A.  2006年度決算概要

お忙しいところお集まりいただきまして有難うございました。
只今から2006年度決算についてご説明申し上げます。
お手元の資料とパワーポイントで同じ図面が出ると思いますので、それに沿ってご説明申し上げます。

 

A-1. 決算概要

2006年度の決算について概要を簡単に申し上げますと、一言で言いますと増収・減益でした。

 

売上高は初めて一兆円を越えまして、1兆855億円。前年比約15%の増でした。

 

しかしながら利益面においては、経常利益で約28%前年比減、639億円にとどまりました。経常利益につきましては、639億という数字ではありますが、過去の実績から行きますと、そんなに低い数字ではないと思っております。
過去最高益は、2005年の3月期、2004年度に1072億という数字をあげたのですが、2005年度が886億円。それに次ぐ3番目と考えております。

 

当期利益につきましても、前年比減益ですが、515億円ということで、そこそこの利益をあげられたと思っております。

 

今回の決算の特徴は、1つはバンカー価格が大幅に値上がりしたことと、2005年の夏からコンテナ船、特に欧州航路の運賃が大幅に下落したこと。この影響を受けて、実際問題として単体の数字が相当悪くなった。
しかしながら連結部門で頑張って、今や連・単比率は、利益面においては概ね2倍を越える規模になっております。

 

それから特徴的なことは、ここ数年間の好業績のお陰もあり、また低金利の影響もありまして、金融収支が連結ベースで初めてプラスに転じております。
そういう意味で行くと、段々段々、財務体質も良くなって来ていると考えております。
配当につきましては前年度と同じ通期ベースで18円の予定であります。
これは前からお約束しております配当性向20%を守るという線に沿った数字です。

 

為替につきましては2006年度平均が117円、前年度に比べると4円の円安。燃料油につきましては、前年に比べて33ドル高のトンあたり319ドル。こういう結果になりました。

 

A-2. 業績のポイント

ポイントとしては先ほどご説明した通り、増収約1450億円、減益幅250億円弱ですが、この分析で行きますと、若干円安にふれたことで為替でプラス、バンカーについては100億弱のマイナス。市況変動の部分でも大方200億近い変動があります。
ただし、コンテナ及びバルクのところで営業規模が拡大し、その影響がプラス400億。
それからコストの増減、これは主としてコンテナ航路における内陸費用の増のコスト増があり、また規模の拡大によるコスト増もありました。これ等を合わせて減益要因として約250億近い数字になっております。

 

A-3. 部門別業績動向−コンテナ船−

部門別に申し上げますと、コンテナ船につきましては、また後ほど色々ご質問が出るかと思いますが、前期に比べて規模の拡大があり、積高も概ね300万TEU、前年に比べますと約11%の増になっております。

 

当社の最大船型である8000個積みの船が、4隻目がこの4月に出てきたばかりですが、昨年3隻竣工。それから新しい航路、SINA(シーナ)と呼んでおりますが、スエズ経由のアジアから北米東岸向けの航路の開設、等々で、お陰様で営業規模も拡大できました。

 

ただし先ほど申し述べました通り、主として欧州航路の運賃率が低下したこともあり、結果的には78億円の赤字となりました。前年度が約300億、その前の年が400億でしたから、2年前と比べると、概ね500億近い収益の悪化となっております。勿論コスト削減で色々努力して参っているところですが、やはり欧州の運賃の下落が非常に大きなダメージを与えました。

 

昨年のこの時期に前期の見通しをした時に、やはりその時からコンテナ航路の運賃の下落で前期は非常にしんどい年になるだろうと覚悟しまして、目標としては、ともかく年度内に底を打って、次年度、すなわち今期になりますが、今期からは上昇トレンドに持って行こうという固い決意を固め、世界のそれぞれの我々の組織に運賃の下げ止まりを指示し、なおかつコスト削減の努力も尚一層続けるように指示をしたところです。

 

