【イントロダクション】

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▸本日の説明の構成ですが、当社の簡単な説明、通期業績、各事業をとりまく事業環境の今後の動向、そして当社の取り組み、中期経営計画の進捗についてご説明しまして、質疑応答に移らせていただきます。

 

 

【川崎汽船の紹介】

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▸川崎汽船は海運業を主軸とする物流企業です。船舶を運航し、物を運ぶことを生業としているわけですが、保有船舶の内訳をご紹介することで、その概略をつかんでいただければと存じます。

▸この円グラフは、20246月末時点の当社グループ運航船舶の内訳を示しています。いろいろな種類の船舶を450隻弱運航しています。運航船舶の内、コンテナ船、近海内航船、自動車船の製品物流が全体の約4割、ケープサイズ、中小型ドライバルクセグメントで4割、LNG船、電力炭船、油槽船など、エネルギー資源セグメントが残り約2割を占めています。

 

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▸こちらは、7月末時点での上場海運会社のなかでの時価総額ランキングです。当社は国内では日本郵船、商船三井に次ぐ3位であり、グローバルでは7位の時価総額となっています。

 

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▸こちらは、当社のセグメント別売上高構成比を示しています。製品物流が全体の57%と大きな割合を占めています。

▸尚、こちらは連結ベースの売上高です。コンテナ船事業を運営する、持分法適用会社であるOcean Network Express社(ONE)の売上高は含まれておりません。

▸ここからは当社の主要各事業概略についてご説明申し上げます。

 

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▸ONEは、日本郵船、商船三井と当社のコンテナ船事業を統合し、2018年からサービスを開始しました。こちらのグラフは20245月時点でのコンテナ船運航船社の船腹量を2015年時点と比較したものです。2015年時点では18社が競合していましたが、集約が進んだ結果、運航船腹量が150TEUを超える主要コンテナ船社は7社にまで集約されています。また、現段階では、コンテナ船社が共同運航するアライアンスも世界で3つに集約されました。つまり、現在は淘汰がかなり進んだということをここで説明しています。なお、邦船3社のコンテナ船事業の統合会社であるONEが所属するTHE ALLIANCEでは、主要メンバーであるHapag Lloyd社が20251月末を以てアライアンスから外れることになりますが、スイスのMediterranean Shipping Company社との提携を発表しており、引き続きお客様へのサービス品質強化・改善に努めてまいります。

 

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▸つぎに自動車船事業です。当社は日本で初めての自動車専用船を運航するなど、50年以上にわたり、自動車船海上輸送のパイオニアとして、乗用車のみならず、HighHeavyと呼ばれるバスやトラックなどの大型車両、重建機、鉄道車両等の輸送強化もはかっています。また、2020年度からLNG燃料自動車専用船を就航し、お客様のニーズに応えるべく、CO2排出削減など環境対応にも配慮した船隊整備に努めています。

 

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▸ドライバルク輸送事業は、鉄鉱石・石炭・穀物の3大ドライバルク貨物の他、ウッドチップ、塩やニッケル鉱、ボ-キサイトやアルミナといった資源・工業原料を輸送しています。その中でも、鉄鋼原料事業はお客様との中長期契約に基づき、安定的な事業運営をめざしています。今年の5月には、当社が運航、保有するばら積み船では初めてのLNG燃料焚きケープサイズ船が竣工、今後もお客様のニーズに応えるべく環境対応船へのシフトを進めていきます。

 

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▸つづきましてエネルギー資源セグメントです。主力のLNG船事業は1983年に日本初となるLNG船を竣工して以来、日本のエネルギー輸送を担ってきました。LNG需要の高まりが追い風となる中、長期契約がほとんどを占める同事業は安定収益の柱でもあります。

▸新規事業であるカーボンソリューション事業は、社会の脱炭素化を支える役割を担う事業です。洋上風力発電支援船では当社の子会社である川崎近海汽船会社とJVでケイラインウインドサービス株式会社を設立し、推進。また、液化CO2輸送事業について、当社は世界初のフルスケールCCSプロジェクト向け輸送に今年から参画します。その実績とノウハウを梃に、業界のトップランナーを目指しています。

 

 

