4月1日より崎長(現会長)の後を引き継ぎまして社長になりました前川でございます。
今回がデビュー戦でございましてひとつお手柔らかに宜しくお願いいたします。

 

A-1. 2004年度決算概要

お手元に配られております決算説明資料、これを中心にして2004年度の決算概要と、今期の見通しについてご説明させていただきます。
2004年度の推移ですが、売上高 8,284億円、経常利益が1,072億円と初めて1,000億円台を超え、当期純利益につきましては599億円と当社に取りましては、極めて好調な決算で終えることが出来ました。
その結果として、為替レートは平均で107.46円、バンカー価格は191.71ドルという事で、2003年度と比べますと為替については6円50銭の円高、バンカーについても20ドルを超えるというコストアップ要因でございますが、このコストアップ要因を上回る規模の拡大があった、及びマーケットの好調で尚且つ当初見込んでおりましたコストセーブも出来たということでございます。
この結果を受け、従来発表しておりました配当につきましては、単体の配当性向20%という事を申し上げておりましたので、単体の490億円の当期純利益に対して年間配当を16円50銭と発表させていただきました。

 

A-2. 決算の要点

このような好調な結果になったわけですけれども、ここに書いてありますように、3期連続史上最高益更新とあります。これにつきましては、連結ベースで当期純利益について3期連続で最高益を更新できました。売上につきましては5期連続、経常利益及び営業利益につきましては2期連続で最高益を更新できたと、このような結果になっております。
昨年、策定いたしました5年間の経営計画 “K” LINE Vision 2008につきましては、当時予測しておりました状況よりも大幅に上回る市況の好転を受け、最終年度の利益目標を既に初年度で達成できました。
財務体質につきましても、お手元にございます資料の14ページに『C?2 Vision2008 数値目標推移』とありますけれども、この右側の数字を見ていただいておわかりのように大幅に改善されております。株主資本も利益が積み上がって充実し、有利子負債も削減できたという結果になっております。
大幅に増収増益になりました要因は、先程もご説明いたしましたけれども、営業規模の拡大、及び当初見込んでおりました市況が大幅に上回る好調な市況であったという事と、コスト削減が当初目標通り達成できた結果でございます。
但し市況が好転すると同時に、我々が実際に船腹を運航するに当たり、傭船料が高くなる結果になりましたし、ご存知のように原油高によるバンカーの高騰と、若干円高になったというコスト増要因もございます。
また、悪化要因として為替変動で△65億円、バンカーの変動で△50億円でございますが、それらを凌駕して改善要因がありました。市況変動で365億円、規模拡大で125億円、コスト削減等で70億円プラスの効果がございました。このような経営状況の好転を受け、前倒しに減損会計を適用し連結ベースで70億円の減損処理を行いました。配当につきましては年間で16円50銭という決算となりました。

 

A-3. 部門別業績動向(コンテナ船)

次は不定期専用船部門ですけれども、不定期専用船部門には不定期船と自動車船部門がございまして、両部門とも、当初の見込みを上まわる利益があげられました。

 

コンテナ船は当社の一番大きな営業母体であり、当初の見込みを上回る業績を達成できました。
積高につきましては、全体で前年比8%弱の増、個別にいきますと、北米8%増、欧州6%増、アジア11%と、おしなべて好調に荷動きが推移しております。
それとあわせて主要航路にて運賃率の修復があり、欧州で約8%運賃率の増があり、北米でも約3%運賃率が改善しました。全体で約8%の運賃率が回復いたしまして、これはほぼ当初見込んでおりました通りになっております。
改善要因である70億円のコスト削減はコンテナ船部門が主要でございまして44億円達成できました。
但し、これはコンテナに特化した課題でございますが、特に北米の西岸において昨年夏以降、労働不足、滞船による荷役遅延の影響が一部あり、コスト増要因が約10億円程度ございました。
また、コンテナ船部門におきましては、営業規模拡大及び運賃率の回復により、売上高で前年度約400億円プラス、利益において140億円弱の改善がございました。

 

A-4. 部門別業績動向(不定期専用船)

