サステナブル・ファイナンスの調達意義

当社は、2015年に環境に関わる長期指針『“K” LINE 環境ビジョン 2050 ~青い海を明日へつなぐ~』を業界に先駆けて策定して以降、事業活動により生じるあらゆる環境負荷を最小化することを目指しております。同ビジョンでは、脱炭素化に向け2030 年中期マイルストーンとして、国際海事機関 (IMO)の定める2030年目標である「CO2排出効率2008年比40%改善」を上回る「CO2排出効率2008 年比50%改善」と「社会の低炭素化に向けた新しいエネルギー輸送・供給の推進」、アクションプランとして「LNG燃料船の導入」などを掲げています。

サステナブル・ファイナンス事例

トランジション・ローン事例: 次世代型環境対応LNG燃料自動船 ”CENTURY HIGHWAY GREEN”

次世代型環境対応LNG燃料自動船<br/>”CENTURY HIGHWAY GREEN”
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次世代型環境対応LNG燃料自動船
”CENTURY HIGHWAY GREEN”

当社は、先般竣工した次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船を対象に、株式会社みずほ銀行と 三井住友信託銀行株式会社が実行する国内初となるトランジション・ローンを活用したオペレーティング リースを導入しました。

 

同ローンの組成にあたり、当社は、株式会社日本格付研究所(JCR)より国際資本市場協会(ICMA)が提唱しているクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブックに則した適格認証を取得し、最上位評価「Green1 (T)」を受けております。

 

トランジション・ローンとは、企業の脱炭素に向けた移行の取り組み(クライメート・トランジション)に対して、効率的に資金供給を促進し、もって2050年のカーボンニュートラルな社会の実現に寄与するための融資枠組みです。

当社及び当社事業、企業理念や環境方針、本件の資金調達の使途などをまとめた「フレームワーク」については下記をご参照ください。

∎ 資金調達の使途

  • 当社脱炭素戦略のアクションプランである次世代環境対応LNG燃料自動車専用船の購入資金
  • 本船は、LNG燃料の使用によりCO2排出効率(EEDI値)は約45%改善、硫黄酸化物の排出をほぼ100%削減、窒素酸化物の排出はLNG燃料使用とExhaust Gas Recirculation(EGR)の併用により80~90%程度削減
  • 同プロジェクトは、環境省および国土交通省の連携事業である「代替燃料活用による船舶からのCO2 排出削減対策モデル事業」に公募採択
     

∎ プロジェクトの評価及び選定プロセス

  • 当社主管部門が適格クライテリアへの適合を検討の上、評価及び選定を行い、取締役会に付議
     

∎ 調達資金の管理

  • 銀行/リース会社SPC/当社/造船所との契約書及び請求書に紐づいた資金移動により追跡管理
  • 調達資金はあらかじめ選定された個別プロジェクトに全額紐づけられる
  • 上記資金の追跡管理は、当社会計システムにて厳格に管理       
     

∎ レポーティング

  • 調達資金は同日に全額充当
  • 貸付人には本船のCO2排出量を年次で開示予定
  • 当社脱炭素戦略のKPIは当社ウェブサイトにて継続開示

 

第三者評価

 JCR評価レポート

スキームおよび資金調達概要

スキーム名称 オペレーティングリース
傭船者 川崎汽船株式会社
船主/借入人 リース会社SPC
契約締結日 2021 年3 月10 日
ローン金額 約 59 億円
ローン アレンジャー 株式会社みずほ銀行
ローン コ・アレンジャー 三井住友信託銀行株式会社
トランジション・ストラクチャリング・エージェント 株式会社みずほ銀行/みずほ証券株式会社/三井住友信託銀行株式会社
貸付人 株式会社みずほ銀行/三井住友信託銀行株式会社
資金使途 次世代型環境対応LNG 燃料自動車専用船購入資金
(ローン金額全額充当)
評価機関 株式会社日本格付研究所
取得評価 Green1 (T)

トランジション・リンク・ローン事例: 国内初/最大規模の「SPTs連動型」資金使途不特定型ローン

本「トランジション・リンク・ローン」の根拠となる「フレームワーク」については下記をご参照ください。

※フレームワークについては、当社が2021年11月に宣言した「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」等を踏まえて2022年1月に改訂し、株式会社日本格付研究所からクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本方針などの各原則やガイドラインに適合しているとして適格しているとして適格認証を取得いたしました。トランジション・リンク・ファイナンス・フレームワークについては下記をご参照ください。

∎ 3つのSPTsについて

本フレームワークにおいては以下の3つのSPTsを設定しております。

  • SPT1: 資金調達全期間における毎年のGHG総排出量
    (2050年までの2008年比▲50%の削減目標を線形補間し各年度目標を設定)
  • SPT2: 資金調達全期間における毎年のトンマイル当たりのCO2排出量
    (2030年までの2008年比▲50%の削減目標を線形補間し各年度目標を設定)
  • SPT3: CDP評価のA-以上の維持

※本TLLでは毎年SPTsの達成状況を判定しており、各SPTに応じてステップアップ金利を設定しております。

 

第三者評価

 本トランジション・リンク・ローンおいては、SPTsの達成状況についてJCRより年次で評価を受けております。

 2022年JCR評価レポート

スキームおよび資金調達概要

スキーム名称 トランジション・リンク・ローン
借入人 川崎汽船株式会社
借入額 約1,100億円
調達期間 5年
契約日 2021年9月27日
アレンジャー 株式会社みずほ銀行
コ・アレンジャー 株式会社日本政策投資銀行、三井住友信託銀行株式会社
貸付人 関西みらい銀行、西京銀行、山陰合同銀行、三十三銀行、信金中央金庫、スルガ銀行、中国銀行、栃木銀行、日本政策投資銀行、農林中央金庫、八十二銀行、肥後銀行、百十四銀行、北陸銀行、みずほ銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、山口銀行、横浜銀行、他(五十音順)
トランジション・ストラクチャリング・エージェント みずほ証券株式会社、株式会社みずほ銀行
評価機関 株式会社日本格付研究所
本借入金の返済期限到来までに目指すSPTs ①GHG総排出量、②トンマイル当たりのCO2排出量、③CDP評価

※上記すべてのSPTsと金利条件をマトリックス的に連動させることで、それぞれのトランジション戦略の実行をコミットする仕組み