【当社を取りまく事業環境】

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▸このグラフは、1994年から2025年までの世界の海上貨物輸送量の推移を表しています。1994年の時点では約50億トンに過ぎなかった輸送量は、2025年には約130億トンになる見込みです。30年間で3倍近くにまで増えたことになります。世界の人口増加とともに経済のグロ一バルな相互依存が進展して、海上交易無しには、世界経済は成り立たなくなっています。ここで申し上げたいのは海運業が成長産業だと考えているということです。

 

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▸次にわが国日本にとって、海運が果たしている役割について見てみます。

▸日本の産業や日本人の生活は、海外から輸入される物資に大きく依存しています。エネルギーはほぼ100%、大豆は94%、木材も64%以上が輸入によってもたらされています。合計で99.6%、つまりほとんどすべての物資が海上輸送によって、運ばれています。海運業が日本にとって、欠くことのできない社会的・経済的なインフラであることが、ご理解いただけると思います。

 

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▸次に、コンテナ船の短期運賃市況を表すSCFIの推移です。2010年から見ますと、上下はありつつも一定のレンジで推移していたSCFIですが、新型コロナウィルス拡大の折には、巣ごもり需要によるモノ消費が増加する一方、労働力が不足していたことを背景に物流がいろいろな箇所で滞留し、コンテナ運賃は急騰しました。2023年頃にはコンテナ運賃は落ち着いたものの、中東情勢によるスエズ運河通航回避により航海日数が長期化していることなどを背景に、202312月以降運賃市況は再び上昇に転じています。足元は徐々に落ち着きはじめている状況です。

 

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▸こちらのスライドは、ドライバルク船運賃指標であるバルチック海運指数、BDI(Baltic Dry Index)の推移です。

▸2000年代は、中国経済の拡大とともにドライバルク船の需要も増えBDIは急騰しています。ケープサイズのスポット傭船料が過去最高を更新、BDIが初の1万ポイント台突破、2007年には新造船受注量が過去最高を記録、その翌年にはリーマン・ショックが起こり、BDIは急落しました。リーマン・ショック前には船の値段も上昇しており、当社も高い船価での船の発注を行っていたため、リーマン・ショック後には不採算船の減損や構造改革費用での苦しい経験があります。

▸当社ではこの苦しい経験から、事業リスクや資本コストについての意識を社内で徹底、規律を維持した投資や経営管理の高度化を進めてきました。

 

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▸次に外部環境です。米中対立やロシア・ウクライナ、イスラエル・パレスチナ情勢などの地政学リスクや、中国景気の減速など世界経済の下押し懸念、また世界各地での流動的なエネルギー政策などの影響も受けており、外部環境は不透明な状況が継続しています。11月には米国大統領選も控えており、こちらの動向についても注視しているところです。

 

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▸足元の事業環境として、先ほど触れました、中東情勢悪化によるスエズ運河通航回避があります。

▸昨年10月にパレスチナ・ガザ地域のイスラム組織ハマスが、イスラエルに攻撃を開始、イスラエルが反撃したことに端を発し、中東情勢が悪化しました。昨年12月中旬以降は紅海においてホーシー派による商船への攻撃が続いており、スエズ運河の航行を回避し喜望峰を迂回する動きが加速、現在も続いています。

▸コンテナ船を中心に、船舶需給がタイト化するなど、事業への影響がでています。

▸当社としては本船の安全運航を第一に考え、紅海情勢を引き続きモニターいたします。

 

 

【通期業績・事業概況について】

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▸まず当期2024年度の通期業績予想についてご説明いたします。スライドの通期予想という表題の数字をご覧ください。

・売上高10,200億円

・営業利益1,020億円

・経常利益2,200億円

・当期純利益2,100億円

▸主にコンテナ船事業の好調を背景に、8月の第1四半期公表時には、期首の見通しから上方修正しています。

▸売上高は、コンテナ事業スピンアウト後(2018年以降)初の1兆円超え、営業利益1,020億円は海運バブルであった2007年以来の1,000億円超え、経常利益2,200億円はコロナ禍(2221)に次ぐ歴代3位となっています。先ほどお話しした通り、2000年代に大量に発注した高い船価の船に苦しめられていた当社ですが、コロナ禍におけるコンテナ船市況の高騰を背景に、財務体質は大幅に改善し、今では堅調な業績推移が見込まれています。

 

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▸こちらのスライドでは、セグメント別の業績予想をお示ししています。

