川崎汽船の社長をやらせていただいております、崎長でございます。

 

できるだけ我が社の現状をご理解いただきたいと思っております。
とりあえず30分以内で、できるだけ短く、このパワーポイントを使いまして、まず現況を少しおさらいをこめまして、やらせていただきます。

 

<スライドA-1/2003年度中間期決算概要>

中間期の決算概要でございますが、ここに赤字で書いてある一番左の数字が当中間期の数値でございます。まず前中間期との比較増減率をご覧下さい。
それから公表数値、これは8月7日に第一四半期の決算を発表しましたときに、期首に発表いたしました上期収支見込を上方修正いたしまして、それからさらに若干今期に関しましては上方修正となりましたので、その増減が書いてございます。
数値そのものはそれぞれご覧いただければわかると思いますので、省略させていただきまして、当中間期と前中間期の比較をご覧いただきたいと思います。
売上高連結が17%上がっているという、この背景は後ほどご説明申し上げますが、これに対して所謂利益項目、営業損益、経常損益、当期損益、これがいずれも、200%、300%超、というような極めて大きな変化率で出ております。
これは他社をご取材になったアナリストの皆さんもご理解いただいていると思いますが、これは主としてコンテナ事業の収支改善が一点、もう一点はノン・コンテナ部門の中のバルクとエネルギー輸送部門の市況の改善を享受した点、この二点で説明ができるのではないかと考えております。
それで、一つだけ、公表数値の当期損益のところだけ触れておきますが、当期損益のところの利益の見込みが、経常が改善しているのに関わらず、当期損益が改善してないという点がありますが、この点につきましては、資産処分を予定以上に実施したということと、グループ間取引に関わる前提条件が変ったということの差でございまして、特段特別損益項目が増えたわけではございません。

 

<スライドA-2/2003年度中間期財務指標>

このP/Lに関しましては、今のような数値になるのですけれども、これを財務指標に反映するとどうなるかというのがこの数値でありまして、ご覧いただきましたら自明の通りでありまして、殆どの数値が前期比大きく改善していることがご理解いただけると思います。
特に一番右の青い字で書いてございますのが、私どもが昨年度から始めました3ヵ年のKV-Plan、これの最終年度の目標数値ですが、今上期が終わったということは、丁度1年半この計画が終わったところでございまして、後ほど通期見込みをご説明いたしますが、その数値でもう一度確認いたしますけれども、極めて順調に進んでいる、むしろ当初計画に比べ大幅に上方に数値が出ているということがございますので、期末には2004年度の数値がほぼ達成できるのではないかと今のところ考えております。
特にこの中では、ROE,ROAにつきましては当期が大きく伸びたわけですから当然でございますが、株主資本の比率がようやく19.2%ということで目標の22%にかなり近づいている、というあたりが、私としては順調に進んでいることの一つの証と申し上げられるのではないかと思います。

 

<スライドB/ 上半期の経営環境>

上半期の経営環境、或いは営業環境でございますけれども、ここに書いてありますのが主要項目であります。
マクロ的には皆様ご承知の通り、米国経済、イラクの戦争が非常に期首段階では気がかりな点だったのですが、これが比較的影響が軽微だったというのか、米国経済そのものがあまり影響を受けなかったというべきだと思いますが、私どもの主力市場であります米国の経済環境があまり悪くない、むしろ良い環境で推移した。
それから、日本は緩やかな底離れ、これは私どもの判断でございますけれども、原材料の輸入等々に携わっている分野で感じるところでは、緩やかな底離れの局面といって良いのではないかというのが判断でございます。
欧州弱含みと書いてありますが、私どもの感じでは、荷動きの面から見てみますと、アジアからの荷動きは極めて盛んでございまして、欧州の購買意欲はかなり強い。
そういう意味ではもしかして欧州の消費構造、或いは購買構造に若干構造変化があるのではないかという、まあ良い方へですが、そういう期待を持っております。
アジアの影響は、航空等と違いまして、SARSの荷動きに対する影響は比較的軽微だったと理解しております。
中国はもうご存知の通り高成長継続ということでございます。

 

当社がおかれている環境というのは、ここに羅列されている通りでありまして、コンテナとそれから不定期船、バルク、タンカーは先ほど申し上げた通り。
ただ自動車の方が、欧州・豪州向け輸送台数堅調と書いてありますが、ちょっと北米が前年比でいきますと、前年も比較的良かったものですから、それを大幅に上回ることは無くて、後ほどご説明しますが、台数的にはほぼ前期並みの台数でございました。

 

