2023年9月7日
住友商事株式会社
東邦ガス株式会社
川崎汽船株式会社
Woodside Energy Ltd

 

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:兵頭 誠之、以下「住友商事」)、東邦ガス株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:増田 信之、以下「東邦ガス」)、川崎汽船株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:明珍 幸一、以下「川崎汽船」)、Woodside Energy Ltd社(本社:豪州パース、CEO & Managing Director:Meg O’Neil、以下「Woodside」)は、日豪間のCCS(注1)バリューチェーン構築に向けた事業性調査(以下「本事業性調査」)の実施に合意し、このたび4社間で覚書を締結しました。

 

本事業性調査は、東邦ガスが開発中の「LNG未利用冷熱を活用したCO2分離回収技術(注2)」などの利用により中部圏の様々な産業・企業から排出されるCO2を分離・回収・集積・液化させ、低温低圧型の液化CO2輸送船で豪州へ運搬し、Woodsideが保有する貯留サイトへ圧入貯留するまでの一連のCCSバリューチェーン構築に向けた事業性を4社で調査するものです。本事業性調査を通じ、CO2回収可能量の試算、最適なCO2分離・回収・集積・輸送方法の検討、豪州の貯留サイトにおけるCO2貯留可能量の試算、貯留技術やモニタリング手法などの評価を行い、各セグメントにおける技術、コスト精査に加えて法制度調査も実施し、4社共同でCCSビジネスの事業化を目指します。

 

日本政府は2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにする目標を掲げ、「GX実現に向けた基本方針(注3)」において2030年までのCCS事業開始に向けて事業環境を整備する方針を示しています。GHG排出削減目標を達成する上でCCSは非常に重要な役割を果たすと期待されています。

 

住友商事、東邦ガス、川崎汽船、Woodsideは、各社の情報や知見・経験を活用し、本CCS事業の推進を通じて持続可能なエネルギーシステムを構築し、脱炭素化社会の実現への大きな貢献を目指します。

 

<本取り組みに関する各社コメント>
■住友商事
住友商事グループは、「気候変動緩和」を重要社会課題の一つとして位置付け、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化と、持続可能なエネルギーサイクル実現に挑戦しています。住友商事は、CCUS(注4)をその重要な手段のひとつと捉え、2023年1月に同分野での事業開発に取り組むCCUSチームをエネルギーイノベーション・イニシアチブ内に設立しました。CCUSチームは、当社グループが持つCCUS関連の知見を集約、社内外の連携を強化することでCCUSバリューチェーンを構築し、「CO2分離・回収」「輸送・貯留」「利活用」の事業開発に取り組んでいきます。

 

■東邦ガス
東邦ガスグループは、「東邦ガスグループ 2050年カーボンニュートラルへの挑戦」に基づき、ガス・水素・電気の3つのエネルギーを軸に、お客さま先の低炭素化、脱炭素化を推進し、お客さまを含むサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に挑戦しています。CCUSの分野では、CO2の分離・回収の技術開発に注力しており、お客さま先でCO2を分離回収し、利用・貯留するCCUSを社会実装することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

■川崎汽船
川崎汽船グループは、環境に関わる長期指針「環境ビジョン 2050」に基づき、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援に向けたさまざまな取り組みを推進しています。CCSの分野で当社は、世界初となるCCS向け液化CO2輸送を来年から開始予定です。今後国内外で順次開始される液化CO2輸送船舶の運航を通じて得られる知見を、本件をはじめとする将来の事業開発に活かし、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 

■Woodside 
ウッドサイド・エナジー社はオーストラリアのエネルギー企業で、CCSの取り組みを進めています。

 

(注1)CCS
Carbon dioxide Capture and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留すること

(注2)LNG未利用冷熱を活用したCO2分離回収技術
LNG未利用冷熱の活用により、工場排ガス等に含まれるCO2を化学吸収法により少量のエネルギーで分離回収する技術。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」に採択
https://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1225473_1342.html

 

(注3)GX実現に向けた基本方針(経済産業省による2023年2月10日付発表)
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002.html

 

(注4)CCUS
Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留・利活用すること