▸コンテナ船事業の経常損益が期初時点の見込みから大きく上振れていますが、それ以外の自営事業についても期首計画通りないしは上振れて、順調に進捗しています。

 

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▸ここからは、各事業について将来の市況の見通しや当社の取り組みなどを中心にご説明いたします。

▸こちらのスライドでは、コンテナ船の需要と供給の、それぞれの伸び率の実績と見通しを示しています。黒い折れ線グラフが供給の伸び率、赤い折れ線が需要の伸び率を示しています。

▸2024年は需要の伸び率3%に対して供給の伸び率は10.5%と予想されていて、コンテナ船の需給環境としては厳しい環境にあると言えます。

▸しかしながら、中東情勢を背景としたスエズ運河通航回避を受け、喜望峰への回航により航海日数が伸びていること、北米の荷動きが堅調に推移していることなどから、コンテナ船の需要は強まり、結果として新造船による供給圧力を吸収する形となっています。このことが、短期スポット運賃の高騰につながり、コンテナ船事業の業績に大きく寄与しています。

 

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▸ONEとしては、これらを受け7月に上期の税引き後損益を前回予想の8億ドルから22.45億ドルに大幅に上方修正を行いました。下期についても2億ドルから5億ドルに引き上げ、通期予想を27.45億ドルとしています。6月以降、急騰した短期スポット運賃が、足元調整局面に入ってきていますが、10月までは、欧米のクリスマスに向けて貨物が動くいわゆるピークシーズンにあること、また紅海情勢の行方など、引き続き注視が必要な状況になっています。

 

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▸次に、自動車船事業の需給バランスの見通しについてです。

▸コロナ禍の際、自動車船各社は船隊を大きく絞りました。その後、半導体や自動車部品の供給制約が改善して、輸送需要が回復、また中国からのEV含む自動車輸出が急激に増加したことを受けて、ここ数年間、自動車船輸送の需要に対して、供給が足りていない状況が続いています。

▸EUや米国では中国製のEVについて関税が強化する方針が話されていますが、2026年頃にかけてようやくバランスしていくものと見ています。当社では、新たな輸送需要への対応や、背高・重量貨物の取り込みを増強したりすることで、収益改善に取り組みます。

 

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▸そして、船隊の大型化により、1隻当たりの輸送キャパシティを増やし輸送効率を改善したり、収益性の高い建設機器や重機、鉄道など背高・重量貨物の輸送ができるようにしたり、またお客様のご要請に一緒に取り組むため、環境対応船を増加させたりすることにより、競争力ある船隊整備を進めていきます。また、足元での海上輸送需要は堅調と見ていますが、予想に反して輸送需要が低迷した場合でも、直ぐに船隊規模を調整できるように、船隊の一部の調整能力を準備しておく方針です。

▸環境対応船の増加では、まずLNG燃料船の整備を進めていく計画です。こちらは自動車船事業に限った話ではありませんが、環境対応の需要の高まり、又、特に海上輸送で排出される炭素のコスト化が進んで行く中、排出CO2を削減できる環境対応船の競争力は、重油焚き船を逆転していく見通しであり、今後も継続的に競争力のある環境対応船を整備して行く計画です。

 

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▸次は、鉄鋼原料事業についてです。このグラフは、横軸に輸送需要、縦軸に当社の顧客内シェアのイメージを示しています。資源メジャーは顧客内シェアの向上、日韓ミルは顧客内シェア維持に注力します。インド・中東ミルの増加する需要に対しては、拡充・強化により、新たな顧客基盤・商域の拡大を目指しています。

 

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▸今後の事業戦略としては、運航規模を維持しつつ、運航効率をあげて、インド・中東・シンガポールといった注力地域での営業力の強化に取り組みます。また、貨物契約と船隊構成の期間のバランス適正化により、市況耐性を強化しつつ、環境対応船需要の取り込みによって、船隊規模増加と収益拡大を目指します。さらに、新たな輸送需要を開拓することで収益アップサイドを実現していきます。

 

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▸次は、LNG船事業についてです。このグラフは、世界のLNG需要を表したものです。LNG需要は、新興国を中心とした経済成長による消費量の増加に加え、カーボンニュートラル社会実現に向けた現実解であることを背景に、少なくとも2040年までは堅調に増加し2040年以降も安定的に推移することが見込まれています。また、需要全体の増加・維持に沿って、当社が注力する長期安定型のLNG輸送船の需要2040年までは堅調に増加すると予測しています。