<スライドC-1/部門別業績動向(コンテナ船)>

それからこれを部門別にもう一度なぞってみますけれども、コンテナ船に関しましては、積高と書いてありますところをご覧戴きたいのですが、前上期103万TEUというのに対し、今期113万TEUということで、9%の増、つまり輸送数量がまず伸びました、というのが1点です。
また、その背景は当然ご理解ある通り中国出し貨物を中心に、好調な荷動きがENJOYできました。
それから、仕向け地に関しまして言うと、欧州、北米、アジア、全て積高は見込みを達成しております。
もう一つ大事な点は、欧州、北米、大西洋向けの運賃率修復という点でございますが、これも後ほど詳細を図面でご説明しますが、これが一番大きなインパクトを与えた点ではないかと思う。
あと、私ども独自の努力ですが、地中海航路のサービス増強等、努力をしております。
これに加えまして、今回抜けておりますが、コスト削減努力というものがかなり大きく効いておりまして、ここは後で一覧表でご説明いたしますが、前期ほど大きく効いていない。
前期はご存知の方いらっしゃると思いますが、コンテナの新しいタイプの大型船を投入したことに伴います航路改編と、それからその寄港地の整理等で大幅なコスト引き下げの効果が出たのですけれど、今期はその要素はございませんで、地道な貨物費等のコスト削減努力もこの好業績には貢献している、とご理解いただければと思います。

 

<スライドC-2/部門別業績動向(不定期専用船)>

不定期船専用船部門でございますが、これは2つに分かれますが、自動車専用船の方は先ほど申し上げましたように、77.7万台が77.3万台と輸送台数が一番下に書いてありますが、このようなことで、台数としては横ばいでございました。
収支的には前年並みでおさえることができました、こういうことでございます。

 

それから、非常に大きく貢献した点は不定期船部門でございまして、これはご既承の通り、運賃率が今、非常に高騰しております。
これが年初、つまり期首くらいから少しずつ上がってきておりましたが、今かなりピークにあります。
ピークがどこまで続くか、どういう状況で続くかというのが通期、或いは来期以降の見通しに少し影響を与えると思いますが、この分につきましては、私どもとしましては、比較的大型船につきましては、長期・中期の契約をベースに運営をする、ということをやって参りました。
これは毎回ご説明しておりますが、日本の製鉄会社を中心にまず安定輸送をやっておりまして、この高騰した市況を享受する部分というのが全船ではございませんで、ある意味では、持っている船腹といただいている荷物のギャップ、差額の浮いたフリート分だけが、市況の高騰を享受できるということでございます。
この要素がまず一つあります。
それから、輸送数量全体が26%増えておりますので、当然これに伴う増収・増益は織り込んでございます。

 

<スライドC-3/部門別業績動向(エネルギー資源輸送)>

エネルギ-輸送につきましては、毎回ご説明しております通り、液化ガス運搬船は長期安定輸送でございますので横ばいでございます。
電力炭でございますが、私どもの注力しております分野の一つでございまして、新造船が幅広新船型の船を1隻投入した効果もありまして、大幅に輸送数量が伸びております。
ここで稼動延べトンが24%伸びておりますのでお分かりいただけると思いますが、非常に専用船、専用船ではないのですが、専用船に近いフリートで、電力会社さんの輸送引き受けをしているのですが、オプションでお決めいただいていたものが、オプションで、つまり荷主さんの方が積むぞ、といったら運ぶ義務があるのですが、これが若干、当然ですが電力会社さんの方で行使されまして、私どもとしましては船が少しショートする局面が出まして、高い傭船量で市場からとるということがございましたので、逆ざや配船が一部出ております。
これは他社さんでも似たような状況のご説明があったと思います。
油槽船、タンカーにつきましては、稼動延べトンも7%増えておりますし、タンカー市況全般も前期に比べますと高安ございますが、平均すると高いレベルで推移しておりまして、これも貢献しております。

 

<スライドC-4/部門別業績動向(連結子会社)>

あとは、その他の部門でございますが、内航・フェリーこれは川崎近海汽船を中心にやっておりますが、業績は安定です。開示した通りでございます。
運輸付帯サービスにつきましては、特に海外法人を中心にする代理店サービスの法人、ここは荷物の量が増えておりますので、収支も当然改善しておりまして、安定推移をしておりますが、ちょっと円高ということもございましたので、効き方が、ちょっとドル収入で海外法人が稼いだものが弱かったと思っております。
航空貨物は、ご存知の通り、飛行機会社そのものの影響が出ておりまして、扱い高が減少して若干下方に動いた事業でございます。

 

<スライドD/当上半期連結決算ファクター別増減要因分析>

それから、この次は、この当上期の連結決算に影響を与えたと思われます要因を、要因別にここで記述してございます。
対前年同期、右側の方の数値をご覧戴ければと思いますが、為替変動が4円53銭で18億円、バンカーが18ドル85、想定したものより高かったということで、これが23億円マイナスになります。
一方、先ほど来ご説明しております市況変動が193億、それから、規模の拡大、複数部門の規模の拡大が24億円、先ほど別途ご説明と申し上げた合理化、コスト削減等は50億円貢献して、あわせて前年同期比226億円改善をしました、という分析でございます。

