それではお手元の資料及びパワーポイントに沿って説明させていただきます。

 

A.  2005年度決算概要

本来であれば今日はもっと晴れ晴れとした気持ちでこの説明会に望みたかったのですけれども
今年度、前期はともかく今期はかなり減益予想になるということで、
この辺りについて説明させていただきたいと思います。

 

A-1. 2005年度決算概要

まず2005年度の決算概要についてご説明させていただきます。

 

数字はお手元にある通りなのですが、
連結ベースで売上高9,408億、経常利益886億、当期純利益は624億となっております。
これは一言で言うと増収で、当期利益ベースでは増益、という決算であります。
売上高については、過去6年連続して増収を果たし、更に言えば、6年連続史上最高の売上高を更新しております。
それから、当期利益については、5年連続で増益であり、かつ4年連続で最高益を更新した決算でございました。
前期と比べると、やはり、特に営業利益・経常利益の段階で、17-8%前期より減益となりましたけれども、大体説明ができる数字でありまして、我々としては、我々の営業の中身に問題があったとかいうことではないと認識してますので、そういう意味ではあまり心配はしておりません。
配当は、公約通り18円ということで、前期に比べて、1円50銭の増配をさせていただきました。
全般的に見ますと、単体が若干悪くなったということに加えて、従来から進めてきた連結経営が段々段々実を結んできまして、連・単比率も前年度に比べると拡大傾向にあります。

 

A-2. 決算の要点

決算の中身について、先ほど当期純利益ベースで増益と申し上げましたが、この間、第3四半期の決算発表の時に公表しました数字と比べるとほぼ予想通りの数字でした。ただ我々が想定した以上にバンカーが上がったということと、それから当初、第3四半期の決算を終えた時点で、その当時には一部起こっていたわけですけれども、その後顕在化しました、一部コンテナ航路の運賃下落が出てきまして、その部分で公表の数値からは若干下まわることになりました。
前期と比べると、先ほど申し上げた様に、市場環境というのは特に荷動きの点ではそれほど悪くなかった。但し、不定期船のマーケットはやはり前期と比べると大きく落ち込んでいるということと、コンテナの一部航路での運賃の市況が軟化したということでありまして、その他の点では、タンカー、それから自動車の分野においても、非常に堅調に推移したと見ております。
従って、経常減益の悪化の要因を挙げると、一番大きなものが燃料油高、それから、コンテナ及び不定期船の市況の変動、ということであります。

 

当期利益は、史上最高益を更新したということもありまして、念願の株主資本も2,500億を超えるところまでいきましたし、色々言われているDERも、1ぐらいになり、財務体質は非常に改善されて来たかと思っております。

 

それから配当については、従来、単体の20%ということで、Vision 2008 で掲げていたのですが、前期末の段階では、やはり、今後は連結ベースで見る方向だな、という風に段々変わってきまして、お約束している18円は単体で27%程度になるのですが、これは18円という絶対額で、維持させていただきたい、
それで次期以降につなげたい、という風に考えた次第であります。

 

A-3. 変動要因分析

先ほど申し上げたように、公表比及び前期比との比較でありますけれども、為替については113円ということで、これはあまり大きく変動無かったのですけれども、燃料、バンカーが、当初見込んでおりました数字より、公表数値では、特に283ドルということで見ておりましたし、前期の実績は191ドル71ということで、これも2004年度ですが、2005年度の実績、285ドル60セント、これに比較すると大幅な価格変動となりました。
前期比でいきますと燃料油のところで254億、コンテナ、不定期船、の市況悪化によって110億の悪化要因がありました。
但し、営業規模、それぞれの分野で後ほど説明することになると思いますが、営業規模を拡大しているということで少しでも悪化をミニマイズしたということであります。

 

A-4. 主要経営指標ならびに船舶投資実績

経営指標、お手元の資料にあると思いますが、投資が予定通り実行されておりまして、営業キャッシュフローは若干前年度よりも少なくなったということもあり、フリーキャッシュフローはマイナスになりました。
結果として有利子負債は、前期末で2,782億ということで、前年度に比べると400億円弱増えていることになっておりますが、全体の規模が拡大しているので、それほど大きな心配はしておりません。
特に株主資本の増大ということは、財務体質の強化につながっていると思います。

