2024年4月11日
川崎汽船株式会社

 

 川崎汽船株式会社(以下、「当社」)は、この度、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)、日本シップヤード株式会社(以下「日本シップヤード」)、株式会社三井E&S(以下、「三井E&S」)、NSユナイテッド海運株式会社(以下、「NSユナイテッド海運」)とともに、MAN Energy Solutions(以下、「MAN社」)との間で、アンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発を進めることに合意し、覚書(以下、「本覚書」)を締結しました。

 

 アンモニアは国際海事機関(IMO)が掲げる温室効果ガス(GHG)排出削減戦略に貢献するゼロ・エミッション燃料として期待されており、アンモニア燃料船は、海事関係者にとどまらず荷主や燃料生産者等、多くのステークホルダーが検討、開発を進めています。また、アンモニアを主燃料とする二元燃料機関(以下、「アンモニア焚機関」)の開発ならびに商用化はアンモニア燃料船の普及に必須であり、特に毒性のあるアンモニアに対しての安全性確保と海上での安定運航の確認は、アンモニア燃料船の社会実装に向けた重要なマイルストーンとなります。本覚書は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発/アンモニア燃料船の開発」に共同採択された、「アンモニア燃料船開発と社会実装の一体型プロジェクト」(注1)において、商用化前の「パイロットプロジェクト(注2)」として、MAN社が開発を進めているアンモニア焚機関を搭載した載貨重量20万トン級大型ばら積み船を日本シップヤードが建造することを前提にしています。竣工後も商用化のために必要な運航データを収集することにより、アンモニア焚機関およびアンモニア燃料船の商用化に向けた取り組みを関係者と共同で進めるものです。

 

 本覚書締結は、海事関係者の新たな挑戦であるアンモニア燃料船を社会実装する為の重要なマイルストーンであると共に、伊藤忠商事をはじめとするパートナー企業によるアンモニア燃料船開発と世界的なアンモニアのサプライチェーン構築の両面から構成される「統合型プロジェクト」の更なる推進に向けた重要なステップとなります。今後、本覚書締結に基づきアンモニア焚機関およびアンモニア燃料船の開発を進め、できるだけ早期に竣工・社会実装開始を目指します。

 

 当社グループは、海運業を主軸とする物流企業として、「人々の豊かな暮らしに貢献する」という企業理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指し、環境負荷の低減に引き続き取り組んでまいります。

 

【各社役割】

パートナー

役割

MAN社

アンモニア焚機関の設計・開発および、竣工後におけるアンモニア焚機関の検証

日本シップヤード

アンモニア焚機関搭載の20万トン級大型ばら積み船の設計・建造

伊藤忠商事

川崎汽船

NSユナイテッド海運

アンモニア焚機関搭載の20万トン級大型ばら積み船の運航管理(船員教育・船舶管理体制の構築)、アンモニア焚機関の運転データ収集

三井E&S

20万トン級大型ばら積み船に搭載するアンモニア焚機関の製造及び周辺システムの設計・製造

伊藤忠商事

アンモニア燃料供給に関する情報共有

 

【覚書締結の様子】

左より
NSユナイテッド海運株式会社 執行役員 佐藤 義則
株式会社三井E&S 取締役 田中 一郎
マンエナジーソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長 ダニエル シュトラックマイアー
日本シップヤード株式会社 代表取締役社長 檜垣 清志
川崎汽船株式会社 執行役員 池田 真吾
伊藤忠商事株式会社 船舶海洋部長 尾関 洋彦
拡大
左より
NSユナイテッド海運株式会社 執行役員 佐藤 義則
株式会社三井E&S 取締役 田中 一郎
マンエナジーソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長 ダニエル シュトラックマイアー
日本シップヤード株式会社 代表取締役社長 檜垣 清志
川崎汽船株式会社 執行役員 池田 真吾
伊藤忠商事株式会社 船舶海洋部長 尾関 洋彦

 

(注1) 2023年11月13日付:「アンモニア燃料船開発」の共同プロジェクトがグリーンイノベーション基金事業に採択
https://www.kline.co.jp/ja/news/Liquefied_gas/Liquefied_gas-20211026.html
(注2)新しい技術を本格導入する前に行う、試験的で先行的な実証運航