2025年9月4日
川崎汽船株式会社

 

 川崎汽船株式会社(以下、「当社」)がフランスに設立した子会社、OCEANICWING S.A.S(以下、「OCEANICWING社」)が開発を進めている風力を活用した自動カイトシステム“Seawing”について、開発の第一段階(フェーズ1)が2025年6月に完了しました。フェーズ1では、陸上の試験場で300m2サイズのカイトを使用して張力やシステムの性能検証を行い、良好な結果を確認できました。

 

 2025年7月よりさらなる技術確立および実用化に向けて開発の第二段階(フェーズ2)に入っています。フェーズ2では、カイトのサイズをさらに大きくして陸上試験場で牽引性能と信頼性の確認を実施します。洋上での利用を見据えた操作性と安全性の評価も行ったうえで、当社が保有・運航する大型バルクキャリアで海上実証実験を実施する予定です。2年程度で試験完了、実用化を目標としており、10%以上(注)の燃料消費量削減効果を見込んでいます。
 OCEANICWING社では8月1日付で、技術開発に携わって来た亀山真吾がCEOに就任しています。“Seawing”の技術確立および製品化に向けて、取り組みを加速します。

 

(注)  燃料消費量削減効果は、船型・船速・航路・季節などの条件により変わり、組み合わせによっては10%を大きく上回る効果も期待できます。

 

スケジュール

SEAWING実用化までのスケジュール表
2026年6月までフェーズ1です。陸上で300㎡サイズの聴力を検証しています。
2025年7月からフェーズ2です。カイトを大型化し、陸上でけん引性能と信頼性の確認、その後、大型バルク船で海上実証実験。
2027年ごろに実用化。


 “Seawing”は自然エネルギーである風力を活用し、様々な船種、新造船のみならず既存船にも搭載可能な汎用性も特徴で、LNG燃料船など燃料転換への取り組みとの相乗効果で、CO2排出量の大幅削減を可能とする省エネ設備です。複数の種類がある風力推進補助装置(WAPS:Wind-Assisted Propulsion Systems)の中でも“Seawing”は上空の風を使って、単体で得られる推力が比較的大きいのが特徴です。

 

 五十嵐 武宣 代表執行役社長のコメント
「OCEANICWING社で開発を進めている“Seawing”がフェーズ1を完了しました。引き続き船上利用に向けた開発を進め、この革新的な風力利用による省エネ装置を海運業界の低•脱炭素化に大きく貢献するソリューションに完成させる計画です。」

 

 当社グループは、環境に係る長期指針「“K”LINE環境ビジョン2050」に基づき、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。風という再生可能エネルギーを船の推進力に最大限に活かすことで、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援への取り組みに貢献していきます。

 

【陸上試験場での実証試験の様子】 

陸上試験場での実証試験の様子