2016年04月01日
川崎汽船株式会社
代表取締役社長 村上 英三

入社式社長挨拶

 

 

皆さん、入社おめでとうございます。

 

本日より皆さんを川崎汽船の一員として迎えるにあたり、役職員を代表して一言挨拶致します。

 

皆さんが社会人の道として選んだ外航海運業は、世界の人々の生活とそれを支える物流・貿易の基幹インフラです。四方を海に囲まれ貿易の99.7%を海上輸送に頼る日本は勿論の事、今後更に成長が見込まれる地域、事業も含めグローバルな物流に携わる一員として第一歩を踏み出すこととなります。

 

外航海運業は世界の政治経済や社会情勢の動向に大きな影響を受けます。世界単一市場のなか、世界の船会社としのぎを削りあわなければなりません。これまでの道は決して平坦ではありませんでしたが、我々の諸先輩の努力の積み重ね、お客様を始めとする多くの関係者に支えられ、幾多の荒波を乗り越え、厳しい国際競争を勝ち抜いて来ました。

 

当社は昨年、2019年の創立100周年に向けて新たな5ヵ年の中期経営計画『“K” LINE Value for our Next Century』を発表しました。『海運業を母体とする総合物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献することにより、グローバルに信頼される“K” Line』を理念として掲げ、新たに4つのビジョンを表明しています。業績改善など狭義の企業価値の向上のみならず、企業として社会的責任、貢献を果たしたうえで当社の価値を高めていく、という思いをこの『“K” LINE (ケイライン) Value』という言葉に込めています。これらを実行する担い手は、紛れもなく皆さんを含めた役職員一人ひとりです。グローバルな舞台でリーダーシップを発揮できる人材として、会社を支える大きな柱となる事を期待しています。

 

世界に目を向ければ、世界の資源需要を呑みこんで来た中国経済は曲がり角を迎え、資源安に伴う新興国の変調、激動する中東情勢、難民問題などに直面するEUなど、事業に大きな影響を与える変動が起きており、世界経済全体が収縮し需要が停滞する中、特にドライバルク、コンテナ船事業において、船舶の供給過剰による厳しい事業環境の真っ只中にあります。この難局を乗り切るべくグループ一丸となって対応していますが、皆さんには、これらの動きを常に追いかけ、情報を整理、分析し、今後起こり得るシナリオを予見するなど、自らがシミュレーションを行う事で、考える力を強化して頂きたいと思います。英語を始めとする語学力、ITスキルは勿論の事、『個人の力』を上げることで、グローバルに事業を展開する当社が、多様化そして専門化が進むお客様のニーズに応え、質の高いサービスを提供し、信頼を勝ち取る事が出来ると思います。

 

これらの取組みに加え、海上職の皆さんには諸先輩方が築き上げてこられた国際的に通用する当社の海技力を身につけて頂き、安全運航、そして環境保全を世界の海で実行して頂きたいと思います。また、当社船隊の基幹職員として、多国籍の乗組員と共に働き、またリードして頂く立場になりますので、日々技術、知識の習得に努めて頂くようお願いします。

 

最後に法令遵守の徹底を御願いします。企業として守るべき法令につきしっかりと理解し、常に念頭において業務に従事するのは勿論のこと、社会人としてのマナー、常識も身につけ頂きたいと思います。

 

先ほど申し上げました通り、当社は3年後の2019年に創立100周年を迎えます。次の世紀を託す皆さんと、今日この日を迎えることは喜ばしい限りですが、私も皆さんと共に次のステップに向けて一緒に取り組んで行きたいと思います。

 

今後の皆さんの大いなる活躍を期待して、私からの挨拶と致します。