不定期専用船部門につきましても、前年比大幅に改善がなされました。特に不定期船においては運賃市況が非常に活況に推移し、営業規模も拡大し、全体として6%弱の稼動延べトンの増加がございました。
背景としましては、日本における堅調な粗鋼の生産、中国向けの各種荷動きの増加、これら主要因によりマーケットは高値で推移いたしました。
特に中国要因というのは色々なところで取り上げられている訳ですけれども、中国向け鉄鉱石の輸送が昨年度は2億トンを超えたということであり、色々なところでこの影響が出てきておりました。中型船、小型船においても穀物或いは石炭等の輸送量が増大し、これも中国の影響が大きいということでございます。

 

自動車船につきましては、当社の積高が前年に比べて17%増となり初めて200万台を超えました。
全体として世界の自動車の荷動き量は活発であり、我々の推定では1,000万台を超えたのではないかと見ております。北米、特にアメリカ、欧州、豪州、アジアにおきましても非常に活発になっております。

 

不定期船の全体といたしましては、バルカー、自動車船を合わせて営業規模を拡大し、一部コストセーブも実り増収増益となりました。

 

A-5. 部門別業績動向(エネルギー資源輸送)

エネルギー資源輸送部門も他の部門と同様に非常に好調な成績になっております。

LNGにつきましては、只今取り組んでおりますプロジェクトは順調に進捗しております。
一方、稼動延べトンが昨年並みに若干マイナスとなっておりますが、これは一部の船がドックに入りました結果でございます。

 

電力炭につきましては、新造船を1隻投入し、ケイラインのブランドとして売っておりますコロナ・タイプという幅広船ですが、これをあわせて14隻で動かしておりますけれども安定的に運航されました。その結果、年間1,300万トンの輸送を達成し、シェアは大体20%弱になりました。前年、非常に船腹が不足し、逆鞘配船の運航を強いられましたが、昨年はそれらも改善され安定的な収益をあげることができました。

 

油槽船につきましては、こちらも非常にマーケットが好調であり、VLCCのWS(ワールドスケール)が平均150という高値でございましたが、当社のタンカーの船隊規模は余り大きくありませんので、市況の変動を大きく受けることはございません。偶然前年においては新造船1隻がフリー船で動いたということもありまして、そのような意味で安定的に収益を確保することができました。更に、シンガポールで動かしておりますアフラマックスにつきましても、新造船を1隻投入したことで部門の増収増益に貢献したということでございます。

 

A-6. 部門別業績動向(連結子会社)

内航の部門につきましては、業績が安定的に推移しました。また、物流港湾につきましても特にコンテナ船の荷動きの増加もありまして、扱い量が増え、我々の傘下におけるグループ会社につきましては、収益改善、安定的に推移したということでございます。

 

B. 2005年度業績予想

皆様非常に、過去の結果よりも寧ろ今期どのように見ているのかという方がより関心があると思いますが、引き続き2005年度の業績予想について、ご説明させていただきます。

 

B-1. 2005年度業績予想

2005年度の業績予想につきまして、まずは通期で今期の見込みは為替レート105円を前提として見ております。
バンカーにつきましては、足元のバンカー高ということもあり、少し細かく分けて想定いたしました。即ち、第1四半期は250ドル、上期は240ドル、通期では230ドルと見ております。
この前提で売上高が9,000億円、前年度の実績に比べ約9%弱の増収を見込んでおります。
経常利益につきましては、特にバンカーの値上がりの影響が大きいので、前年度に比べますと2%減、即ち1,050億円を見込んでおります。それでも1,000億円を維持出来る業績予想になると見ております。
純利益につきましては、前期に減損処理も済んでおりますので、15%の増益を見込み690億円の予想をしております。
これを受けて今期の配当予想といたしましては、年間18円を予定しております。
この18円の前提につきましては、去年の経営計画策定の時点で10円の安定配当体制を維持して、単体の配当性向を20%とおくと致しましたが、継続して安定的な収益体制が見込めるということもございまして、株主の皆様への利益還元に努め、序々に配当性向を上げていきたいと考えております。今年度は22乃至23%、前年度の20%に比較して2?3%増とし、18円とおきました。
今の5年間の経営計画を策定した時点とでは、状況がかなり変わったこともあり、今後、この5年間の経営計画があと4年残っておりますので、数値をどうするのかという事は常にある訳ですけれども、当然見直しはしかるべきと考えております。しかしながら、去年見込んだ計画が半年もしないうちに急展開いたしましたので、今後マーケットの状況等を今年一杯かけて充分に見直し、今年度末に残りの3年間の計画数値につきまして、きちんとした計画をつくり発表させていただきたいと思っております。
それにあわせて配当についての考え方も、もう少し踏み込んだことを考えたいと、このように考えておりまして、2005年度につきましても状況に応じては18円を超えて配当することもあり得ると考えております。
連結・単体の比率が、売上高は2004年度1.26に対して2005年度は1.27、経常利益は2004年度1.23に対して2005年度は1.35、当期純利益は2004年度1.22に対して2005年度は1.44倍と相対的に連結部分の数字が増えております。
裏を返せば単体が少し悪くなったということにもなりますが、これは色々なマーケットの状況などで前提条件のおきかたにより変わってくると思っております。
この数字自体は連結ベースの経常利益が1,000億円を超えるような利益が確保され、尚且つ当初、この数年来進めてきました連結経営が序々に実を結びつつあるのではないかという積極的な見方もしておりまして、特に単体の数字が相対的に低くなったということにつきましては、余り悲観といいますか、大きな問題とは考えておりません。
寧ろ連・単比率が大きくなるということで、我々の今まで行ってきました施策が序々に実を結びつつあるのではないかと積極的に考えております。

