2026年1月5日
川崎汽船株式会社

 

当社社長 五十嵐 武宣による2026年年頭挨拶を下記の通りお知らせいたします。

 

 

 川崎汽船グループの皆様、並びにご家族の皆様に、謹んで新年のお慶びを申し上げます。年末年始は充分に英気を養われたものと思います。

 

 2025年を振り返ると、当社を取り巻く事業環境は、米中の対立、中東情勢の緊迫化、ロシア・ウクライナ情勢の長期化など、地政学的リスクが一年を通して顕在化した年となりました。これらに加え、世界経済の減速懸念や、各国のエネルギー・環境政策の不透明さも重なり、今後の事業環境は、依然として不確実性が高い状況に直面しています。
特に、米国を中心とする関税政策の影響、一旦は停止されましたが米国通商代表部(USTR)の船舶を対象とした課徴金導入、これらに対する中国をはじめとする各国の対応などは、世界貿易や海上輸送需要への大きな混乱要因となりました。海運業を中心とする当社としても、こうした混乱への対処を余儀なくされた一年となりました。

 

 環境規制の面では、昨年10月に開催されたIMO MEPCにおいて、国際海運の温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた中期対策の採択が延期され、国際的な統一ルールの策定は先送りとなりました。また、一部の国・地域では脱炭素化に向けた幾つかの取組みの後退もあり、今後の各国エネルギーミックスへの方針にも注意が必要と思われます。このような状況下ではありますが、中長期的な視点でのGHG削減という世界的な流れは揺らぐことは無く、当社は環境負荷の低減に向けて着実に一つひとつの施策を積み重ねていく方針です。

 

 2022年度からスタートした当社の中期経営計画(中計)では、様々な事業環境や外部環境の変化に直面しながらも、成長を牽引する3事業を中心とした自営事業に加え、コンテナ船事業ではONE(Ocean Network Express)社を株主として支えることで、安定的な収益基盤を築いてきました。

 

 2025年度の通期経常利益は1,000億円を見込んでおり、2030年度に向けては経常利益2,500億円+αの実現を目指しています。それらの前提で、中計5年間での営業キャッシュフローは、計画策定当初の1.0兆円前後から増加し、1.5兆円を予定しています。その上で、投資キャッシュフローも計画策定当初の5,200億円から6,100億円へと増額し、成長に向けた投資もしっかりと継続しています。また、株主還元についても、最新のキャッシュアロケーションを踏まえ、計画策定当初の4,000~5,000億円規模から足元では8,000億円以上へと増額、2025年度の配当は基礎配当40円に加え、追加配当80円の合計120円を予定しています。

 

 中計の最終年度となる2026年度は、これまでの挑戦と成果を礎に次なる成長ステージへと進む、重要な一年となります。例えば、当社は2024年より、世界初の本格的な二酸化炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトである「ノーザンライツ・プロジェクト」で重要な船舶管理で参画しています。この取り組みは、当社が長年に渡り経験を積み重ねてきた液化ガス輸送事業を通じて構築されたお客様との強固な関係性と、海務・海技力および環境技術対応力を合わせた統合的な成果であり、当社の強みが社会課題の解決に貢献できることを示す象徴的なモデルです。また、風力を活かして二酸化炭素排出を削減できる船上カイトシステム「Seawing」も、当社の技術対応力を活かした挑戦であり、脱炭素化に貢献する新しいソリューションモデルとなります。
 当社の競争力の源泉は、多様な船種の運航・管理を通じて培ってきた豊富な経験と高度なノウハウに裏打ちされた海技力、造船・環境・海洋分野における技術対応力、そしてグローバルな顧客・パートナーとの強固な信頼関係にあると考えます。当社は、これらの強みを最大限に活かし、燃料転換やサプライチェーンの脱炭素化といった領域で、お客さまに最適なソリューションを提供していく「エンジニアリング力」を磨き上げてきました。
 今後、海運事業の中心である「運ぶ」領域を軸に、この「エンジニアリング力」を積極的に活用して、新たなサプライチェーン構築などに貢献することで、物流インフラ企業としての社会的責任を果たすと共に、収益力の強化を通じて企業価値の更なる向上を目指して行きます。

 

 今後の更なる挑戦へは、3つの基盤=「人材・組織」、「デジタル/DX」そして「経営管理」が重要な鍵となります。

  • 「人材・組織」では、海上・陸上共に「課題解決」に取り組む人材の確保・育成を進め、組織ではグローバルネットワークを整備することで、成長市場へアクセスを強化する再設計を進めます。
  • 「デジタル/DX」では、意思決定、業務遂行や付加価値提供の為にデータの整備を進め、データ駆動型経営を目標とし、外部との連携や協働にも取り組んでいきます。
  • 「経営管理」では、事業経営や投資判断などでの更なる高度化により、各事業特性を踏まえた資本コストを上回るリターンの最大化を目指しながら、企業価値向上を推進します。

 

 本年は「丙午(ひのえうま)」の年にあたります。「丙」は陽の気が強く、物事が明るく表に出る年、「午」は勢いよく進む馬のように、行動力と情熱を象徴する干支です。今年はまさに、“挑戦”と“前進”にふさわしい一年といえるでしょう。 さらに、縁起物として知られる「左馬(ひだりうま)」にもあやかりたいと思います。馬の字を左右逆にした「左馬」は、「福を招く」「商売繁盛」「良縁を運ぶ」とされ、事業の発展を導く象徴です。 丙午の力強さと左馬の縁起の良さを併せ持つこの一年、社員の皆さん一人ひとりの力を結集し、挑戦と前進を続けながら、さらなる成長と飛躍の年にしてまいりましょう。

 

 結びに、川崎汽船グループ役職員の皆様、海外・船上でご活躍されている皆様、ご家族の皆様のご健勝と本船のご安航を心より祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。
 

川崎汽船 明珍社長