2022年5月13日
Fleet Management Limited
Keppel Offshore & Marine
Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping
住友商事株式会社
American Bureau of Shipping
川崎汽船株式会社
A.P. Moller - Maersk A/S、Fleet Management Limited、Keppel Offshore & Marine、Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping、住友商事株式会社、American Bureau of Shipping(以下「ABS」)によるシンガポールにおける船舶向けアンモニア燃料供給の実現に向けたコンソーシアム(以下「本コンソーシアム」)に、新たなメンバーとして川崎汽船株式会社(以下「川崎汽船」)、シンガポール海事港湾庁(以下「MPA」)が2022年4月に加入し、共同検討の加速に向けた覚書を締結しました。今後、本コンソーシアムのメンバーを中心に、2020年代後半からの船舶向けアンモニア燃料供給の実現を目標として、より具体的な検討・準備を進めていきます。また、本コンソーシアムは、2022年5月6日に事業開発の一環として、ABSよりアンモニア燃料供給船の設計基本承認(Approval in Principle、以下「AiP」)を取得しました。
国際連合の専門機関である国際海事機関(IMO)は、国際海運における温室効果ガス(GHG)の排出量を2050年までに2008年比で半減させる目標を掲げています。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、海運業界におけるGHG排出量削減に大きく寄与する可能性のある次世代の代替船舶燃料として期待されています。
本コンソーシアムは、2021年3月よりシンガポールでの船舶向けアンモニア燃料供給の事業化に向けた検討を共同で開始しました。1年間の共同検討を通して、アンモニア調達地候補の特定、アンモニア輸送船や貯蔵タンク等のインフラ調査、またアンモニア燃料供給船の基本設計、それらコストの概算見積もりなどを行いました。今般、新たなメンバーとして加入した川崎汽船、MPAの協力の下、アンモニアのサプライチェーンの詳細検討およびライフサイクルアセスメント、船舶向けアンモニア燃料供給の安全性評価、オペレーション・ガイドラインの策定に向けた活動を行います。
本コンソーシアムは引き続き海事関係者やシンガポール関係省庁と協力し、国際海運の重要拠点の一つであるシンガポールにおいて、世界に先駆けたアンモニア燃料供給の実現を通じ、海運業界の脱炭素化への貢献を目指します。
<参考情報>
■各社役割
- ■共同調査結果(2021年4月~2022年3月)
- (添付参照)NH3 Bunkering in Singapore Joint Feasibility Study Summary of Phase1 (172KB)
■アンモニア燃料供給船のイメージ
■覚書締結式(4月6日実施)
■各社コメント
Mærsk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shipping, CEO: Bo Cerup-Simonsen
2050年までに海運業界の脱炭素化を実現するには、官民の緊密な連携が不可欠です。港湾及び船上でのアンモニアの取り扱いには、運用面、安全面、環境面、規制面の問題を並行して解決せねばならず複数の関係者間の協力が不可欠です。今回のMPAの参画により、アンモニア燃料供給網構築のためのガイドライン・安全基準の策定に向けた体制が整いました。
Fleet Management Limited, Managing Director: Kishore Rajvanshy
1年間にわたる本コンソーシアムメンバー各社との共同検討は素晴らしいものでした。アンモニア燃料供給船の設計や船舶向けアンモニア燃料の実現に向けた環境整備など、アンモニア燃料供給事業の実現に焦点を当てた次のフェーズに心から期待しています。
ABS, Vice President of Global Sustainability: Georgios Plevrakis
アンモニアは、脱炭素を目指す海運業界のソリューションとして、大きな可能性を秘めた燃料です。この画期的なプロジェクトにおいて、ABSは業界をリードする知見をもってアンモニア燃料の導入をサポートできることを誇りに思います。
川崎汽船株式会社、代表取締役社長: 明珍幸一
世界有数の燃料供給拠点であるシンガポールで、この革新的なプロジェクトに参加し、国際海運の脱炭素化に向けた共通課題に対処する重要な役割を担えることを誇りに思います。本コンソーシアムにおいて、MPAや海運業界のリーダーたちと協力することで、国際海運にネットゼロ燃料を供給するというシンガポールの目標達成に貢献できると考えています。
アンモニアバンカリング船のAiP取得は、国際海運の脱炭素化に向けた道のりにおいて重要なマイルストーンとなるものと考えます。
住友商事株式会社、エネルギー本部長: 遠藤宏治
当社はアンモニアが将来の脱炭素社会を実現する重要な燃料になると考え、志を同じくするパートナーと過去一年に渡る協力関係のもと、船舶向けアンモニア燃料のサプライチェーン構築に向けた研究を続けてきました。今般アンモニアバンカリング船の設計に関する基本承認を取得し、第一歩を踏み出すことができました。MPAや川崎汽船のパートナー参画により、シンガポール港におけるアンモニア燃料供給事業化をより強力に推進できることを確信しています。
Keppel Offshore & Marine, CEO: Chris Ong
MPA及びコンソーシアムメンバー企業各社と協力し、海運産業の脱炭素化を推し進めていけることを嬉しく思います。Keppel O&Mは、独自のエンジニアリング、造船、LNG燃料供給に関する知見を活用し、エネルギー転換に貢献する設備の設計、建造、運用の役割を担えます。これにより、アンモニア燃料供給船やアンモニア燃料船など、よりクリーンな船舶燃料への転換を支援し、所謂グリーンインフラの開発をリードしていきます。