【イントロダクション】

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▸本日は、当社について簡単にご紹介した後、当社をとりまく事業環境について、通期業績と事業概況について、そして当社の取り組み、中期経営計画の進捗アップデートについてご説明いたします。

 

 

【川崎汽船の紹介】

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▸当社は「グローバルに信頼される“K” Line -海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献します。」という企業理念のもと、様々な船舶を保有、運航し、海上輸送を生業としています。

 

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▸具体的にどのような船舶を保有・運航しているかと言えばドライバルク船ではケープサイズと呼ばれる大型の鉄鉱石等を運搬する船舶や穀物や石炭など様々な原料や鋼材等を運ぶ中小型のばら積み船があります。またエネルギー資源輸送ではLNG輸送船やオイルタンカー、電力会社向けの石炭を輸送する船舶など、製品物流セグメントでは自動車船やコンテナ船、近海内航船などがあります。最近では脱炭素・低炭素で重要な役割が期待されている液化CO2運搬船やLNG燃料供給船、洋上風力発電プロジェクトをサポートする地質調査船等も加わり、約450隻を保有・運航しています。

 

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▸こちらは、今年1月末時点での上場海運会社のなかでの時価総額ランキングです。当社は、上場している海運企業のなかで、グローバルで9位の時価総額となっています。

▸ここからは、当社の主要各事業の概略についてご説明いたします。

▸当社の事業は、大きく2つの柱に分けることができます。ドライバルクやエネルギー資源輸送、自動車船などの「自営事業」と、日本郵船、商船三井と一緒にOCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)を通して事業運営しているコンテナ船事業です。

▸ここでは先ず、自営事業について、現行の中期経営計画において「成長を牽引する役割を担う3事業」と位置付けている、自動車船事業、鉄鋼原料事業、LNG輸送船事業を中心にご紹介いたします。

 

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▸最初に、自動車船事業です。当社は日本で初めての自動車専用船を運航するなど、自動車海上輸送のパイオニアです。50年以上にわたり、世界におけるメジャープレーヤーとして、完成車輸送サービスをグローバルに展開しています。

▸乗用車のみならず、バスやトラックなどの大型車両、建設機械や重機、鉄道車両等の非自走貨物の輸送強化もはかっています。

▸また、2020年度からは、従来の燃料である重油に比べてCO2排出量が少ないLNG燃料焚き自動車専用船を就航し、お客様のニーズに応えるべく、CO2排出削減など環境対応にも配慮した船隊整備を進めています。現在6隻のLNG燃料焚きの船を運航していますが、26年度迄に13隻とするなど、積極的に取り組んでいます。

 

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▸鉄鋼原料事業はお客様との中長期契約に基づき、安定的な事業運営をめざしています。ケープサイズと呼ばれる鉄鉱石等を運搬する大型船が中心となりますが昨年の5月には、当社が運航、保有するばら積み船では初めてのLNG燃料焚きケープサイズ船が竣工、今後もお客様のニーズに応えるべく船隊を整備、環境対応船へのシフトを進めていきます。

 

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▸LNG輸送船事業は1983年に日本初となるLNG船を竣工して以来、日本のエネルギー輸送を担ってきました。脱炭素・低炭素へ向けたトランジションエネルギーとして昨今LNG需要の高まりが追い風となる中、長期契約がほとんどを占める同事業は安定収益の柱でもあります。

 

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▸当社は、“K” Line環境ビジョン2050において、自社の脱炭素化と社会の脱炭素化支援を掲げています。社会の脱炭素化支援に向けて、4つの新規事業領域に取り組んでいます。液化CO2輸送事業、FSUやFSRUなどLNG輸送周辺事業、再生エネルギーの発展に貢献する洋上風力発電支援船事業、新燃料としての水素/アンモニア輸送事業です。