結果的に、今までの四半期毎の決算においても説明申し上げましたが、概ね去年の2月から4月にかけて欧州航路の運賃は底を打ちまして、数回に渡る運賃修復の努力で、今や100%とは言えませんが、下落した内の約半分程度のところまで回復しているのではないかと考えております。
また今期の予想のところでも申し述べますが、徐々に、4月以降につきましても運賃回復の実効が上がっており、去年決意を固めた、ともかく2006年度で底を打って2007年度以降は上昇トレンドになるということは、ほぼ間違い無いと考えております。

 

A-3. 部門別業績動向− ドライ・バルク−

コンテナ部分は減益となったわけですが、ドライ・バルクのところでは市況がハイレベルにとどまっており、この部門が収益の更なる悪化を食い止めました。ドライ・バルク全体としては増収・増益です。

 

昨年度の第1四半期は果たして一旦上がったマーケットがどうなるか、ちょっと心配する場面もあったのですが、第2四半期以降は戻しており、現状では歴史的なハイレベルという状況です。
営業規模の拡大、新造船が22隻竣工しまして、稼動のべトンも11%伸びております。
やはり中国の底堅い、特に鉄鋼需要のお陰で、非常にマーケットとしては強いと感じております。

 

A-3. 部門別業績動向− 自動車船−

自動車船につきましては、ここ2年ほど、随分需要の増に悩まされまして、扱い量が増える割には収益がなかなか思ったように上がらない状況が2年ほど続きましたが、前期につきましては、新造船の投入により、かなり緩和されました。
収益の回復も、以前ほどの伸び悩みではなく、若干戻してきました。
扱い高も300万台を越え、お陰様でここしばらくは、このような需給の強い状況が続くものと考えております。

 

A-3. 部門別業績動向−エネルギー資源輸送 −

エネルギー資源輸送の分野ですが、前期と比べ規模が拡大し増収とはなりましたが、利益面においては横ばいです。

 

新造のVLCCが1隻、去年の12月末に竣工しまして、出光さんの長期契約に入っております。
シンガポールで運航しているアフラマックスの船隊も安定的に稼動しており、安定的に収益をあげているという状況です。
利益の点で横ばいというのは、マーケットが若干軟化したということですが、世界的に見て、エネルギー需要は今後ともかなりタイトな状況が予想されますので、この分野でも、長い目で見ると底堅い動きをすると考えております。

 

LNG船は合計31隻になり、去年は2隻増です。スノービット向け1隻に1隻、2隻竣工しております。

 

A-3. 部門別業績動向− その他事業部門−

その他のところでは、主として川崎近海汽船がやっている内航フェリー部門では増収となりましたが、燃料油の高騰ということで若干減益となっております。

 

物流事業は、昨年の7月にケイライン・エアとケイロジという海上フォワーディング会社を合併しまして、ケイラインロジスティクスという物流事業部門を設立したわけですが、徐々にシナジーの効果が上がって来ています。やはり航空貨物の部門で若干ながらでも日本におけるシェアを上げて行くこともあり、若干ながら増益となっております。

 

以上が2006年度の業績の概要でございます。

 

B. 2007年度 通期業績予想

次は2007年度の業績予想についてご説明させていただきます。

 

B-1. 通期業績予想

先ほど、2006年度の説明の時にも若干申し述べましたが、やはり、ここしばらくは、外航海運においては堅調なマーケットが推移すると考えております。
一部懸念材料があるのは、もう皆様も色々なところでご存知の通り、アメリカの経済がスローダウンして一体どうなるのかということは、コンテナ船のみならず、他の分野でも極めて関心のあるところですが、色々な荷主様に実際に色々お話を聞いていますが、おしなべて、余り心配することはないのじゃないか、ということでした。

 

従って、昔の様に全く心配無いということではありませんが、あまり新聞紙上等で心配されているような、例えば住宅事情がどうの、それで住宅関連の荷動きがどうの、というのは、あるわけですけれども、それほど大きな影響は無いのではないかと見ております。

