2025年9月8日
川崎汽船株式会社
Harbour Energy
Yinson Production

 

 川崎汽船株式会社(以下、「川崎汽船」)のロンドンを拠点とする子会社である”K” LINE ENERGY SHIPPING (UK) LIMITED(以下、「KLES」)と、Harbour Energy Norge AS社(英国石油・ガス会社Harbour Energy社のノルウェー法人)とStella Maris CCS AS社(Yinson Production社の完全子会社)が共同出資するHavstjerne ANS社(以下「HANS社」)は ノルウェー大陸棚におけるHavstjerne CCS プロジェクト(注1)の共同開発の実施に合意し、覚書(以下、「本覚書」)を締結しました。

 

 Havstjerne CCS プロジェクトでは、ノルウェーEgersundから南西約100kmのノルウェー海域に位置する貯留地(Havstjerne)へのCO2貯留を目的としており、同貯留地の権益をHarbour Energy社が60%、Stella Maris CCS AS社が40%を保有しています。本覚書に基づき、KLESとHANS社は、浮体式液化CO2貯蔵・圧入ユニット(以下、「FSIU」(注2))と液化CO2輸送船を用いたCCSバリューチェーンの技術的および商業的ソリューション開発に向けて協業します。両社は、液化CO2輸送、圧入、地下貯留に関するそれぞれの専門知識を活用して、Havstjerne CCSプロジェクトのバリューチェーンに参加する排出事業者に安定的かつコスト効率の高い液化CO2輸送および貯留サービスを提供することを目指します。
            
 Harbour Energy社は、2014年設立の大手独立系石油ガス会社で、ノルウェー、英国他世界各国で石油換算日量450千バレル以上を生産、欧州地域で複数のCCSプロジェクトを積極的に推進しています。

 

 Yinson Production社は、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(以下、「FPSO」(注3))および浮体式石油・ガス貯蔵積出設備(FSO(注4))を運営しており、オフショアエネルギー分野におけるエンジニアリング、設計、運用において幅広い専門知識を有しています。同社は2021年以来、CO2回収技術への直接投資を通じたCCSバリューチェーン開発を着実に推進してきました。

 

 川崎汽船グループは、環境に係る長期指針「“K” LINE環境ビジョン 2050」に基づき、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援に向けた様々な取り組みを推進しています。CCSの分野では、世界初の本格的なCCSプロジェクトに従事する液化CO2輸送船2隻の船舶管理を行っています。今後もこれまでの液化ガス輸送船の保有、運航および管理の実績を活かしてCCS事業を積極的に推し進め、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 

【FSIU(前方)が、液化CO2輸送船(後方)からCO2を受け取るイメージ図】
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【FSIU(前方)が、液化CO2輸送船(後方)からCO2を受け取るイメージ図】

 

(注1)Havstjerne CCS プロジェクト:詳細は以下リンク先をご参照ください。
Havstjerne Carbon Storage Project
 
(注2)Floating Storage and Injection Unitの略。洋上で液化CO2を貯蔵・圧入する設備。液化CO2を海底の地下貯留層に圧入し、長期貯留する。CCSプロジェクトにおいて、陸上CO2受入基地の用地確保が難しい場合や、受入基地から貯留地迄の距離が長くパイプラインの延長が必要な場合等に、洋上にて液化CO2を貯蔵・圧入することが可能であるFSIUは有望な選択肢となる。
 
(注3)Floating Production, Storage and Offloadingの略。洋上で原油・ガスを生産し、生産した原油をタンクに貯蔵し、直接タンカーへ積み出しを行う設備。
 
(注4)Floating Storage and Offloadingの略。洋上で原油を貯蔵し、直接タンカーへ積み出しを行う設備。FPSOと異なり、生産設備は持たない。