▸洋上風力発電支援船では当社の子会社である川崎近海汽船会社とJVでケイラインウインドサービス株式会社を設立し、推進しています。

昨年の秋には、ケイラインウインドサービスはEGS Survey社と、海洋地質調査事業を対象としたEK Geotechnical Survey合同会社を設立しました。洋上風力の発展に伴い、需要の拡大が期待される洋上地盤の調査需要に対応するべく、洋上ボーリングを始めとして、様々な海洋調査サービスを提供していきます。

▸また、液化CO2輸送事業について、当社は世界初の二酸化炭素回収貯留プロジェクト向けの海上輸送に従事しています。昨年末には、液化CO2船「NORTHERN PIONEER」、「NORTHERN PATHFINDER」の2隻が竣工しました。その実績とノウハウを梃に、業界のトップランナーを目指しています。

 

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▸2つ目の柱であるコンテナ船事業については、2018年から日本郵船、商船三井と当社のコンテナ船事業を統合したOCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)で事業を運営しています。2015年時点では18のコンテナ船社が競合していましたが、集約が進んだ結果、運航船腹量が150万TEUを超える主要コンテナ船社は7社にまで集約されました。

▸また、コンテナ船社が共同運航するアライアンスも世界で3つに集約されました。大手船社がアライアンスを組み、安定したサービスを提供する体制も確立し、業界は安定化に向かっていると言えると思います。

▸なお、今年の2月にはアライアンスの再編があり、ONEは韓国船社のHMM、台湾船社のYang Mingと共に、Premier Allianceというアライアンスでサービスを提供しています。また、欧州航路については、同じく2月以降、スイスのMediterranean Shipping Company社(MSC)と提携を開始しました。引き続きお客様へのサービス品質強化・改善に努めていきます。

▸続いて、当社を取りまく事業環境についてお話しいたします。

 

 

【当社を取りまく事業環境】

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▸このグラフは、1994年から2025年までの世界の海上貨物輸送量の推移を表しています。1994年の時点では約50億トンに過ぎなかった輸送量は、2025年には約130億トンになる見込みです。30年間で3倍近くにまで増えたことになります。世界の人口増加とともに経済のグロ一バルな相互依存が進展して、海上交易無しには、世界経済は成り立たなくなっています。この点から、海運業は成長産業だと整理できると思います。

 

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▸次に日本にとって、海運が果たしている役割について見てみます。

▸日本の産業や日本人の生活は、海外から輸入される物資に大きく依存しています。エネルギーはほぼ100%、大豆は94%、木材も64%以上が輸入によってもたらされています。合計で99.6%、つまりほとんどすべての物資が海上輸送によって、運ばれています。海運業が日本にとって、欠くことのできない社会的・経済的なインフラであることが、ご理解いただけると思います。

 

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▸このような海運業について、足元の事業環境にどのようなリスクがあるかというと、大きく3つ挙げられると考えています。

▸地政学リスクも含めた経済のデカップリング、世界経済の動向、エネルギー政策の動向です。これらの3つが海運業に大きな影響を与えるリスクと認識しています。

▸本日は、これらの中から、足元特に注視しているポイントとして大きく2点、アメリカの政権交代と中東情勢にフォーカスしてお話しいたします。

 

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▸アメリカの政権交代については、エネルギー政策関税に代表される通商政策、また、アメリカの景気が新政権の動向によってどうなっていくのか、この3点が非常に大きなポイントです。

▸エネルギー政策では、LNG等の化石燃料の増産がアメリカからの輸出増加につながる可能性があります。これは当社のエネルギー資源輸送事業にとっては、事業機会が増えることになるという見方ができます。一方で、自動車船事業にとっては、EVの販売動向や、どのような車が売れるのかが、輸送需要に影響を与える可能性があり、この点はしっかりと見ていく必要があります。

▸通商政策においては、サプライチェーンがどう変わっていくのかが、コンテナ船事業と自動車船事業に、特に大きな影響を与える可能性があるので、注視していきたいと思います。