 

たまたま今朝、私ども北米のSCで今回新たに契約をさせていただいた荷主さんと会いまして、お話をお伺いすると、リテーラーさんですが、あんまり心配することは無い、と。
今アメリカでガソリン価格がガロンあたり3ドルを越えた、というようなことを言っていますが、これが5ドル6ドルにならない限りは、あまり心配することはない、向こうの小売の需要はやはり強いですよ、というお話でした。それで、あまり心配しなくて良いのじゃないかという風に思っております。

 

そういうところから、売上につきましては前期と比べて約10%増、1兆2000億円を目指そうとしています。経常利益については約49%増の950億。当期利益については630億。
前提は為替が115円、燃料油価格を340ドルと見ております。
1兆2000億円というのは勿論、売上高の最高を更新するわけですが、当期利益は630億をあげれば、当期利益ベースでこれが最高益となる予定です。
この前提で配当性向20%をお約束していますので、630億の利益をあげられると配当を20円まで持って行けるので、2円増配を目指したいと思います。

 

B-2. 事業別売上高経常利益予想

私どもも、コンテナで200、コンテナ以外で100億は何とか改善できるだろう、と大体トータル300億くらいの改善を、できるのではないかと考えておりました。
色々積算してみて、若干バンカーが3ヶ月前に比べると、ちょっと落ち着いて来たのがまた最近上がり始めているので、この部分がコンテナ船が200億にちょっと届かなかった大きな要因だと思うのですが、それに近い数字があげられる、と。

 

それから、バルクの方も、予算で見ている前提よりも実際の動きは直近の数字で行くとかなり高いレベルであり、あまり心配しないで、この数字はあげられるのではないかと考えております。

 

B-3. 通期業績予想のポイント

増収・増益の内容について、ここに書いてある通りですが、やはり市況変動のところと、営業規模の拡大、これが一番大きな要因です。
利益計画の中には新しく制度が変わった償却費の増が約17億円、それから色々、パナマ運河の拡大のところで通峡料が値上げということも言われております。
これは何ヶ月間か延びています。延びたのですが、今のところで行けば、2015年稼動のために今現在から、通峡する船に対して値上げして行こうという動きもあり、この部分も6億円程度見ております。そういうことも見た上で増益の計画です。

 

B-4. 部門別業績予想 <コンテナ船>

コンテナ船につきましては、前年に比べ10%弱の積高増を見込んでおり、運賃も先ほど説明したとおり回復基調に入っています。

 

B-4. 部門別業績予想 <その他事業部門>

コンテナ以外は、同じ説明になりますが、自動車についても堅調な動きです。
新造船も、昨年、一昨年、8隻+8隻、それから今期も4隻入って来る予定で収益性の回復に拍車がかかるものと期待しております。

 

それからドライ・バルクも、マーケットが高値圏で推移すると見ており、ここに所謂予算の前提のマーケット数字があります。
例えばケープについては上期・下期とも6万ドルで見ておりますが、直近の数字で行きますと、10万ドルを越えるような数字になっている。
パナマックス、ハンディーサイズも同様の傾向を示しておりまして、このドライの市況も、しばらくは、もちろん局面での上下はあると思いますが、基調としては強い数字が維持できるだろうと考えております。

 

今日もたまたま中国からお客様が来まして、お話をお伺いしましたが、どこのマーケットでも同じですが、マーケットに近いところに行けば行くほど、強い時は強いと感じておられるようで、しばらくは、いつまで続くかと言われると明確にはお答えできませんが、数年程度は、こういった状況が続くのではないかと考えております。

 

エネルギーにつきましては、LNGが今期3隻竣工し、徐々に規模を拡大している。
それから油槽船のところでも、今期、後ほど船隊整備のところで出てきますが、2007年度につき、今年の7月にはエクソン・モービル向けのVLCCが1隻出てくる。またアンモニア船が2隻、韓国の造船所から出てくる。
徐々に規模を拡大して参る予定でありまして、安定的に業績は推移するものと考えております。