 

<スライドE/2003年度通期見込み>

それでは、ここから一気に通期見込みまで説明させていただきますが、まず上期の数値に、第3四半期までの累計が通算してございますけれども、これは後ほど第3四半期を発表したときに、これをチェックポイントに使うということで書いてございますが、一番左端に書いてございます通期見込みが、私どもの現時点で把握している当期の数字なのですが、一応為替レートを115円としておりますが、これは大体上期が120円弱でございましたので、下期を110円で見ているということでございます。
燃料価格の方は下に書いてございますが、下期を166ドルで見て、通期が実績と合わせますと平均で169ドルとなるということでございます。

 

(参考資料:中間決算要旨)
この数値だけではちょっとご理解しにくいと思いまして、先ほど河村が申し上げましたようにこの大きい紙(「音声と資料によるご説明」頁、「決算短信・その他資料」より中間決算要旨ご参照)をご覧戴きたいのですけれども、これの右側に第3四半期と第4四半期とを分けまして数値が書いてございますけれども、それぞれを前上の第1四半期、第2四半期と比べていただきますと、下期がそれぞれ、上ほどではない、しかし前期は遥かに上回っている、と比較ができるのですが、そのようにご覧いただけると思いますけれども、当下期の部門別損益の見方をご説明した方が早いと思いますので、そちらを先に説明します。

 

<スライドF/部門別業績動向>

まず先ほど来ご説明しておりますコンテナ船事業の収支の見通しでございますが、これは、燃料費、円高は先ほどの通りでございますが、いつも下期というのは、北米航路、欧州航路、アジア航路それぞれいずれも、少しスラックシーズンに入るという傾向がございます。私どもは積み切り出帆主義をとっておりますので、その効果が大体当期に反映されてしまう。
完了主義をとっておられるところはちょっとずれるのですが、私どもはそういうことでございまして、業績は上期に比べますと、下方に推移いたします。ただ、これももちろん当初期首に見ました下期の予想等に比べますと大幅に上回っていることには変りございません。
ここで悪くなる要素がコンテナ事業、コンテナ事業以外、いずれも上期比では下期の方が悪くなると見込んでおりまして、それで経常損益ベースで上に比較しまして約70億くらい下期の方が悪くなる。その数値を合算しましたものが通期の見込みになっている。
それで第3四半期と第4四半期は社内で計算した通りのものをここに出しておりまして、第3四半期でこの通りまずいくかどうかを確認し、第4四半期の見込みを再修正するか、上方になればいいなと思っておりますが、コンテナ船はそういう体質というか、元々の本質的な下期の下方ということでございまして、運賃率、或いは貨物のトレンドが弱くなるというような見込みではございません。
それから不定期船専用船の運賃市況の高騰部分でございますが、さすがに少しもう現時点で修正が働いているように思いますが、かなりまだ高いレベルの水準を保っておりますので、一応この一定の水準で、高水準で推移するものと見込んでおります。
それから、自動車船につきましては下期の方が少し、自動車の輸送台数、細かくはトレードごとに違いますが、とくに欧州が強いこともございまして、荷物が少し沢山運べるということもありまして、通期では前年を少し上回るような数字にならないかと期待はしておりますが、当面この収支計画上は、 少し収益的にも上期よりも少し下がる、という風に、コンサバティブといいましょうか、見込んでおります。
従いまして全部門とも上期比では下期は少し弱い数値になるということでございます。

 

<スライドE(1枚戻り)>

この一番左側にあります売上高7,000億、営業利益600億、経常利益530億、当期利益300億、とこの数値に届けることは、現時点では問題無いと考えております。
その前提を踏まえまして、通期の配当を10円に修正させていただき、中間期の配当を5円ということでございまして、この通期見込みを達成することが、私の現在の確信と申し上げて良いのではないかと思います。
ただ変動要素は当然色々なところにあるわけですが、一番大きい変動要素、つかみやすい変動要素はまず、為替でございまして、今下期を110円で見ていると申し上げましたが、すでに108円、或いは7円の声が出るというような状況でございまして、ここにつきましては別途資料がございますが、1円で4億円ぐらいのインパクトになりますので、仮に107円くらいで推移しますと、まあ10億、12?3億ということが係数上なるのですけれども、私としてはその辺ぐらいの数値であれば、まだ営業努力目標で頑張っている部分もございますので、吸収して、ここに出ております通期見込みを達成することは可能と考えておりますし、全力をあげて達成するつもりでございます。

 