 

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▸投資の状況ですが、左側のグラフは、当社の関与隻数と市場規模の拡大を表していますが、足元46隻から2026年度には65隻へ、2030年度には関与隻数を75隻以上とし、中長期的には100隻体制を視野に入れていく計画です。

▸2026年度の65隻の計画については、既に契約を締結していたり、締結に近い状況であったり、ほぼ確定している状況です。その先の期間についても、既存顧客の案件積み上げと、新規顧客の開拓に注力し、長期契約を中心に契約を積み上げていきます。

 

スライド29

▸当社は、“K” Line環境ビジョン2050において、自社の脱炭素化と社会の脱炭素支援を掲げています。社会の脱炭素化の支援を進めるために、4つの新規事業領域の事業に取り組んでいます。

▸ネットゼロに向けた現実解としてLNGCCSの両輪での開発が必要と考えており、カーボンニュートラル社会実現を支える液化CO2輸送事業とLNG輸送周辺事業、再生エネルギーの発展に貢献する洋上風力発電支援船事業、新燃料としての水素/アンモニア輸送事業の4つの事業に取り組んでいます。

 

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▸こちらのスライドではその中から「液化CO2輸送事業の社会的意義」についてご説明申し上げます。

▸液化CO2輸送事業は、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠なCCSバリューチェーンの中流を構成する重要な要素で、当社の強みを生かせる社会的意義のある事業といえますCCSは工場などから排出されるCO2を回収・輸送し、地下に圧入することでCO2を削減する手法で、ネットゼロ実現の現実解として、LNGCCS両輪での開発が不可欠となっており、CCSへの注目度が近年高まっています。CO2輸送において、CO2の回収地と貯留地の距離が離れている場合は液化CO2船による海上輸送が必要となりますが、ノルウェーのNorthern Lightsプロジェクトは世界初の船舶輸送を伴うCCSバリューチェーン事業で、当社グループは液化CO2輸送船の船舶管理を担当します。

 

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▸こちらのスライドでは「液化CO2輸送船の需要の見通し」についてご説明申し上げます。

▸弊社試算として、2030年代中盤で約200隻の液化CO2輸送船の需要が生まれると予測しています。

▸予測の根拠は、右側に示している計算式(CCS貯蔵トン数×船舶輸送割合÷1隻あたり輸送能力で算出しています。

▸CCS貯蔵トン数は、国際エネルギー機関が算出しているシナリオの中で、持続可能な開発シナリオを使用しています。

▸なお、CCSの需要は各国の支援制度や技術革新の進展度合いに依存するため、事業性の見極めや事業・投資計画の更新を逐次行っていく方針です。

▸今後増加するであろう液化CO2輸送需要を、先行者メリットをいかしながら、しっかりと取り込んでいく所存です。

 

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▸自営事業の収益をしっかり伸ばすのが当社の足元の課題ですが、こちらのグラフは自営事業の稼ぐ力の推移を営業利益で表現したものです。

▸コンテナ船事業の利益を含む経常利益はコロナ禍で大きく上昇し、2024年度は2022年度、2021年度に次ぐ過去3番目の利益水準となります。

▸また、営業利益はこちらのグラフの通り堅調に推移しており、2024年度は、先ほどお伝えした通り海運バブルであった2007年以来の1,000億円超を見込んでいます。コンテナ船事業以外の、自営事業についても着実に成長していることをご理解いただけると思います。

 

 

【中期経営計画の進捗】

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最後のパートでは、中期経営計画の進捗について、ご説明いたします。

2022年度から始まった中計も、今年度で3年目の折り返しに入りました。更なる成長と企業価値向上を達成するために、資本政策・事業戦略・機能戦略の施策を着実に実行していきます。

 

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当社は、中計の最新の進捗に合わせて、今年の5月に中計最終年度である26年度の経常利益目標の見直し、またその先の2030年度の経常利益についての目線感も開示いたしました。これに併せて、キャッシュフローアロケーションの見直しを実施、投資計画や株主還元政策のアップデートを行いました。