 

B-2. 業績予想のポイント

個別の問題も入るのですが、特に収益に対する悪化要因は、為替、或いはバンカーの問題もございますが、その他の要因としましては、やはりマーケットが好調で上がってきたということもありまして、特に船を準備して整えておく上で船隊の一部を傭船でカバーしているのですが、傭船料が高くなったということもあり、コストの悪化要因だけでも300億円の後半くらいございますが、規模拡大、マーケットの市況の変動も所謂プラスの要因として受けて300数十億円のコスト増要因をカバーし、ほぼ経常利益で横並びの業績が確保できるのではないかと考えております。

 

B-3. 部門別業績動向

個別の部門別の業績動向でございますが、まず核でありますコンテナ船につきましては昨年度の状況と余り変わっておりません。即ち中国の貨物等好調が続くであろうという想定で、特に東西航路、北米欧州の基幹航路を中心に積高の増加を見込んでおります。

 

運賃率に関しましても、特に北米につきましてはサービス・コントラクトの改定がほぼ一段落しつつあるということですが、全体として値上げが見込まれます。但し、往復航のインバランスが拡大するという想定もあり、復航の運賃につきましては若干下落すると想定しております。そのような要因を勘案して、コンテナ船の業績につきましては、前期に比べて改善を見込んでおります。

 

不定期船につきましては、マーケットとしては堅調を見込んでおります。但し一部において軟化の傾向もございまして、昨年度の実績よりは若干控えめに見ております。但し、市況全体としましては非常に堅調でございます。
自動車船もまた、非常に荷動きは好調であり、積高も増加を見込んでおり、1割強程度輸送量が増えるのではないかと見ております。おしなべてバルカー及び自動車につきましても、オペレーションコストの増、傭船料の増加等がございまして、全体としましては若干減益予想を見込んでおります。

 

エネルギーにつきましては、状況は大きく変動するとは見込んでおりませんが、マーケットの見方としては昨年度よりも若干軟化を見込んでいることもあり、これもおしなべて、昨年に比べますと若干でございますが減益の予想をしております。
即ち、全体を見渡しますとコンテナ部門については増益を見込み、その他の部門についてはおしなべて、若干でございますが、減益を見込んでおります。

 

C-1. キャッシュフロー、投資額ならびに主要財務指標

昨年度の実績及び今期の見込みにつきましては、好調を受けてキャッシュフローは非常に好転し、結果として有利子負債の削減にもつながっております。
株主資本も前期末で2,000億円に近い数字でございまして、今期には株主資本比率が35%程度を見込んでおり、株主資本の絶対額としても2,000億円をはるかに超える数字になる予定でございます。
一方で、キャッシュフローがついてくるということもございまして、有利子負債につきましては若干の微増を見込んでおり、負債資本比率も改善されてほぼ1に近づくというような状況を見込んでおります。
船隊の増強につきましては、右側の欄にありますように、今年度につきましては逐次新造船が投入され20隻が新船隊に入る予定でございます。その結果、一部の部門において船繰りに苦労している部門もございましたが、序々に改善されるのではないかと見ております。

