• 企業情報
  • 事業紹介
  • 投資家情報
  • CSR
  • ニュースリリース
  • "K"LINE広場
  • 採用情報

トップ > “K” LINE広場 > もっと知りたい!川崎汽船 > カワサキくんの乗船研修記 > 海の近道

海の近道


海の近道

会話:カワサキ君×キャプテン

名古屋港を出港して3日目、船は燃料油の補給のために立ち寄るロングビーチに向け、 順調に航海を続けているようです。
カワサキ君が船橋に行くと、キャプテンは天気図を見ているところでした。

カワサキ君

「キャプテン、少し寒いですね」

名古屋を出港したのは7月5日、 じっとしていても汗ばむほどの初夏の陽気だったのに、日に日に涼しくなってきて、今朝は肌寒く感じるほどになってきています。

キャプテン

「カワサキ君、本船は今どこにいると思うかね?

カワサキ君

「見当もつきませんが…」

キャプテンは大きな海図を出してチャートテーブルの上に広げました。 そして本船の現在位置をGPS(Global Positioning System=人工衛星を使った位置測定システム)から読み取り、その海図に書き入れました。 キャプテンが海図に入れた本船の位置は、なんと津軽海峡と同じ緯度でした。これで肌寒い原因がわかりましたが、カワサキ君は「なぜこんな北にいるのだろう」と不思議に思いました。

カワサキ君

「キャプテン、この海図で見ますと名古屋とロングビーチは、 ほとんど同じ緯度に在りますよね。 名古屋を出港して真東に進めばロングビーチに着くはずなのに、どうしてこんなに北へ行くんですか?」

キャプテン

「名古屋港から野島埼沖を通りロングピーチまで行く経路のうち、最も距離が短くなるものを大圏といい、 海図に入れるとこんなふうになるんだ(図1)。 地球は球面だから、球面上の2点を結ぶ円弧が一番短くなるのは、球の中心を通る平面で球を切ったとき。 このときの円弧が大圏なんだね。君の言うように、野島埼から真東に航海すればロングビーチに辿り着くけど、 大圏に比べて270海里、約500キロメートルも遠回りになってしまうんだよ。 でもね、必ずしも大圏がいつも良いとは言えないんだ。船長は、その航海が最短時間航海で、 最少燃料消費となるよう常に努力しているんだが、これには海流や本船が遭遇する天気、特に風により発生するウネリや波が重要因子となる。 このような自然の力による影響を考えて船長は、本船が航海するルートを決定しているんだ」

航海ルート

カワサキ君

「だからキャプテンは先程天気図を見ていたわけですね。 それで今回の航海はどうされるんですか」

キャプテン

「今航は、これから少々時化るけど、もう少し北へ上ってから一路目的地までいくことにするよ。 そろそろ暖房を入れないといけないかも知れないな」

次の日、キャプテンの言葉どおり、波が高くなり本船の動揺が激しくなりました。 船橋から海面をみると少し海面が泡だっており、風は本船の右後ろから吹いています。

船橋ではキャプテンがテレックスを見ていました。このテレックスはウェザールーティング会社から来たもので、今後の天気の予想と、 本船の進路に対する船長へのアドバイスが書いてありました。 カワサキ君はむずかしい顔をしてテレックスを見ているキャプテンに、今後の天気の具合いを聞きました。

キャプテン

「カワサキ君、昨日の予想どおりだね。 ここ3日間は後ろからきた低気圧と一緒に航行することになるから少々揺れるだろう。 ところでカワサキ君、本船ではどんな気象情報が手に入ると思うかな」

カワサキ君

「陸上と同じですか?」

キャプテン

「陸上とは少々違うね。地上天気図は陸上でもよく見るけれど、ほかに高層天気図も手に入るんだ。 高層の天気は地上より進んでいるので、1~2日先の予想に役立つんだね。 こうした各国の気象庁などからの気象情報は、いつでも入手できるわけではないので、昔は自分で予想をたてていたんだけれど、 特に春と秋は低気圧の動きが予想と違うケースがあって苦労したんだよ。 でも、現在ではこのようにウェザールーティング会社から、通常10日先までの予想が入手できるようになっているんだ。 ウェザールーティング会社はコンピュータを使って、予想気象をもとに本船のスピードの低下具合をシミュレーションし、 どのルー卜が最も有利であるか(最短時間航海となるか)を予測し、本船に推薦してくれる。 あくまでこれは予想に過ぎないんだけれど、非常に参考になるんだ。ところでカワサキ君、 ウェザールーティング会社からの航路選定に関するRecommendationは、どんな意味を持つと思うかね。 例えはKラインが他の会社の船舶を借りて運航しているケースでは、その船の船長は、 ウェザールーティソグ会社が推奨してきたルートを必ず航行しなければならないだろうか?」

