2024年10月11日
住友商事株式会社
川崎汽船株式会社
Hilcorp Alaska
住友商事株式会社(以下、「住友商事」)、川崎汽船株式会社(以下、「川崎汽船」)、Hilcorp Alaska (以下、「ヒルコープ」)は、米国・アラスカにおけるCCS(注1)事業性調査の実施に合意し、3社間で共同調査契約を締結しました。本事業性調査は、日本国内でCO2を集約し、大型液化CO2輸送船で米国・アラスカへ輸送、圧入・貯留する一連のCCSバリューチェーン構築に向けた事業性調査を3社間で実施するものです。日米間での越境CCSの事業化に向けた共同調査は日本企業として初めてとなり、日米政府とも連携のうえ、事業化を目指します。2024年10月11日、経産省と米国・エネルギー省(DOE)共同主催の「第4回日米CCUS(注2)ワーキンググループ」が開催され、その機会を利用して日米両政府の立合いの下、本事業性調査に関する共同調査契約締結の調印式を実施しました。
日本政府は2030年までのCCS事業開始(注3)に向けた事業環境整備を推進しています。こうした方針を受け、2024年4月、日米首脳会談共同声明におけるファクトシート(注4)で日本とアラスカとの間のCO2輸送、貯留ハブの可能性を両国間で評価していく方針が示されました。日米両政府間でアラスカにおけるCCS事業性について検討が進められる中、この度、住友商事、川崎汽船、ヒルコープが日本とアラスカ間のCCSバリューチェーン構築とアラスカにおけるCO2貯留可能性検討を含めた本事業性調査を実施することになったものです。具体的には、各社がそれぞれの知見や経験に基づいて貯留キャパシティを含むCO2地下貯留に関する技術調査や液化CO2船に関する技術要件調査、事業環境のレビューなどを行い、実現可能性を探ります。
米国・アラスカは、1950年代から油ガス田開発が進められており、CCS事業の総貯留量は日本のCO2排出量の50年分にあたる50ギガトン(注5)が見込まれています。油ガス開発を通じて蓄積されたデータがCO2貯留に利用可能であることに加え、LNG基地、港湾設備、パイプラインなど既存インフラが整備されていることからも、CCS事業の有望な拠点として認識されています。今後は両国間のカーボンマネジメントの技術開発を通じて、カーボンニュートラル化へ貢献します。
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- 共同調査契約締結調印式の様子
<本取り組みに関するコメント>
■住友商事
住友商事グループは、「気候変動緩和」を重要な社会課題の一つとして位置付け、2050年のカーボンニュートラル化と持続可能なエネルギーサイクルの実現に挑戦しています。住友商事は、CCUSをその重要な手段の一つと捉え、日本の脱炭素化に資する事業を官民連携で推進することで、国内産業の持続可能性向上に貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。
■川崎汽船
川崎汽船グループは、環境に関わる長期指針「環境ビジョン 2050」に基づき、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援に向けたさまざまな取り組みを推進しています。CCSの分野において、商業ベースでは世界初となるCCS向け液化CO2輸送を来年から開始予定です。今後国内外で順次開始される液化CO2輸送船舶の運航を通じて得られる知見を、本件をはじめとする将来の事業開発に活かし、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
(注1)CCS
Carbon dioxide Capture and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留すること
(注2)CCUS
Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留・利活用すること
(注3)GX実現に向けた基本方針に記載(経済産業省による2023年2月10日付発表):
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002.html
(注4)ファクトシート:岸田総理大臣の国賓待遇での米国公式訪問(外務省による2024年4月10日付発表):
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652150.pdf
(注5)アラスカ州政府による試算:
Governor Dunleavy Introduces Carbon Management and Monetization Bills Creating Statutory Structures - Mike Dunleavy (alaska.gov)