2022 年 12 月 19日
川崎汽船株式会社
Northern Lights JV DA

 

 川崎汽船株式会社(以下、「当社」)は、当社子会社を通じて、Northern Lights JV DA(以下、「Northern Lights社」注1)と7,500㎥の液化CO2船2隻の裸傭船契約および定期傭船契約を締結しました。新造船は2024年に引き渡され、世界初の本格的な二酸化炭素回収貯留 (CCS) バリューチェーンプロジェクトに従事します。
ロンドンを拠点とする当社子会社“K” Line LNG Shipping (UK) Ltd.が、本船の船舶管理を実施し、Norcem BrevikやHafslund Oslo Celsio等、複数のCO2回収施設からノルウェーØygardenにあるNorthern Lights社のCO2受入基地まで液化 CO2を輸送します。

 

 CO2輸送は、欧州産業界のCO2排出者を適切かつ安全なCO2貯留サイトへ繋げる重要な要素です。Northern Lights社は北海に貯留ライセンスを持ち、欧州中のCO2排出者に液化CO2船を用いた柔軟な輸送ソリューションを提供します。
船舶輸送は欧州内の航海距離に適した拡張性のあるCO2輸送方法です。Northern Lights社は、世界初の国境を越えた CO2 輸送およびCCSバリューチェーンの一部である柔軟な船舶輸送の開発を通して、CCS事業の発展に貢献します。
当社とNorthern Lights社は、液化CO2の安全な輸送手順を共同で確立していきます。本船はDNV船級・ノルウェー船籍で建造され、主にノルウェー船員により運航される予定です。

 

 当社は、1974 年に初の LPG 船、1983 年に初の LNG 船の就航以来、多様な液化ガス船の建造、運航実績を有しています。そうした安全運航とカーゴオペレーションにおける広い知見に基づき、CCSという新たな事業領域において、安全で信頼性の高い液化CO2輸送に貢献していきます。当社グループは、グローバルに信頼され、海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献するという企業理念のもと、今後も自社および社会の低炭素・脱炭素化の推進を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。

 

 Northern Lights JV DA Børre Jacobsenマネージングディレクターのコメント
「川崎汽船は、液化ガス輸送の豊富な経験と、安全性と環境に優れた実績を持っています。この革新的なCCSバリューチェーンのオペレーションにおいて、川崎汽船とパートナーになることを嬉しく思います。」

 

 川崎汽船株式会社 明珍 幸一代表取締役社長のコメント
「世界初のフルスケールCCSプロジェクトに携わる最初の船会社としてNorthern Lightsプロジェクトに参画し、産業の脱炭素化に貢献できることを光栄に思います。数十年にわたる液化ガス輸送のノウハウを活かして、液化CO2輸送という新たな事業領域に取り組みます。」

 

注1)Northern Lights社について
Northern Lights JV DA は、Equinor、Shell、およびTotalEnergiesが1/3ずつ出資する合弁会社です。Northern Lights社は、顧客から受け取ったCO2を船舶でノルウェー西部の受入基地に輸送し、パイプラインで海底 2,600 メートルの貯留層に圧入するためのインフラを開発しており、運用開始は 2024 年を予定しています。関連施設は現在建設中であり、欧州域内の顧客に安全で信頼性の高い輸送および貯留サービスを提供できるようになります。欧州の産業部門からCCSの関心が高まる中、需要の増加に伴って輸送および貯留能力の拡張も予定されています。

 

【Northern Lights 液化CO2船】(画像提供:Northern Lights JV DA)

 

【新造船主要目】
カーゴタンク容量:7,500㎥
全長:130m
船幅:21.2m
喫水:7.5m