カワサキ君

「そうですね、やはり最新の科学技術による予測に基づくものですから、従うべきなんじゃないでしょうか?」

キャプテン

「うん、この場合ウェザールーティング会社の利用は、 傭船者であるKラインが決定し、その費用も支払うのが一般的だ。 これは可能な限り、安全かつ経済的に船を運航するためであり、その推薦航路から大きく離れて航海しようとするには、 それなりの合理的な理由がなければならないね。
だけどね、カワサキ君。もし本船がウェザールーティング会社の指示に従ったにもかかわらず荒天に遭遇し、 スケジュール遅延が生じたり、万一沈没するようなことになったら、一体誰が責任を負わなければならないかな?」

カワサキ君

「ああ、そうか。 やはり最終的には船長が責任を持たなければならないんですね

キャプテン

「そう、本船がどのような航路を選んで、 どう操船していくかについては、その責任は船長にある。 だからこうして注意深く天候の推移を見守り、慎重に航路を選ぷ必要があるんだよ

そう言ってキャプテンは、太平洋上に何本かの線が引いてある絵と、折れ線グラフを見せてくれました。

キャプテン

「この線(図2)はロングビーチから東京までの代表的航路であり、 こっちの表(表1)は、それぞれのルー卜の月別航海時間を示したものなんだ。 最短コースの大圏が、必ずしも最短時間で航海できる航路とはならないことがわかるだろう」

図2 ロングビーチから東京までの代表的航路

表1 ロングビーチ~東京(野島崎沖)月別平均航海時間 表1 ロングビーチ~東京(野島崎沖)月別平均航海時間

カワサキ君

「1月や2月といった冬場は、 大圏よりも北寄りの航路の方が航海時間が短くなっていますね」

キャプテン

「うん、これはね、主として低気圧の進行経路が影響しているんだ。 こっちの図(図3)の矢印は、冬場の北太平洋の低気圧の進行パターンを示したものなんだが、 これを見ればわかるように、この時期の低気圧の経路は、ロングビーチから東京へ至る大圏航路に近いんだね。 従って、大圏よりも北に上って低気圧の北側へ出てしまえば、特に西に向かう船にとっては有利になる」

カワサキ君

「どのように有利なのですか」

図3 冬場の北太平洋の低気圧の進行パターン

キャプテン

「北半球の低気圧には、反時計回りに風が吹き込むため、 低気圧の北側では、東寄りの凰が吹く、これは西に向かう船にとっては追い風になるからね」

カワサキ君

「風による後押しが期待できるという訳ですね」

キャプテン

「そうだ。それに低気圧の北側の方が海面も比較的穏やかなんだ。 だから、冬季アメリカから帰って来るときには、アリューシヤン列島の北側のベーリング海を航行することが多いね」v

カワサキ君

「そういえば、先輩が言っていましたが、 船が日本へ着くのが遅れているときに、荷主さんから『何でこんなに天気が良いのに船が遅れるんだ』と叱られたことがあるそうですけれど」

キャプテン

「ベーリング海を西に航行した後に日本へ向かうとなると、 カムチャッカ半島の東から千島列島に沿うような形で南下してくることになるけれど、このあたりでどうしても、 日本を通過してきた低気圧とぶつかることが多い。 カワサキ君もよく知っているだろうけど、気圧の山と谷は交互にやってくる。 このため、本船が低気圧にぶちあたって四苦八苦しているときには、本州太平洋岸はいわゆる西高東低の冬型の気圧配置と言うことで、 カラッとした冬晴れ、ということが多いんだな。 それで何でこんなに天気がいいのに・・・・ということになる」

カワサキ君

「なるほど、良くわかりました」

半袖を着ていたカワサキ君は、寒くなってきたのでセーターを取りに部屋に戻りました。

PDF

PDFファイルをご覧になるには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
Acrobat Readerをダウンロードするには左のボタンをクリックして下さい。Adobe Acrobat Readerは無償で提供されています。

このページの先頭へ