 

船舶の投資については、中古船の買戻しも含めて、46隻です。特にこの中で安定的な収益が期待できるのは、バルカーの大型で、自動車、LNG、等々も、計画通り投資が実現しておりますので、これが今後安定的な収益の源になると考えております。
これは裏腹なのですけれども、株主資本が大きくなったということで、ROEは前年度に比べると、落ちております。

 

A-5. 部門別業績動向 −コンテナ船−

部門別に見てみますと、コンテナ船につきましては、前期に比べて増収・減益であります。
これは既に公表しているわけですけれども、コンテナ船事業部門の経常利益は305億円。
前期に比べると、前期は400億だったと思いますので、前期比95億円の減益となっております。
規模は、新造船の投入等もありまして、順調に大きくなっております。
特に我々の基幹航路である所謂東西航路、北米・欧州の航路につきましては、
それぞれ往航、北米で10万TEU、欧州で5万TEU、増えて前期に比べると15万TEUの積高を伸ばしました。比率にすると16%であります。
それから、復航、アジア、南北航路も含めて全体では、7.8%の規模が拡大しました。
全体として265万TEUの実績であります。

 

肝心の運賃率のところでありますけれども、資料にありますように、北米航路は大体、年に1回サービス・コントラクトで決まるということもあり、それほど市況の変動を受けておりませんでした。
但し欧州航路につきましては、去年の末ぐらいから、一部の船社のアクションによりかなり市況が軟化しました。実際問題として、運賃がかなり悪化しております。
実は、私3月に発表しました経営計画の見直しで、“K” LINE Vision 2008+ を策定し公表したわけですが、その後欧州の方にIRの出張に出かけました。
いくつかの、アナリストの方たちから、やはり欧州の足元、運賃が下がって心配ではないかというご質問も色々いただきまして、事実かなり運賃が引っ張られているということもありました。
但し、陰暦の正月明け以降、本来であれば、かなり荷況が回復するのに時間がかかるところが、今年に限って言えば非常に好調でして、荷物はたくさんある、一部ではあふれかえっているところもあるにもかかわらず、運賃が下がるという非常におかしな状況になっておりまして、必ず、荷況はしばらくの間好況を保つから、ともかく周りに引っ張られないように、運賃を下げるな、ということで、隅々まで徹底させて、今現在では、下げ止まっていると理解しております。
欧州については、3月、或いは3月末くらいには、下げ止まっていると認識しておりますので、今後は、これ以上の下押しというのはあまり心配しなくて良いのではないかと、いやむしろ、そうならないように、運賃修復のために努力して行くということになると思います。
それから大西洋・アジア航路、それぞれ増えておりまして、欧州以外はそれほど大きな変動は無かった、ということであります。

 

今まで色々なコスト削減もしたわけですが、何分にも燃料油価格の高騰というのが一番大きかったということであります。
因みに、コンテナ船事業分野では、約190億弱のバンカー価格の上昇の影響を受けております。

 

A-5. 部門別業績動向 −不定期専用船−

不定期専用船ですが、撒積船につきましては、先ほどの投資のところでも述べましたけれども、中古船の買取も含めて、年間で21隻の船隊が新たに加わったということもありまして、規模は拡大し、前期比で延べトンベースで3%弱の伸びを示しております。
但し、市況は前半に一部反騰の兆しも見えたのですけれども、年間通じて見ると、前年に比べ、4割程度市況は下まわっているという結果になっております。そういう意味でいくと、撒積みのところは、減益ということになっております。

 