 

C. “K” LINEVision2008+進捗状況

C-1. “K” LINE Vision2008+

“K” Line Visionの課題として持続的成長と安定収益体制の確立、ということを掲げております。

 

ここにいくつかテーマを書いてありますが、まず、やっぱり一番重要な課題は、2つ目にある安全運航を支える船舶管理体制の構築ということで、我々の海上輸送業務も安全運航が無ければ何事も達成できないということで、何が何でも、この安全運航体制の確立、これに注力をして行く。
そのためにはやはり、質の高い船員と、充分な船員の数の確保、これが一番大事なことであり、“K” Line アカデミーの設立ということが書いてありますが、今年の12月にマニラにおいてトレーニング・センターの大きなものが設立されます。

 

ここを核にして、“K” Line India、インドにおける“K” Line マリタイム・アカデミー・インディア、こういう体制を確立して行き、安全運航体制をさらに強化することを目指しております。

 

それから先般発表させて戴きましたが、1990年代の初めに一旦撤退した重量物船事業にも、ドイツのSALという重量物船会社に資本参加することによって、再参入を果たすということで、今やっております。

 

C-2. “K” LINEVision2008+進捗状況

コスト削減の状況でありますが、これはもう毎回言う通りですが、もう未来永劫、こういうコスト削減が続くのかと言われると、yes か noかと言うと、yesと言わざるを得ないですが、やはり色々なサービス、ネットワークを拡大して行くに従って、色々なところでコスト・セーブの種が出てくるので、引き続いてやって行きたいと思っています。

 

前年度はコンテナ部門を中心に100億強、今年度もそれに近い数字を何とか削減しようと考えています。勿論、この中には、規模の拡大によるメリットも含まれております。

 

C-3. “K” LINEVision2008+進捗状況

船隊整備状況ですが、2006年度は合計で47隻が竣工しました。
2008年度にも40隻強を予定しております。

 

たまたま今年度は、竣工量が25隻ということで、丁度狭間になります。
やはりこれは、2003年の末から船価が上がり始めたわけですが、その上がり始めた直後に、なかなか決められなかった。上がってしまった後、一旦上がったその船価はまた下がるだろう、というような状況もあり、このところで若干、船隊整備について、船を決めるのが滞った、という結果です。

 

概ね船隊整備計画については順調に推移しており、今回3年先まで見通して、2009年度までの計画を出しております。
今引合いをしているのは2012年ぐらいのデリバリーの引合いを行っているところですが、相当船価も高くなっており、毎回決めようか決めまいかという時に悩んでいるところです。

 

ただ我々としては今の営業規模を維持し、それから市場の拡大に合わせて我々も大きくなって行きたい、ということですから、市場が大きくなっている限り、我々も計画的に船を発注し、船価が高ければ高いなりにお客様と話をし、長期・中期・それから短期、組合せを考えながら、今後とも船隊整備を進めて行きたいと考えております。

 

C-4. “K” LINEVision2008+進捗状況

財務の数値の推移でございますが、2007年度の計画は、計画通りの数字が達成されますと、“K” Line Vision 2008+で描いた数字を一部では上まわる数字になる予定です。
ただし利益面では、まだまだ未達成のところがありますので、2008年度までは、この数字を変えずに何とか頑張って行こうと、早期達成に向けて頑張って行こうと。恐らく来年中に、2009年度以降の数字を固めて行くことになろうと思います。
自己資本も段々積み上って来まして、計画通り行きますと、2007年度には自己資本が4000億円になろうというところまで来ました。

 

有利子負債の方は、若干増え気味ですが、これは余り大きく心配しなくて済むかと考えております。以前発行しました転換社債の転換も一部進んでおり、そういう意味では有利子負債が増えてもDERはそれほど大きく悪化せずに、むしろ改善する方向にある、という数字になっております。

 

以上 ご説明申し上げました。

 

ありがとうございました。

以 上