 

C-2. Vision2008 数値目標推移

今年度の見込みを受けて、経営計画 “K” LINE Vision 2008 と数値目標の推移につきましては、ここにある通りですけれども、空白になっている2006年、2007年、最終年度である2008年とも、充分に回りを見ながら見直していきたいと考えております。

 

C-3. 船隊規模推移

船隊の規模につきましては、昨年度の計画で361隻を100隻純増させて、2008年度までには461隻にする予定でございまして、最初の1年目の状況は順調に進行し、特に大きな変更はございません。
投資計画につきましてはご案内の通り、総額で7,300億円の規模を予定しております。おしなべて計画通りに進んでおり、隻数ベースでいきますと船隊整備は181隻を見込んでおりましたけれども、大体8割程度は確定乃至内定になっております。残りの2割につきましては、今後とも計画の確定に向けて努力いたしておりますが、一部の船種につき、造船所の船台が2008年度まではほぼ埋まっており、船種に限らず船価が急激に上がっておりますので、高い船を掴んで後で苦労をすることがないように、粛々と状況をみながら残りの船隊整備につきまして引き続き検討していくことを考えております。
全体としましても、そのことによって投資額が大きく上ブレ又は下ブレすると言うことは、今のところ見込んでおりません。

 

C-4. コスト削減運動

コスト削減運動は、Vision2008の中にもありますように当社のDNAの一つとしてコストに非常にシビアな風土を引き続き保って行きたいと考えており、2004年度につきましては、当初の目標は50億円を見込んでおりましたが、結果として70億円の実績となりました。今年度につきましても、50億円のコストセーブを見込んでおり、既に一部は業績予想の中に織り込んでございます。

 

C-5. “K” Line Vision 2008 基本課題の遂行状況1

“K” LINE Vision 2008 の基本課題の遂行状況ですが、計画通り順調に進んでおります。
中でも、コンテナにつきましては8,000型の新造船4隻の追加を決定いたしております。これは、一部2009年にずれ込みますが、これが出来上がりますと2006年度竣工予定の4隻に加え、8隻の8,000個積みの船隊になるということでございます。また、新興国でありますBRICSにおける代理店、或いは支店網開設も着々と進行しており、中国においては物流会社の新設、及びCEPAを利用した代理店を設立いたしております。

 

鉄鋼原料につきましては、後ほどこの「投資家ガイド」の中の資料もご覧頂きたいのですが着々と進んでおります。現在の船隊整備計画の中で“K” LINE Vision 2008 の期間中にケープサイズ60隻程度に船隊を大きくすべく計画を進めております。

 

自動車につきましても、私どもはまず安全運航、それからダメージフリーのクォリティのあるサービスを確立していくことで進んでおりまして、荷動きが活況ということもあり、船の方も今年の3隻に加え、引き続き出て来るようになっております。

 

エネルギーにつきましては、主としてLNGの新規プロジェクトについて着々と契約締結、及び新しいプロジェクトに取り組みも進んでおります。
既に発表させていただきましたが、当社にとりまして新規の取り組みであるアンモニア輸送船の長期契約も締結出来ました。また、今まで川崎汽船としては契約がなかった出光さんとのVLCCの契約も出来たということもございまして、規模は少々小ぶりではありますが着実に規模の拡大を図っております。

 

シンガポールにあるKLPLのアフラマックスの運航も、今後船隊が増えていき、運航体制も強化されて、これから楽しみな会社であると見ております。

 

C-5. “K” Line Vision 2008 基本課題の遂行状況2

コスト削減につきましては、さきほども申し上げましたが、当社の遺伝子として着実に継承していく所存です。利益が上がることにより財務体質も改善され、将来的には所謂当初見込んでおりました10円の安定配当体制からレベルを上げるようなことを、今度の新経営計画の見直しの中で明確に打ち出したいと考えております。
また、おかげさまで債券の格付けも上がりA格が取れ、実際に振込みは新年度、4月以降になったわけですけれども、新たに300億円の転換社債も発行することが出来まして、着実に進んでいると認識いたしております。

 

以上で説明を終わらせていただきます。

以 上