ちなみに荷況の方ですが、やはり一昨年そのケープの不定期のマーケットが高騰した背景で中国の鉄鉱石需要の要因というのが色々と議論されましたけれども、今現在でも、その基調は変わっておらず、去年の粗鋼生産が3億5千万トン、と言われてましたけれども、今年の1−3月を見ても、年率ベースで3億7千万トン程度の粗鋼の生産の実績を示しているようですし、鉄鉱石の輸入量も、昨年実績2億7500万トンに対して、1−3の輸入量を見てみますと、年率ベースで3億2千万トン以上、20%近く増えているという実績から見て、やはりしばらくの間、中国の要因というのは、マーケットの下支え、或いは堅調なマーケットに貢献してくれる、と見ております。

 

A-5. 部門別業績動向 −自動車船−

自動車につきましては、以前にもご説明申し上げましたけれども、やはり特に日本メーカーさんの販売好調ということもあり、基調は非常に強くなっております。前年新造船8隻が投入されましたが、これがフルにその収益に貢献してくるのは、今期以降、ということになると思います。輸送量も順調に伸ばしまして、基調としては非常に堅調でありますけれども、やはり、燃料油、バンカーの高騰と、旺盛な輸出の荷動きをカバーするための、短期傭船の傭船料が高止まりしているということもあり、利益面では若干減益の結果となりました。
今後の見通しも、強い基調は変わっておりませんので、順次出てくる新造船が、収益に貢献してくれるものと考えております。

 

A-5. 部門別業績動向 −エネルギー資源輸送−

エネルギーにつきまして、LNGは計画通り順調に新造船が4隻、前期竣工しました。これが、今後、あまり大きくはないかとは思いますけれども徐々に、収益に貢献してくれるものと考えております。電力炭は、電力需要の旺盛なこと、それから原油価格の値上がりで比較的安い石炭に電力会社さんが色々手当てをしたということもあり、非常に好調であります。
それから、油槽船につきましては、概ね好調、市況の指標は前年度よりも若干下まわってますが、シンガポールのKLPLを中心にアフラマックスの営業と色々拡大して安定的に収益をあげたということであります。

 

B. 2006年度業績予想

B-1. 2006年度業績予想

今期の予想ですが、一言で言うと、増収・減益であります。
減益幅については、前年に比べますと、28.9%の減益予想で630億円。但し、売り上げについては、1兆円を若干越えるかなという風に見ております。運賃市況等の問題もありますけれども、お陰様で規模を拡大してきてることもあり、もう少し、1,2年先かなと思ったのですが、なんとか今期1兆円を超える、超えたいという風に考えております。当期純利益で450億ということでこれも28%ぐらいの減益なのですが、為替の前提が、上期115円、下期110円と見てまして、112円50銭、平均してこう見ております。上半期の115円というのは結果として、甘い設定かなと思っておりますけれども、上期5円の変動が、20億程度ですから、なんとかこれくらい、やっていけるのではないかと見ております。
それから、バンカーについては350ドルで見ております。一応、WTI等の指標との関連性でいけば、WTIが70ドルベース、デユバイが64ドルベースのバンカーの想定であります。

 

B-2. 2006年度業績予想のポイント

減益の要因は、次のページに書いてありますけれども、一番大きなものが一旦下がった、特に欧州におけるコンテナの運賃率をなんとか上げないといけないということで、最大限努力するわけですけれども、やはり一旦下がったものを上げるのは、相当努力がいるというのもあり、この変動が一番大きいということでありました。あとはバンカーの変動で、実はVision 2008+の見直しの時に、為替を110円、バンカー300ドルで3月のはじめの時点て見てたのですが、その想定からさらに50ドル、バンカー価格の設定を上げざるを得なかったということで、これをどうするかというのが非常に今後の大きな課題になってくると思います。
バンカーの価格が上がり始めた当初は、やはり、ある一定のところで落ち着くだろう、と。
私は油やバンカーの専門家ではありませんけれども、いろいろな人の意見を聞いても、一時的な見方であるだろうし、例えば、WTIが60ドル程度におさまるんじゃないか、そういう意見が結構あったのですが、最近のご意見では、大きく下げる要因は無いというようなご意見の方が多くなりまして、しばらくの間、高いバンカーを前提にした、経営をやらざるを得ないなという風に考えております。
したがって、後ほども出てくるかもわかりませんが、いろいろな意味で、コスト削減等については、小手先のことではなくて、例えば、コンテナ航路における、配船の見直しとか、そういうことも踏み込んだ合理化効果の道筋を考えないといけないのかなという風に考えておりまして、色々各部署で検討中であります。

