2016年02月16日
川崎汽船株式会社
7,500台積み自動車運搬船“DRIVE GREEN HIGHWAY” をお披露目
去る2月9日、ジャパンマリンユナイテッド株式会社有明事業所にて、7,500台積み自動車運搬船10隻シリーズの第三船目となる”DRIVE GREEN HIGHWAY”が竣工し、2月12日、13日に横浜港大さん橋国際客船ターミナルでお披露目式・見学会を開催しました。
本船の建造は、最先端の技術を結集して究極の省エネと環境保全を追求する「DRIVE GREEN PROJECT」(※)として進められてきたものです。幅広デザインなどにより積載可能台数を約20%増やすとともに、先進の環境技術を採用することで、輸送車両1台あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を25%以上、窒素酸化物(NOx)を50%以上、硫黄酸化物(SOx)を90%以上削減することを可能としています(いずれも既存大型船比)。
お披露目式・見学会には多くの来賓やメディアにご参集いただいたほか、一般公募にご応募いただいた皆様や社員の家族なども含めて800名以上の方々に最新鋭の環境対応船をご覧いただきました。
川崎汽船では、人々の豊かな暮らしを支え続け、持続可能な社会と青く美しい海とを次の世代へと伝えるため、長期の環境指針『環境ビジョン2050 -青い海を明日へつなぐ-』を定めています。本船をそのマイルストーンとして、当社はこれからも2050年の環境保全に向けたゴールを目指し、努力を継続して参ります。
【本船概要】
主要寸法 :全長199.99m x 幅37.50m x深さ38.23m
載貨重量 :20,034トン
総トン数 :76,387トン
船籍 :パナマ
【本船に搭載された主な新技術】
1. NOx生成抑制装置付エンジン
燃料油に水を添加する「水エマルジョン燃料装置」と、排気ガスを掃気に還流させる「排気ガス再循環装置」の組み合わせによりNOx排出量を大幅に低減します。またエンジン出力に応じて効率的な過給機の運転を自動制御する装置も搭載しており、総合的なNOxの排出削減を行いながら、同時に燃費低減(CO2排出低減)も行っております。本船には川崎重工業株式会社製のエンジンを搭載しております。この研究開発は国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」、及び一般財団法人日本海事協会の共同研究テーマに採択され、実施しています。
2. SOxスクラバー(大型排気ガス浄化装置)
エンジンの排気ガスの出口部分に「スクラバー」と呼ばれる大型の浄化装置を設置し、SOxを海水もしくは清水で洗い流します。高価な低硫黄燃料油ではなく、一般的な燃料油を継続的に使用できるメリットがあり、将来のSOx規制への対応とコスト効率化を両立する技術です。本船には三菱重工業株式会社と三菱化工機株式会社が共同開発した装置を搭載しております。この研究開発は一般財団法人日本海事協会の共同研究テーマに採択され、実施しています。
3. 太陽光発電システム
太陽光によって発電された電力を有効に船内で利用するシステムとして、積荷スペース用LED照明供給を賄います。船舶向け太陽光発電システムとしては世界最大級の発電量を誇ります。本船にはソーラーフロンティア株式会社製の太陽光発電システムを搭載しております。
4. 水耕栽培装置
船内で色々な野菜を育てることで、乗組員に新鮮でおいしい野菜を食べてもらうことが出来ます。また船内生活における癒しの提供なども期待されている装置です。本船には兵神機械工業株式会社製の水耕栽培装置を搭載しております。
その他にも、高効率プロペラ、冷却海水ポンプならびに機関室通風装置のインバータ制御、発電機エンジン排ガスエコノマイザ、ボイラー水エマルジョン装置、LED照明、低摩擦塗料、遮熱塗料、最適運航支援システムなどの多様な省エネ・CO2削減技術を採用しています。
※ 「DRIVE GREEN PROJECT」については、当社ホームページからその概要と本船の建造過程の動画をご覧いただけます。
http://www.kline.co.jp/csr/environment/airpolution.html#newdgp
以上