▸アメリカの景気については、アメリカの消費動向が、コンテナ船事業と自動車船事業に大きく影響します。また、仮にアメリカでインフレが進行する場合、LNGプロジェクトなどの遅れなどが想定され、エネルギー資源輸送事業への影響が出る可能性があります。

▸アメリカの新政権については、日々新しい動きが報じられていますが、状況を注視していきたいと考えています。

▸中東情勢については、2023年10月に、パレスチナ・ガザ地域のイスラム組織ハマスが、イスラエルに攻撃を開始、イスラエルが反撃したことに端を発し、情勢が悪化しました。2023年12月に紅海においてホーシー派による商船への攻撃があってからは、スエズ運河の航行を回避し、喜望峰を迂回する動きが継続、コンテナ船を中心に、船舶需給がタイト化するなど、事業への影響がでています。

▸このこともあり、現在、イスラエルとハマスの外交交渉が進行する中、海運業界にとっては、スエズ運河の航行再開がいつになるのか、どのような条件が揃えばスエズ運河に戻るのか、と言う点に関心が集まっていると思います。

▸当社の判断として、船舶、乗組員、お客様からお預かりしている貨物、これらの安全が十二分に担保されない限り、スエズ運河航行にもどることはありません。当面は喜望峰経由を継続していくことになると思いますが、四囲の状況を総合的に判断しながら、復帰のタイミングを見極めていきたいと考えています。

▸続いて、通期の業績と事業概況についてお話しいたします。

 

 

【通期業績・事業概況について】

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▸まず当期2024年度の通期業績予想についてご説明いたします。

・売上高1兆500億円

・営業利益1,060億円

・経常利益3,000億円

・当期純利益2,950億円

▸自営事業の堅調な推移と、コンテナ船事業の好市況を背景とした業績上振れにより、2月の第3四半期決算公表時には、従前の見通しから上方修正しています。

▸売上高は、2018年にコンテナ船事業をスピンアウト後初の1兆円超え、営業利益1,060億円は海運バブルであった2007年以来の1,000億円超え、経常利益3,000億円は、コロナ禍の影響があった2021年度、2022年度に次ぐ歴代3位の水準となっています。

 

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▸こちらのスライドでは、セグメント別の業績予想をお示ししています。

▸自営事業の内、ドライバルクセグメントは貨物の需要地である中国の内需が弱いですが、新造船の竣工による供給増加は限定的で底固く推移する見込みです。

▸エネルギー資源輸送については、中長期契約を中心に安定的に推移しています。

▸コンテナ船以外の製品物流については自動車船が中心になりますが、足元需給がタイトな状況が継続していて、業績は堅調に推移しています。

▸自営事業全般として、為替評価や一過性のコストなどの影響を一部受けていますが、事業そのものは順調に進捗していると総括できます。

▸コンテナ船事業については、従前の見込みから大きく上振れています。アメリカの新政権の動きや中東情勢の影響など、不透明な要素がありますが、引き続き状況を注視していきます。

 

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▸当社は、昨年5月に中計最終年度である26年度の経常利益目標を、従前の1,400億円から1,600億円に引き合上げました。また、2030年度の経常利益の目線として2,500億円+αとしています。なお、26年度、30年度の経常利益目標の前提については、足元の為替と比べて、保守的に円高の前提で策定しています。

▸この内、自営事業については、26年度経常利益900億円、2030年度の経常利益目線は1,100億円として、この目標に向かって取り組んでいます。先ほど、2024年度の通期の業績見込みについてお話ししましたが、2024年度の自営事業の経常利益は1,030億円となり、既に26年度の経常利益目標の900億円を超えています。

▸引き続き、これらの目標を継続的安定的に超えてゆけるように着実に事業運営を進めることができていると考えています。

 

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▸こちらのグラフは、当社の営業利益と経常利益の推移をお示ししています。

▸営業利益は堅調に推移していて、2024年度は、先ほどお伝えした通り海運バブルであった2007年以来の1,000億円超を見込んでいます。ここからも、コンテナ船事業以外の自営事業について、着実に成長していることをご理解いただけると思います。