 

B-3. 部門別業績動向

市況の動向ですが、3ヶ月前にもお話ししたこととあまり変わっておりません。
さらに、意を強くしてるのは、やはりコンテナの荷況は、今のところ非常に強いということもあり、一旦下がった運賃をなんとかして戻さなくてはいけないということ、それから後ほど出てくると思いますけれども、今期の収益予想の中に、コンテナ船の収益が、かなり低くなるということを予想してまして、このようことでは、全体経営として、何としても我慢できないということで、グローバルに全社一丸となって、運賃修復に努力します。荷況が強いということもあって、かなり、その修復には自信を持っております。あとの部門については、非常にというか、押しなべて堅調でありバンカーの価格以外には、あまり大きな心配をしなくて良いのではないかと考えております。

 

C.“K” LINE Vision 2008+

それから、3月に発表しました“K” LINE Vision 2008+ との関連においては

 

C-1.“K” LINE Vision2008+ 取り組み課題

まず一番大きなテーマとして「持続的成長と安定収益体制の確立」ということで書かれておりまして、お手元の資料に書かれております4つの取り組みについて、具体的に施策を講じつつあります。
営業規模は今後とも大きく、計画通り、拡大することになっております。
2008年末には運航規模が500隻、それから2010年代半ばには、それを700隻にしようというような計画で、その計画を、阻害する要因がもしあるとすれば、やはりその計画を達成するための、我々のヒューマンリソースと、それから大きな船隊を安全に運航するための船舶管理体制、これが我々川崎汽船にとっては、一番大きな課題だと考えてますので、これについては、単なる計画だけではなくて、具体的なアクションプランについて、策定を進めてまして、近々詳しい計画を発表できる段階になると考えております。

 

C-2.“K” LINE Vision2008+ 投資効果を最大化する船隊整備計画

それから、投資計画でありますけれども、2006年については、投資規模、中古船の買船も含めて、53隻であります。これは、2006、7、8、この3ヵ年の中で、船隊規模としては一番大きな隻数になっております。
53隻の内、今計画としては26隻がオン・バラの計画でありまして、これが順次出てくれば、それ以降の収益に大きく貢献してくれるものと考えております。

 

C-3.“K” LINE Vision2008+ コスト構造改革

コスト構造改革ということで、従来通り、できることをやっております。
コスト構造改革、「構造改革」と言っていることもあり、先ほど言いましたような、大きな取り組みも、場合によってはやらざるをえないかも知れないということで、これについては、今鋭意案をねっているところであります。

 

C-4.“K” LINE Vision2008+ 主要財務指標と株主資本の増強

主要財務指標の推移については、この18ページの資料の通りでありますけれども、やはり投資規模が膨らむ、それから営業キャッシュフローが減益により小さくなっていることで、有利子負債が3,400億程度に膨らむことになっております。
これは将来の収益体制に貢献するということで、なんとかこの辺りは、色々な資金調達の方法とか、船の持ち方も考えつつ、全体として会社の財務体質がより強くなるようなことを引き続き考えていきたいと思っております。
以上が決算の概要と今期の見通しの説明です。

 

肝心の配当のことを言いませんでしたけれども、今期連結ベースで20%ということで公約するのですが、従来からきかれていますように、前期の18円というのは相当重く受け止めておりまして、今期かなり減益になるのですが、先ほど来言っておりますように、荷況、或いは市況というのは、今後とも順調であるということと、これから順次出てくる新造船が今後の収益体制に貢献してくれるだろうと、こういうことを考えておりますので、減配にはせずに、18円を維持したいと考えております。
その場合は、配当性向は、連結ベースで24%になる予定であります。

 

以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

以 上