中計策定当初は、自営事業とコンテナ船事業をバランスよく、それぞれ経常利益として700億円ずつ稼ぐことを目標として掲げました。その後、コンテナ船の市況高騰で初年度2022年度は大きく想定を上回り、2023年度はその反動でコンテナ船の市況が大きく調整されましたが、自営事業が堅調に収支を支えたことで、結果として1,357億円と、最終年度である2026年度の当初の目標レベルにほぼ近づくことができました。

それらを受け、2026年度の経常利益目標を、自営事業を中心に1,400億円から1,600億円へと引き上げ、また、2030年度に向けては2,500億円+αという目標を新たに掲げました。2,500億円というのはオーガニックな成長を前提に、現在進めている投資計画や事業計画を積み上げて作成したものです。+αについては、今後更なる成長に向けた非連続的な施策も継続的に検討していく中で目標に加えたものです。

 

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▸こちらのスライドでは自営事業の成長の内訳を示しています。先ほどご説明いたしました、成長を牽引する役割を担う事業と新規事業領域の稼ぐ力の磨き上げにより成長を実現していきます。

 

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▸このスライドは、資本政策のキャッシュアロケーションの状況です。キャッシュインフローについて、当初の計画では9,000億円~1兆円としていたものを、2023年度に2,000億円追加し1.2兆円にしました。今年の5月にはさらにアップデートし14,000億円規模の営業キャッシュフローを想定しています。これをどのように配分していくかですが、投資キャッシュフローについては、昨年度発表の6,300億円から1,100億円増加の7,400億円とし、株主還元については昨年度発表の5,000億円以上から2,000億円積み上げて、7,000億円以上とする計画といたしました。

▸なお当社は、今般8月の決算公表で2024年度の業績予想を上方修正いたしています。

 

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▸キャッシュフローの上ぶれと資本効率を勘案した結果の今回の資本政策ですが、事業投資計画についてご説明します。鉄鋼原料事業はお客様との環境対応船の話が進みつつあるものの、タイミングが少し後ろにずれそうな状況で、現中計期間の投資額は若干減っています。ただ、これは投資そのものが無くなったということではなく、タイミングが後ろ倒しになったものとご理解いただければと思います。

▸一方で、自動車船については予定どおり進捗しています。LNG船については、移行期のエネルギーとして注目を浴びてLNG需要がさらに強くなってくる見通しの中、契約期間の長期化が見込めるということで、今回投資対象を増やしています。また、当社の強みを生かせる海運を主軸とした新規事業領域については、例えば液化CO2輸送船、洋上風力発電支援船、アンモニアや水素などの新エネルギー輸送等の事業についても300億円から900億円に投資金額を増やしました。その結果、投資キャッシュフローは7,400億円となる計画です。

▸当社が中計で掲げている低炭素化・脱炭素化に寄与する事業、即ち環境対応という切り口では、新燃料を使った代替船の需要も含めて投資キャッシュフロー全体のおよそ半分ぐらいを充てる計画です。これにLNG船も含めると、全体のおよそ8割が環境対応への投資という見方もできます。

 

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▸こちらのスライドでは株主還元政策についてご説明申し上げます。

▸2024年度については、配当としては5月の段階で年間85円、中間と期末でそれぞれ42.5円ということで公表しています。自己株式取得については、前回5月の時点では上限1,000億円、あるいは3,9556,000株の自己株式取得を行うことを公表していました。これにつきましては7月にご案内のとおり、先に株式数が上限にヒットする形で終了しています。買付額は909億円ということで、当初の1,000億円からは約100億円近く下回った金額で、自己株取得は終了しています。この差額も含めた追加還元、キャッシュアロケーションについては、早急に検討していきます。

 

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▸最後に本日のお話しをまとめます。

▸コンテナ船事業の他、「自動車船」「鉄鋼原料船」「LNG」が成長を牽引する役割を担う当社の自営事業の柱であり、新たに「低炭素・脱炭素に向けた事業」を加え環境対応にも取り組み、「稼ぐ力」の強化を進めていきます。

▸経常利益は、成長を牽引する役割を担う事業を中心として着実に進捗。中計最終年26年度に1,600億円を、その先30年度に2,500億円+αを目指します。

▸最適資本構成の考えにも基づき、創出キャッシュは成長投資と株主還元のバランスを考慮し実施する計画です。