▸コンテナ船事業の利益を含む経常利益は、2024年度は、コロナ禍の影響で大きく上昇した2021年度、2022年度に次ぐ、過去3番目の利益水準となっています。

▸ここからは、各事業について将来の市況の見通しや、中期経営計画の目標に向けた当社の取り組みなどをご説明いたします。

 

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▸先ず、自動車船事業の需給バランスの見通しについてです。

▸コロナ禍の際、輸送量の減少を見越して自動車船各社は船隊を大きく絞りました。その後、半導体や自動車部品の供給制約が改善して、輸送需要が回復、また中国からのEVを含む自動車輸出が急激に増加したことを受けて、ここ数年間、自動車船輸送の需要に対して、供給が足りていない状況が続いています。加えて、先ほどお話ししました、中東情勢に起因するスエズ運河回避の影響で船舶需給が更に逼迫する状況になっています。

▸当社としては、需給は2026年頃にかけてようやくバランスしていくものと見ています。当社では、新たな輸送需要への対応や、建設機械や重機など非自走貨物の取り込みを増強したりすることで、収益改善に取り組みます。

 

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▸そして、船隊の大型化により、1隻当たりの輸送キャパシティを増やし輸送効率を改善したり、新造船の投入等で収益性の高い建設機械や重機、鉄道など非自走貨物の輸送力の強化を進めたり、お客様のご要請に一緒に取り組むため、環境対応船を増加させたりすることにより、競争力ある船隊整備を進めていきます。また、足元での海上輸送需要は堅調と見ていますが、予想に反して輸送需要が低迷した場合でも、直ぐに船隊規模を調整できるように、船隊規模柔軟性は適切に確保しておく方針です。

 

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▸次は、鉄鋼原料事業についてです。このグラフは、横軸に輸送需要、縦軸に顧客内で当社が占めるシェアのイメージを示しています。資源メジャーは顧客内シェアの向上、日韓ミルは顧客内シェア維持に注力します。また既に強固な地盤を確立しているインド・中東ミルに対しては、需要が増加することが見込まれますが、営業組織を強化、拡充することにより、新たな顧客基盤・商域の拡大を目指しています。

 

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▸今後の事業戦略としては、運航規模を維持しつつ、運航効率をあげて、インド・中東・シンガポールといった注力地域での営業力の強化に取り組みます。また、貨物契約と船隊構成の期間のバランス適正化により、市況耐性を強化しつつ、環境対応船需要の取り込みによって、船隊規模増加と収益拡大を目指します。さらに、新たな輸送需要を開拓することで収益アップサイドを実現していきます。昨年5月には、当社のバルク船隊では初となるLNG焚きCAPE船のCAPE HAYATEが竣工し、運航を開始しています。

 

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▸次は、LNG船事業についてです。このグラフは、世界のLNG需要を表したものです。LNG需要は、新興国を中心とした経済成長による消費量の増加に加え、カーボンニュートラル社会実現に向けた現実解であることを背景に、少なくとも2040年までは堅調に増加し、それ以降も安定的に推移することが見込まれています。LNG需要全体の増加・維持に沿って、当社が注力する長期安定型のLNG輸送船の需要も2040年までは堅調に増加すると予測しています。

 

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▸左側のグラフは、当社の関与隻数と市場規模の拡大を表していますが、足元46隻から2026年度には65隻へ、2030年度には関与隻数を75隻以上とし、中長期的には100隻体制を視野に入れていく計画です。

▸2026年度の65隻の計画については、既に契約を締結していたり、締結に近い状況であったり、ほぼ確定している状況です。その先の期間についても、既存顧客の案件積み上げと、新規顧客の開拓に注力し、長期契約を中心に契約を積み上げていきます。昨年12月には、新たにインド国営企業にして同国最大の天然ガス供給会社であるGAIL(ゲイル)社との傭船契約を締結しました。

