運賃がそのまま認識されないということですので、つまり140億の利益、売上・利益、それから当期利益ベースで行くと85億円の当期利益が実は認識されない、ということになります。

 

先ほど言いました3つの会計基準はどの会計基準を使っても、会計士、或いは税務上も、それは認められているわけです。しかも当社としても「積切出帆基準」を継続しても、所謂継続して流れていけば、その推移は同じ基準で見るわけですので、流れの中では運賃が下がった、或いはその消席率、そのコストがどうかというのは流れの中では一貫して見ることができるわけですが、先ほど説明しましたように、できれば国際的に行われている一般的な会計基準にする方が、色々、後々(あとあと)考えた場合は良いだろう、という判断から、今回、市況が良い、しかも後ほど述べますが、それを適用し、経常利益ベースで140億、当期利益ベースで85億の利益が認識できなくても、そこそこの利益があげられるのではないか、という判断をしまして、基準を変えるのであれば今期だと判断した次第であります。

 

実は140億の利益をここで認識しない、こういう前提で、上期の売上高は6300億、経常利益ベースで590億、当期利益ベースで430億、という上期予想をしております。期首に公表した数字よりも、例えば経常利益ベースでは110億を上回るベースであり、前年に比べても344億増益、ということになる予定です。ちなみに通期ベースでいきますと、売上高で1兆2300億、それから経常利益ベースで、史上最高益の2004年度の数字には及びませんけれども、1000億を越える1030億、それから当期純利益ベースで行くと710億という、当期利益ベースでいきますと史上最高が達成できる、という風に見ました。

 

このベースでいきまして、実は従来より配当性向、当期利益の20%を公約しておりますので、通期ベースでいきますと通期で22円の配当が可能であろう、と考えまして中間配当も11円、従来10円で公表していましたが、これに1円増配して11円、通期で22円を配当しようという計画であります。

 

B−2 事業別売上高・経常利益予想

実はコンテナ船の方で140億利益を圧縮されたということで、数字上コンテナ船は、通期を通じて若干マイナスになります。但しこれは140億を入れるとすると、プラス135億、前年が約80億マイナスでしたから、言ってみれば140億を見込めば、プラス200億はこれで達成できるのではないか、と考えておりまして、コンテナ船以外のその他海運業についても、良い数字があがるだろう見ております。

 

先ほど言いましたようにマーケットの前提を見直していませんので、上期を終わって下期を見通せる段階に、もう一度通期の数字を見直したいと思います。直近のマーケットの推移を見ると、期首の前提は数字上はですが、おさえ気味であると思っていますので、下期の見直しの時にどういった数字になるのか、もう一度見直してみたいと思っています。

 

B−3 上期業績予想のポイント

上期の業績予想については大枠ご説明申し上げましたので、それで良いかと思います。

 

B−4 上期部門別業績予想<コンテナ船>

コンテナ船も引き続き今から7月の値上げの問題、或いはピーク・シーズンのサーチャージの問題など、安定的に収益計上できるのではないかと考えております。

 

B−4 上期部門別業績予想<その他海運事業>

コンテナ船以外につきましても、自動車・ドライバルクとも堅調な荷況、および高値のマーケットをある程度享受できるのではないかという風に見ております。

 

C−1. 経営指標の推移

そういう前提で2007年度の通気の予想を見てみますと「“K” Line Vision 2008+」で掲げた、とりあえず当面2008年度までの数字をあげましたが、売上高は1兆1千億に対して今期1兆2千を越えるところまで行きますので、これは当面の計画はクリアできる、その他の利益のところでもクリアできる可能性が強い、と思っております。そういう意味で、2008年以降、8年、9年、10年、投資計画もその辺りまでかなり纏まっていることになるので、恐らく今期末には8年、9年、10年の数字をある程度固めて、皆さんに公表する、ということになるであろうと思っております。

 

その延長線上で2010年代半ばの数字がどうなるか、じっくり検討してみたいと思います。

 

C−2. 船隊整備計画の進捗

この表の中に、2009年度の数字までしか出ておりませんが、これ以降の2010年、或いはそれ以降の船も、決まっているものがあります。今のところ2008年末の500隻体制というのはほぼ手中に入っており、その次の2011年末の600隻体制も大体視野に入ってきている、という風に思っています。次に出す新たな、3ヵ年計画の延長といいますか、見直しについては、出来上がった段階でまたご連絡したいと思います。

 

C−3. コスト削減計画

コストの削減計画、段々、数字が細かくなってきますけれども、引き続いてやります。今年度についてもコンテナ船を中心に80億程度コスト削減を見込んでおります。

 

以上で第1四半期の概要説明を終わらせていただきます。

以 上