<スライドG-2/ 03F損益変動要素(通期ベース)>

これが今申し上げました通期ベースの変動を与える影響の、センシティビティのインパクトでございます。
一番大きいのは先ほど申し上げた為替、これが通期で8億円ですから下期だけだと4億円、こういうようなことでご参考に供しておきます。

 

<スライドH-1/ KV-Plan収支計画進捗状況>

それで最後に、私どもが先ほど申し上げました3ヵ年のKV-Planとの対比をもう一度確認させていただきます。
2001年度にですね、特に下期にコンテナ運賃が大幅に急落したことに伴いまして、下半期に営業赤になりまして、通期でなんとか黒字をキープし、配当原資をキープし、残念ながら3円に減配というようなことをいたしました。
それを踏まえまして、V字型の回復を図ろうということで、総力であたるということでVというイニシャルを使ったのですが、これの'02年度の実績が一つ書いてございまして、ここで一応、かなりのところまで戻したので、2年目の'03年度の通期予想、もう一度書いてございますが売上高7,000億円、 営業利益600億円、経常利益530億円、当期利益300億円、これをこのプランの2年目と設定いたしますと、一番右端にKV?Plan目標達成度が、最終目標の04年度との比で書いてございますけれども、収益項目等は問題無いということがこれでおわかりいただけると思いますので、できればこれをきちっとやって、このKVーPLANを2年で終了して、新しい経営計画を持って新しいステージで考えていきたいと現在考えております。

 

<スライドH-3/KV-Plan数値目標達成状況(CS‐300コスト削減運動>

コスト削減運動、KV-PLANの中にCS-300というコスト削減運動を織り込んでおりますが、これは3年間で300億コストを削減しよう、こういうことでやって参りまして、前期が234億、先ほど申し上げました、航路の合理化、サービスの改編等の要素を80億くらい入れまして、234億達成したということでございまして、このブルーの数字のところでございますけれども、当期が91億達成すると。上期で57億達成しておりますので、ここで3年間300億といったものを、2年でコスト・セーブについては達成したという形を、なんとか今期末には確認したいと思っております。

 

<スライドI-1~/ KV‐Plan基本課題の遂行状況>

あとはあの、定性的な項目がずっと書いてございますけれども、これはお手元の印刷物の方でご覧いただければと思っておりますけれども、それぞれの項目につきまして、確実に1つ1つを実行して参っているつもりでございまして、将来に向ってきちっとしたターゲットを定めた行動計画で進めていることをご理解いただければと思いまして、列挙してございますのでご参照ください。

 

(参考資料:船隊整備計画)
大体これで30分くらいでざっとかけ足でご説明いたしましたが、あと投資計画等をご説明させていただきます。
追加資料でお配りいたしました、船隊整備計画(「音声と資料によるご説明」頁、「決算短信・その他資料」より「今後の船隊整備計画」ご参照)でございます。
現在発注済みで、しかもそれを公表済みというもので、まだ計画中とか、相手との関係で申し上げにくい、というものは入っておりませんが、一応こういうことで船隊の整備計画を作成して出してございます。
コンテナ船につきましては、先ほど来申し上げておりますように、13隻の5,500個型の次に、パナマを通って、東岸サービスができる体制を作るということで、4,000個型を8隻、これは'04年から'05年度、それから次は8,000個型を4隻、これは'06年度に出て参りますけれども、これはYMLの4隻と合わせて1フリートにして運営するということでございます。
それからあと5,500個タイプを5隻、これは5隻を1フリートにして現在用船中の船と差し替えてロー・コスト化を図るということを考えております。
勿論、8,000個も4,000個型もそういう意味では用船している船の代替でございますので、これが入る頃には傭船コストがさらに下げられると期待しております。
それから不定期船部門につきましては、ケープを中心に、これだけのフリートを整備することで、日本或いは中国、韓国等の、或いは欧州等もございますが、鉄鋼原料の効率輸送に遣っていただき、収益拡大を図りたいということでございます。
それからPCCにつきましては、6,000台積み4隻、5,000台積み3隻、これが現在発注中でございまして、自動車船隊69隻くらいのフリートを拡大する部分と、それから、もしそうした状況に何かのマイナス変化がございますれば、老朽船で対応する等のフレキシブルな戦略が講じられると思いますが、一応今現在ではこれを業容の拡大にあてたいと考えております。
エネルギー輸送船はここに書いてある通りでございまして、LNG船は2隻のスノービットの船を除きますと、邦船3社或いは外国船と一緒になったジョイント・プロジェクトでございます。
石炭船は先ほど来申し上げた、私どもが開発いたしました幅広石炭輸送最適の浅航船ということで順次拡大していっているものでございます。
VLCCは2隻を追加で発注いたしまして、新規の契約に投入したいと思っております。
アフラマックスは私ども1つの特徴ある営業分野でございまして、更なる収益の拡大を図りたいと思っております。

 

どうもありがとうございました。

以 上