 

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▸当社は、“K” Line環境ビジョン2050において、自社の脱炭素化と社会の脱炭素化支援を掲げています。社会の脱炭素化の支援を進めるために、4つの新規事業領域に取り組んでいます。

▸ネットゼロに向けた現実解としてLNGと二酸化炭素回収・貯留、CCSの両輪での開発が必要と考えており、カーボンニュートラル社会実現を支える液化CO2輸送事業とLNG輸送周辺事業、再生エネルギーの発展に貢献する洋上風力発電支援船事業、新燃料としての水素/アンモニア輸送事業の4つの事業に取り組んでいます。

 

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▸この内、本日は液化CO2輸送事業についてご説明いたします。

▸液化CO2輸送事業は、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠なCCSバリューチェーンの中流を構成する重要な要素で、当社の強みを生かせる社会的意義のある事業といえます。CCSは工場などから排出されるCO2を回収・輸送し、地下に圧入することでCO2を削減する手法で、ネットゼロ実現の現実解として、LNGとCCS両輪での開発が不可欠となっています。

▸CO2輸送において、CO2の回収地と貯留地の距離が離れている場合は液化CO2船による海上輸送が必要となりますが、ノルウェーのNorthern Lightsプロジェクトは世界初の船舶輸送を伴うCCSバリューチェーン事業で、当社グループは液化CO2輸送船の船舶管理を担当します。

▸当社グループでは、Northern Lights社が発注した4隻の船隊の内、3隻について傭船契約を締結しています。昨年末には、この内の2隻、「NORTHERN PIONEER」、「NORTHERN PATHFINDER」が竣工しました。

 

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▸当社では、今後も液化CO2輸送船の需要は増加していくとみていますが、CCSの需要は各国の支援制度や技術革新の進展度合いに依存するため、事業性の見極めや事業・投資計画の更新を逐次行っていく方針です。

▸今後増加するであろう液化CO2輸送需要を、先行者メリットをいかしながら、しっかりと取り込んでいく所存です。

 

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▸最後にコンテナ船事業についてです。こちらのスライドは、コンテナ船の需要と供給、それぞれの伸び率の実績と見通しを示しています。黒い折れ線グラフが供給の伸び率、赤い折れ線が需要の伸び率を示しています。

▸2024年は需要の伸び率4.5%に対して供給の伸び率は10.3%と、需給環境としては厳しい環境にあったと言えます。

▸しかしながら、中東情勢を背景としたスエズ運河通航回避を受け、喜望峰への回航により航海日数が伸びていること、北米の荷動きが堅調に推移していることなどから、コンテナ船の需要は強まり、結果として新造船による供給圧力を吸収する形となりました。このことが、短期スポット運賃の高騰につながり、コンテナ船事業の業績に寄与しました。

▸2025年のコンテナ船の供給の伸び率は5.7%とピークを超えた形になりますが、供給量はスエズ運河の通航可否に大きく影響を受ける状況は継続すると思われます。

 

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▸ONEの第3四半期までの業績実績は従来の予想を上回って推移してきました。第4四半期は旧正月などの関係で荷動きが低迷する季節的な要因がある時期ですが、足元の短期スポット運賃は予想の前提ほど悪くない水準で推移しています。引き続き状況につき注視していきます。

 

 

【中期経営計画の進捗】

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最後のパートでは、中期経営計画の進捗について、ご説明いたします。

2022年度から始まった中計も、折り返しの3年目がもう少しで終わろうとしています。更なる成長と企業価値向上を達成するために、資本政策・事業戦略・機能戦略の施策を着実に実行していきます。

 

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当社は、中計の最新の進捗に合わせて、昨年の5月に中計最終年度である26年度の経常利益目標の見直し、またその先の2030年度の経常利益についての目線感も開示いたしました。

