2021年6月22日
川崎汽船株式会社
日本ガスライン株式会社
国立大学法人お茶の水女子大学
一般財団法人エンジニアリング協会
川崎汽船株式会社(以下、「当社」)は日本ガスライン株式会社(以下、「日本ガスライン」)、国立大学法人お茶の水女子大学(以下、「お茶の水女子大学」)と共に一般財団法人エンジニアリング協会(以下、「エンジニアリング協会」)の委託を受け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した事業「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験」に参画し、液化CO2海上輸送の社会実装に向けた研究開発に取り組みます。
CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)はCO2を回収・利用・貯留する技術で、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な役割を担うことを期待されています。川崎汽船、日本ガスライン、お茶の水女子大学、エンジニアリング協会の4者は実証試験を通じ、液化CO2の船舶輸送技術を確立し、CO2の長距離・大量輸送とCCUS技術の低コスト化に貢献します。
当社はLNG、LPG等の液化ガス油槽船の保有・運航に長年にわたり従事し、安全運航や安全荷役の技術と知見を蓄積してまいりました。また、当社は技術研究組合 CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)注1)に参画し、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の国内における実証試験にも協力し、カーボンニュートラル社会実現に向けた取り組みを推進しています。本事業では、当社の安全運航・荷役の知見と液化水素運搬船の実証試験の経験を活かし、液化CO2実証船の輸送・荷役時における安全性評価を実施し、技術的なガイドライン策定に取り組みます。
川崎汽船グループは、環境に関わる長期指針「環境ビジョン2050」に基づいてGHG 排出削減の
取り組みを推進しており、液化CO2の実証事業を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
<検討スコープ>
<検討体制と各社役割>
組織名 |
役割 |
一般財団法人 エンジニアリング協会 |
液化CO2船舶輸送に関する研究開発及び実証試験の総括 2008年よりNEDO事業「CO2の輸送システムの概念設計」を実施してきた。その経験を活かし液化CO2船舶輸送の研究開発・実証試験の企画、評価、解析及び船舶関連の総括を担う。 |
日本ガスライン株式会社 |
船舶輸送の研究開発と実証船の船舶運航管理 国内最大級のLPG船専門オペレーターとして、60年間に渡る高圧液化ガス運搬船の建造・保有・運航の経験を活かし、安全かつ効率的な液化CO2の船舶輸送の研究開発および実証船の運航・荷役・船舶管理を担う。 |
川崎汽船株式会社 |
実証船の安全性・環境評価とゼロエミ化検討 外航液化ガス船の建造・保有・運航の経験を活かし、液化CO2実証船の研究に協力。国際的な液化ガス船を取り巻く規制環境も踏まえ、リスクアセスメントを実施し、技術ガイドライン策定や国際的ルール調査・検討を進める。 |
国立大学法人 お茶の水女子大学 |
液化CO2圧力制御・安定性研究 反応性流体の定常状態不安定化に関する非平衡系現象研究の経験を活かし、非平衡条件下におけるCO2の貯留または送液工程の基盤的技術に資するドライアイス化現象の基礎的研究を進める。 |
注1)
2019年12月19日発表:「技術研究組合CO₂フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)への参画について ~水素社会の実現に向け、世界初の液化水素運搬船の実証試験に協力~
https://www.kline.co.jp/ja/news/Liquefied_gas/Liquefied_gas-20191219.html
【参考】
<国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)発表資料>
2021年6月22日発表
「船舶によるCO2大量輸送技術確立のための研究開発および実証事業を開始
―CCUS社会実装に向け、世界初のCO2一貫輸送システム構築を目指す―」
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101445.html