2023年11月27日
川崎汽船株式会社

 

 川崎汽船株式会社(以下、「当社」)は、公益財団法人日本財団が推進する無人運航船プロジェクトMEGURI2040(以下、「MEGURI2040」)の「無人運航船の社会実装に向けた技術開発助成プログラム」(注1)において、この度、無人運航船の社会実装を目指した船上システム単独機能で構成する自動運航システムの海上実証実験(PoC)(注2)を、既存RORO貨物船の営業航路となる日立港と釧路港間往復約1,600kmで実施し、営業運航の中で成功させました。

 

実証実験(PoC)の概要
 川崎近海汽船株式会社(以下、「川崎近海汽船」)が運航する総トン数11,413トンの大型RORO船「第二ほくれん丸」に自動運航システムを搭載し、2023年10月1日から全3航海(注3)に亘り、実証実験を実施しました。沿岸航行では自動運航システムによる認知・分析・判断が高い精度で実行されることを確認しました。実験区間において、通常の乗組員による運航体制を維持したまま、自動運航システムを用いて航行し、避航が必要なシーンにおいては、安全に相手船(他船)を避けることができる避航ルート提案・操舵制御がなされ、自動運航システムはODD(注4)として設定している海域で、システム稼働率平均約96%を成し遂げました。

  

稼働状況を評価している様子
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稼働状況を評価している様子
MEGURI2040の横断幕が掲示された第二ほくれん丸
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MEGURI2040の横断幕が掲示された第二ほくれん丸
実証実験の航路図
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実証実験の航路図
避航ルート提案の様子
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避航ルート提案の様子


PoCにおける当社の取り組み
 当社は、MEGURI2040第2ステージで社会実装に向けて開発する船上システムである自動運航システム(Target Detection、Planning、Actuation)のレトロフィットによる実証試験の実施を主導し、試験航海においては海技者としての知見の提供を行いました。
今後は実証実験で得られたデータを元に、当社の強みである安全運航の知見をフィードバックさせ、自動運航システムをさらにブラッシュアップしてまいります。

 

2025年に向けた当社の取り組み
 当社は、無人運航機能を実現するため、日本無線株式会社、株式会社YDKテクノロジーズおよび川崎近海汽船とともに、引き続き、無人運航技術の向上に資する包括的なシステム開発を進めます。2025年の実証実験に向け、これまでの研究開発の成果である船上システムの高度化に加え、自動船速制御システムの開発を進め、あらゆる船種に導入可能な高い汎用性を持つ自動運航システムの開発に取り組んでまいります。また、陸上からの本船状況の常時監視、操船補佐を目的として陸上システム及び船陸間通信システムの開発を進め、船陸連携技術開発と実証に取り組んでまいります。

船陸連携イメージ
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船陸連携イメージ

(注1) 
無人運航船の実用化を推進する技術開発を行うことで、本分野の技術開発への更なる機運を醸成し、その結果我が国の物流及び経済・社会基盤の変革を促進するべく、当該技術開発を支援する助成制度で、当社はDesigning the Future of Fully Autonomous Ships Plusコンソーシアム(DFFAS+)のメンバーとして参加しています。

MEGURI2040 ロゴマーク
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MEGURI2040 ロゴマーク
DFFAS+ ロゴマーク
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DFFAS+ ロゴマーク


(注2) PoC(Proof of Concept): 試作開発に入る前段階の検証プロセス
今回は、船上システムのみの海上実証実験であり、2025年の船陸を繋いだ無人運航船の実証実験に向けた取り組みの1つとなります。
(注3) 1航海目 : 2023年10月1日~3日
2航海目 : 2023年10月9日~11日
3航海目 : 2023年10月17日~19日
(注4) ODD(Operational Design Domain): 自動運航システムが正常動作する運航設計領域

 

(関連リリース)
2023年7月21日付: 日本財団の無人運航船プロジェクト 社会実装に向けた第2ステージに参加
https://www.kline.co.jp/ja/news/csr/csr-20230721-1.html