2026年度の経常利益目標を、自営事業を中心に1,400億円から1,600億円へと引き上げ、また、2030年度に向けては2,500億円+αという目標を掲げています。2,500億円というのはオーガニックな成長を前提に、現在進めている投資計画や事業計画を積み上げて作成したものです。+αについては、今後更なる成長に向けた非連続的な施策も継続的に検討していく中で目標に加えたものです。

 

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▸このうち、自営事業の成長の内訳を示したものがこちらのスライドです。先ほどご説明いたしました、成長を牽引する役割を担う事業と新規事業領域の稼ぐ力の磨き上げにより、成長を実現していきます。

▸中計期間の累計の営業キャッシュインフローについて、1兆5,000億円としています。投資キャッシュフローについては、7,400億円、株主還元については7,500億円以上とする計画としています。

▸営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローなどについては、2025年度の期首予算策定と合わせて、現在見直しを行っているところです。5月に予定しております、2024年度本決算の公表時にお示しできればと考えています。

▸現在数字の見直しを行っていますが、投資計画について、中期経営計画の「成長を牽引する役割を担う事業」と「環境対応」に投資の重点を置く方針に変わりはありません。

▸引続き、リスクとリターンを鑑み、投資規律を効かせながら、好況時には抑制的に、市況が悪化したときには戦略的にという基本方針に基づき、船価や船台の動向、顧客やプロジェクトの動向なども見極めながら、中計期間以降の案件も含めて取り組んでまいります。

 

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▸こちらのスライドでは株主還元政策についてご説明いたします。

▸2024年度については、期首時点では年間85円としていた配当を、11月の公表で年間100円に増配、中間と期末でそれぞれ50円とする計画です。

▸また、自営事業の堅調な推移、コンテナ船事業の上振れにより24年度業績が上振れしていること、25年度以降も自営事業について堅調な推移が見込まれることなどを背景に、25年度、26年度の配当についても、同じく年間85円としていた配当を、100円に増配することを2月に公表いたしました。

▸自己株式取得については、5月から7月にかけて908億円、3,955万株の自己株式取得を実施しました。これについては、8月に消却が完了しています。現在、追加で900億円、3,600万株を上限とした自己株式取得を今月末までを期間として実施しているところです。こちらにつきましても、取得完了後、消却を予定しています。

▸引続き、業績やキャッシュフローの動向を見極め、最適資本構成を意識しながら、企業価値向上のための投資、財務健全性を確保の上、余資については積極的に株主還元を検討していきます。

 

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▸最後に本日のお話しをまとめます。

▸成長を牽引する役割を担う「自動車船」「鉄鋼原料船」「LNG輸送船」の3つの事業に投資を集中し、「低炭素・脱炭素に向けた事業」も新たな柱に加え、「稼ぐ力」を強化、安定した収益を積み上げていきます。コンテナ船事業は、当社グループの重要な事業部門であり、株主として関与を継続していきます。

▸経常利益は、成長を牽引する役割を担う3事業を中心として着実に進捗しています。中計最終年26年度は自営事業で900億円、コンテナ船事業で700億円の合計1,600億円を目指します。その先30年度は自営事業を1,100億円+α、コンテナ船事業を1,400億円の合計2,500億円+αを目指します。

▸24年度は年間で100円の配当に引き上げ、908億円の自己株式を取得、取得した自己株式は消却済みです。また、これに加えて、11月~2月末の期間で900億円、3,600万株を上限とした追加の自己株式取得を実施中です。こちらについても、取得完了後、消却予定です。

▸25年度、26年度の配当についても、従来85円としていたものを100円に増配することとしています。

▸中計累計期間の営業CFについては1.5兆円、投資CFについては7,400億円としていますが、25年度の期首予算策定に合わせてアップデートを精査中です。こちらは、5月に公表を予定しています。

▸最適資本構成とキャッシュアロケーションを意識し、資本効率を高め、財務健全性を維持し、更なる企業価値の向上に努めるべく、機動的・積極的な株主還元を進めていきます。