2026年3月16日
川崎汽船株式会社

 

 川崎汽船株式会社(以下「当社」)のフランス子会社OCEANICWING S.A.S.(以下「OCEANICWING社」)が開発している船の推進力に風力を活用する自動カイトシステム“Seawing”について、フランスの船級協会Bureau Veritas Marine & Offshore(以下「BV」)および一般財団法人日本海事協会(以下「ClassNK」)から張力検証に関する第三者鑑定を取得しました。今後、引き続き陸上および海上での実証実験を行い、2027年ごろの実用化を目指します。
 

<“Seawing”の概要と経緯>
 “Seawing”は大型のカイト(凧)を用いて風を捉え、船の推進力を補助する省エネ設備です。他の風力推進補助装置(WAPS:Wind-Assisted Propulsion Systems)と比べて、上空の風を使うため単体で得られる推進力が大きいのが特徴で、船種や新造船・既存船に関わらず搭載可能です。LNG燃料船など燃料転換の取り組みとの相乗効果で、CO2排出量の大幅削減が期待できます。
 開発の第一段階(フェーズ1)は2025年6月に完了しました。300m2のカイトを使い、陸上試験場で張力やシステムの性能検証を行い、良好な結果が出ました (*1) 。 

 

<今回の第三者鑑定の概要>
 BVとClassNKの第三者鑑定では、フェーズ1の実証試験の検証プロセスが妥当なものとして確認されました。また300m2のカイトの張力は理論上25トンが見込まれ、カイトの大きさを2倍の600m2とした場合は張力も理論上同様に2倍の50トンが見込まれることも併せて確認されました。
50トンの張力は、一般的なタグボート(* 2)1隻の曳航力(船を引っ張る力)と同等です。例えば大型バルク船に“Seawing”を搭載した場合、年間の燃料消費量を平均10%以上削減できる見込みです。年間の燃料消費量削減効果は船型・船速・航路・季節などの条件により変わり、組み合わせによっては10%を大きく上回る効果も期待できます。

 

<今後の取り組み>
 現在、“Seawing”の開発は第二段階(フェーズ2)に入っています。カイトのサイズをさらに大きくして、海上で使用する際の操作性と安全性の評価を陸上試験場で行っています。また、当社が保有・運航する大型バルク船で海上実証実験を行って牽引性能と信頼性を確認し、2027年ごろの実用化を目指します。

 

<五十嵐 武宣 当社代表執行役社長のコメント>
 「“Seawing”の効果を第三者機関に鑑定いただき、カイトの大型化によって燃料消費量が理論上10%以上削減できるという大きな張力を期待できることが確認されました。船上利用に向けた開発をさらに推し進め、画期的な省エネ装置“Seawing”による海運業界の低・脱炭素化に貢献してまいります。」

 当社グループは、環境に係る長期指針「“K”LINE環境ビジョン2050」に基づき、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。風という再生可能エネルギーを船の推進力に最大限に活かすことで、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援への取り組みに貢献していきます。
 

【BVの鑑定書授与式の様子】
(撮影場所:OCEANICWING社本社、カイトとともに)
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【BVの鑑定書授与式の様子】
(撮影場所:OCEANICWING社本社、カイトとともに)

左:Bureau Veritas Marine & Offshore 
  Julien Boulland,
  Sustainability Strategy Leader

右:OCEANICWING社 亀山真吾 CEO

【ClassNKの鑑定書授与式の様子】
(撮影場所:ClassNK本部)
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【ClassNKの鑑定書授与式の様子】
(撮影場所:ClassNK本部)

左:日本海事協会 松永昌樹 常務理事
右:川崎汽船 池田真吾 常務執行役員



【陸上試験場での実証試験の様子】

 

(*1)2025年9月4日付リリース「風力を活用した自動カイトシステム“Seawing”開発フェーズ1完了」
https://www.kline.co.jp/ja/news/csr/csr-20250904.html
(*2) タグボート: 港湾で大型船舶を押したり曳いたりして安全な離着桟を支援する小型の船舶。曳船、引船とも呼ばれる。強力な曳航力が特徴で、一般的な港湾作業向けタグボート(ハーバータグ)の曳航力は50トン前後とされる。