川崎汽船株式会社 代表取締役社長 明珍 幸一の画像

川崎汽船グループは企業理念である『グローバルに信頼される“K” LINE』を通じて、社会的価値と経済的価値の双方を実現し、全てのステークホルダーから信頼されるパートナーとして、グローバル社会のインフラを支えることで持続的成長と企業価値向上を目指します。

 

2023年度は、中東情勢など地政学的リスクの高まり、インフレ抑制のための利上げ、米中対立等の地域間の緊張の高まりに伴う経済の分断などの懸念があるなか、ドライバルク事業において市況の軟化による影響があったものの、自動車船事業は輸送需要の回復に伴い堅調に推移し、営業利益は改善しました。一方で、コンテナ船事業では新造船竣工に伴い船腹需給が軟化し、収益が悪化した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,047億円となりました。

 

2022年度から5か年の中期経営計画は自営事業を中心に着実に進捗していることを踏まえ、中計最終年度である2026年度の経常利益目標を、従来の1,400億円から1,600億円に引き上げました。さらにその先の2030年度に向けて2,500億円+αを目指します。投資においては、「成長を牽引する役割を担う事業」(鉄鋼原料、自動車船、LNG輸送船)と自社及び社会の低炭素・脱炭素化に資する事業に重点を置いた規律ある投資計画を実行し、安定収益を積み上げてまいります。

 

資本政策においては、最適資本構成とキャッシュアロケーションを意識し、資本効率を高め、財務健全性を維持し、更なる企業価値の向上に努めるべく、機動的・積極的な株主還元を進めてまいります。株主還元政策として、2023年度は約562億円の自己株式の取得と消却を実施し、配当1株当たり250円(中間配当100円、期末配当150円。2024年4月1日付けで実施の株式分割前基準。)を実施しました。また、中計期間においては営業キャッシュフローの上振れも踏まえて、企業価値向上に必要な投資を実施したうえで、中計期間の還元総額を従来から2,000億円引き上げて7,000億円以上とする計画を打ち出しました。投資については、従来の計画である6,300億円から7,400億円と引き上げ、成長を牽引する3事業を中心に、投資規律を維持しながら、顧客のニーズに沿った投資を実行する計画です。株主還元は、2024年度の年間配当予想を、1株当たり40円の基礎配当に45円の追加配当を加えた85円とするとともに、機動的な還元として、1,000億円、39,556,000株を上限とする自己株取得を5月7日に公表、実施に移しています。

 

2024年度も、引き続き中期経営計画を着実に推進して持続的な成長と企業価値の最大化を図り、株主価値の一層の向上に繋げていく所存ですので、更なるご支援ご鞭撻を賜りますよう、何卒、よろしくお願い申し上げます。


2024年6月

代表取締役社長 明珍幸一(こういち)の署名